20話.ショタの半ズボンと膝小僧には人を笑顔にする力がある
澄んだ空気、晴れ渡る空模様、柔らかく照らす太陽、そう絶好の訪問日和です。
おはようございます。
一週間前パパに衝撃の三者訪問を伝えられその後から必死に風邪を引こうと湯冷めさせたり、薄着のまま外に出たりと頑張りましたが、私の体は自分で思うよりも丈夫で一切病気になりませんでした……チキショー!!
予定していた風邪も主治医に通用するわけもなく、朝一で元気花丸をもらった健康幼児とは私のことです。
そして今、我が家の玄関前で家族と使用人一同と一緒に陛下達をお出迎えする為にお待ちしている最中です。
……既に帰りたい。ここが我が家だけど帰りたい。でも帰る場所もない。だって今から私の癒しのマイホームはデンジャラスホームになるんだもん。に、逃げる場所がない!
はあ……、ショタくんに会えるのは楽しみだけど、まさか陛下達まで来るなんて。ロイヤルファミリー勢揃いって勘弁してくださいよ。あれですか?私にショタコンの気配がしたので監視の為に来るんじゃないですよね?
ち、ちがいますよ!確かに、ショタは好きですけどそんなんじゃなくて、か、可愛いモノや人が好きなだけでそこに邪な思いは一切ないですから!私は全力で無罪を主張します!
___いや、絶対有罪だと思う。だって変態臭隠せてないよ。
うぅ……《ワクワク!ショタくんと楽しいふれあいイベント☆》があら不思議、いつの間にか《ビクビク!DEAD OR ALIVE☆只今裁判中~それでも私は今のところやってない~》に早変わり。被告は私、被害者はショタくん、弁護は父、検察は王妃様、裁判長が陛下でお届けいたします。さて、私は無事無罪を勝ち取ることができるのか!
___判決はきっと執行猶予なしの懲役刑。
ショタくん少しでも不埒な真似をしたら冗談抜きで死ぬ。もしかしたら頭ナデナデ位はできるかな~とか甘い考えをしてたらマジで死ぬ。
いや……悲観するのは早いんじゃないか? 陛下達の相手をするのはパパ達だからもしやショタくんに監視は付いてないのでは?という事は、やっぱり頭ナデナデは可能なんじゃ……。
___諦めが悪すぎて草。
ってダメダメ!!煩悩よ消え去れ!!だってショタくんに密告されたらそこで終わりだし何よりショタくんにも付き人がいるはずだからその人から私の様子を報告されても待っているのは終わりだわ。やっぱり幼児らしいふれあいだけで終わるべきだね。余計な欲を出したら身を滅ぼすかもしれない。
大丈夫、大丈夫よ私。邪な感情を一切出さずにおもてなしするだけでいいのよ。
そう!できる、私ならできる!はず!
必死に自己暗示をしているローズの顔は若干強張っていた。その様子に気付いたロバートは、優しく宥めるような声を出しながらローズを抱き上げる。
「ローズ大丈夫かい?」
大丈夫か大丈夫じゃないかと言われたら全力で大丈夫じゃない。助けてくれ。ヘルプミー。
しかし、パパに何て言えばいいんだ。
「ショタくんのご両親に私がショタコンだと勘違いされるのを防ぐにはどうすればいい?」って聞けばいいの?
それとも「ショタコンと間違われない対応の仕方のマニュアルがあれば欲しい。もしくは、教えて欲しい」と言えばいいのか?
って、言えるか!!!ギョッとされるわ!いくら私を愛情持って育ててくれるパパでも引き潮が如く引いていくわ!
やめよ、大好きな両親にまで犯罪者を見る目で見られたら心折れる。やんわりソフトに伝えよう。
「大丈夫です。でも年が近い人とお話しするの初めてなので、すこし緊張してしまって。王太子殿下と仲良くなれるでしょうか?」
どうかなパパ!?私ショタコンに間違われずに仲良くなれそうかな!?そもそも年が近い子と話したことないから話合うかも不安になってきた!幼児に流行りの話題とかあったら教えてくれ!
「心配ないさ。殿下はとても優秀らしいからローズと話しも合うと思うよ。でも、今回殿下を紹介するのはお友達としてだからね?こ、恋とかしちゃって殿下のお嫁さんになりたいとか言わないでね?そんな事パパは絶対許しませんよ!」
おいおいおい、一体何を言ってるんだ?も、もしかして、パパンも私の恋愛対象が幼児だと勘違いしてるの!?
まさか身内にまでショタコンの疑いをかけられてるとは……冤罪ですよ!私は可愛い子を愛でるだけでそこにいやらしい考えは一切ないから信じて!パパは私の弁護人だよね!?パパにまで疑われたら有罪一直線なんですけど!
……はっ!!よくよく考えたら私幼女じゃん!5歳児相手に恋愛しても不自然じゃない!
しかし、外見は幼女でも中身は成人済みなんで、いくらショタくんが可愛かろうと恋愛対象として見てしまったら、色んな意味で人生が終わる。だって同い年の子を恋愛対象にしてしまうと、必然的にショタコン決定してしまうし……。
よし、ごまかそう!ショタくんは恋愛対象になることは今後一切ないとやんわり伝えるのよ!
「殿下のお嫁さんだなんて畏れ多いですよ。それにわたし、お父さまのようなステキな年上の方が好みなんです」
どう!?恋愛対象は年上だとストレートに伝えたことでショタコン疑惑を払拭できたんじゃないかな!?「お父さまのような」は不要かもしれないけど、これを付け加えないとパパはこれから出会う年上全員を目の敵にするはずなので致し方ない。
「そうか!ローズはパパがいいのか!嬉しいな〜!勿論パパもローズの事を愛してるよ!!」
やったね!パパの心にクリティカルヒット!!
「ありがとうございます!わたしもお父さまが大好きです!」
だからパパよ今後一切、私とショタくんの恋愛なんて恐ろしいことは考えないで下さい!
周りからみたら何も問題なくてもやっぱり前世の年齢に引きずられちゃうし。まあ、今は同年代が幼児だからそう思うのかもしれないが、まず年齢を重ねても恋愛は無理だろうな。
だって私〈神子〉だし。
こんな地雷臭漂う女誰も貰ってくれないよ。ふふっ……別にいいよ、もう諦めはついてる。
え?歴代の神子達はちゃんと恋愛も結婚もできてるから心配いらないって?
ふっ……甘いわね!
それはヴェル◯ースオリジナルくらい甘い!
さて、是非ここからは幼女探偵ローズの推理を聞いて頂きたい。
___今からおバカさんが意気揚々と推理しますがただの偏見に満ちたクソ推理です。しかし本人は自信満々なので皆様はお遊戯会を観るような微笑ましい気持ちでお聞き下さい。
そう、この世界の記録に残ってる神子達は女性が一人と後は全員男性。その唯一の女性神子は絵本の中に登場しているいじめられていたあの神子のみ。
……もうこの時点で怖くない?ゾッとするよね?これまで何人も神子はいたのに唯一悲惨な死を迎えた神子が〈女〉って……。
ほら、隠された真実がみえてきませんか?聡明な皆様ならもうお気づきですよね?
そう、結婚したことのある神子は全員男だと!!
あれじゃん?
お金持ちの男、仕事のできる男、優秀な男、才能がある男ってめっちゃオモテになられるでしょう?言い方は悪いかもしれないがそういう男性は外見関係なくモテると相場が決まっている。しかもハイレベルな女性にモテるのだ。まあ、その男性達が努力した成果なのでただただ素晴らしいと思うのだが。
___ただのローズの偏見です。不快に思った方は大変申し訳ありません。でもこの人、根がおバカなんです。許してあげて下さい。
そう過去の男性神子もこれに当てはまると冴え渡る私の頭脳が推理した。この世界を見たら分かる通り神子達は相当優秀だったはずだ。しかもただの男ではない、神に選ばれし神子という特別な男だ。
〈特別な男性でかなりの優秀さ、さらに優秀さに見合った収入。〉
……これモテるよね?そしたら結婚もできるよね?
しかしこれを女性に置き換えて考えてみて欲しい。
自分より特別な女、自分よりお金持ちの女、自分より仕事のできる女、自分より優秀な女、自分より才能がある女ってモテるかな?
……もう一度言う。
これ男性にモテると思いますか?モテる要素が見当たらないんですが!?いや、全然モテないとは言わない。ある一部には人気がありそう。
そう、ヒモぽい男に!!
___申し訳ありません。これもローズのただの偏見です。更に将来への不安により現在若干やさぐれています。
でもそういった女性って自立している印象があるから男の人を必要としてなさそうなんだよな〜。男に頼らず生きていくってイメージあるし。
___申し訳あり(以下略)
私自身は別に優秀でも何でもないが過去の神子達の活躍により、[神子=超優秀]の看板を勝手に背負わされるのだ。しかも公爵家の長女というお金持ち。この世界の貴族は平民と結婚することはまずない。そして私が生まれたこの国は王族を除き一夫一妻制だ。なので、わざわざ自分の伴侶を平民から選ばない。まあ、一部の男性貴族は平民の美しい女性を妾にしている事もあるらしいが……奥さんのみならず愛人とは……っく、モテる人はいいですね!
この時点で一般人と恋愛なんてできない。いや、そもそも相手側が嫌がるだろうな。
なら貴族相手なら可能なのでは?というとそうでもない。何故なら貴族の男はプライドがべらぼうに高い!私に甘々で優しい父だってやはり貴族の男らしく隠し切れない傲慢さがある。
いや、自分の力に自信を持つ事は素晴らしい事だと思うよ?でもさ、プライドの高い男が自分よりも優秀(だと思っている)、自分よりも特別な存在(まさかの神子)をわざわざ選ぶかね?いや、絶対選ばない。
そう、真実は〈選ばれし存在だと思われている神子は男性が嫌がる要素が盛り沢山なので結婚したいとは絶対に思われない。なので私は神子である限り平民、貴族ともに結婚できない〉です。
さあ、幼女探偵ローズの推理はどうでしたか?この名推理、我ながら惚れ惚れしちゃうわ。
___しかし、本当の真実は結婚できない原因を全て『神子』のせいにする事で結婚できない自分を正当化し心の平穏を保ち、なるべく傷付かないようにして今後の人生を現実逃避しているだけなんです。なのであまり怒らないであげて下さい。この子、アホなんです。
◇◇◇◇
ローズが将来への不安を長々考えていた時、ついに王族一同が門に到着したという報せが届いた。ロバートは腕にローズを抱いたままマーガレットと共に玄関前の階段を降りてオリヴァー達の到着を待った。暫くすると豪華な馬車が近付いてくる。その周りには馬に乗った何人もの騎士が護衛しており物々しい雰囲気であった。ロバートはローズを腕の中から降ろすと一歩前に出る。そして、胸に手を当て恭しく頭を下げたロバートに伴いマーガレットとローズもカーテシーの姿勢のまま馬車からオリヴァー一行が降りてくるのを待った。
するとすぐにオリヴァー達は馬車から降りてきた。
そして、ロバート達の目の前まで来るとオリヴァーは声をかける。顔を上げたロバートとマーガレットの堅苦しい挨拶にオリヴァーは今日の訪問は息子の付き添いで来たので自分達はオマケだと、仰々しくしなくていいとロバート達に告げる。そしてオリヴァーは本日の主役に声をかけるべくローズに近付き話がしやすいように目線に合わせるために跪く。国王陛下が跪くという行動に一部の騎士達に動揺が走るがそんな周りの様子を気にも止めないオリヴァーは笑顔でローズに話しかけた。
「神子様、貴方ときちんと話すのはこれが初めてですね。私はこの国の国王、オリヴァー・グリフィン・フォスターです。よろしくお願い致します、神子様。しかし、会った時から思ってはいましたがますます可愛くなりましたね」
Q.国王陛下に敬語を使われる4歳の小娘の気持ちを答えてみよ。(ただし、陛下はその他に対しては不遜な態度だとする。例:自分の両親に対してなど)
A.控えめに言って死にそう。
何で敬語なんですか!?さっきまでの堂々とした権力者スタイルで私にも話しかけて下さいよ!!差別は良くないと思います!!それに陛下のことはきちんと覚えてます……だってあんな衝撃的イベント逆に忘れられる訳なくないですか?あと申し訳ないんですが封印されしトラウマが蘇るんでこんな人がいっぱいいるところで跪かないで下さい。
___生後半年のローズに対して国王陛下と大司教が跪きB'○のごとき《約束します。愛のままに、わがままに、僕は君だけを傷付けません!》と宣言したとんでもイベントがトラウマになりローズはしばらく「やべーよ。お偉いさんに跪かせたなんて二人の熱狂的支援者にバレたら後で暗殺されるかも」と震えていた。被害妄想が激しい奴である。でも大丈夫、キミには暗殺者より恐ろしい保護者が付いている。きっと世界が滅んだとしてもキミだけは絶対無事だから。
そういえば陛下、今可愛くなったって言いました?まったく……そんなこと私が1番知ってますが?
___可愛いもの大好きなローズは自分の美幼女フェイスを誰よりも気に入っている。時間があれば鏡で自分の顔を眺めるせいで専属メイドのアメリアはいつでもローズが自分の顔を見れるようにと手鏡を所持している。そんなナルシスト全開のローズを見てもウィルソン家使用人一同は「はあ〜可愛い♡お嬢様の手鏡に生まれ変わりたい」と思っている。……ウィルソン家はもう終わっている。
「初めまして国王陛下。ローズ・ウィルソンでございます。あの、恐れながら申しますがわたしに対して陛下がそのように丁寧に話す必要はありません。他の方と同じようににわたしにもお話し下さい。それから陛下さえよろしければ、わたしのことは神子ではなくローズと呼んで下さると嬉しく思います。陛下とお会いしたことは残念ながら覚えてはおりませんが父がよく国王陛下のお話しをしてくださったので今日会えるのを楽しみにしておりました」
ひぃん!!小娘が陛下に対して話し方変えろとか名前で呼べとか普通だったら処分される勢いで失礼な行為だけど大丈夫かな?……私このあと怒られないよね?だ、大丈夫なはずだ、私神子だし……。もう私に縋れるものは神子のいうネームバリューしかない!!
あと会えるのを楽しみにしていたと言ったが……すまん、それは嘘だ。私が会いたかったのはショタくんだけなので、できるなら速やかに退場してほしいです。
___ビビっているくせに心の中では大変失礼なヤツである。
「……え、いいのか?それなら喜んでそう呼ばせてもらうぞ、ローズ嬢」
「ありがとうございます。名前は両親からもらった初めての贈り物なのでローズという名はわたしにとって特別なんです。ですから陛下に名前で呼んでいただけて嬉しいです」
だからこれからは絶対神子様って呼ばないでください、よろしくお願いします!
「……そうか。俺もローズ嬢の名前を呼べて嬉しいぞ。しかしロバート、ローズ嬢は幼いのに随分としっかりしているな」
ローズの幼子とは思えない対応に驚いたオリヴァーはついロバートに声をかけてしまう。しかしそのロバートはというと……ローズの言葉に感動していて咽び泣いていた。
「グスッ……そうでしょう!ローズはとっても賢くて可愛いんです!!陛下にもローズの素晴らしさを分かってもらえて嬉しです!」
___陛下、声をかける相手を間違えていますよ。ロバートはローズのことになるとすぐ暴走しますので取り扱い注意です。
「(え、いや、何で泣いているんだ……俺はお前の気持ちが全然分からない)」
十数年来の悪友との心の距離が開くのを感じたオリヴァーは助けを求めるように周りに視線を向けるが誰も助けてはくれなかった。何故なら……ウィルソン家一同(使用人も)は一人残らずロバートと同じように咽び泣いていたからである。
それを目にしたオリヴァーは……心の底から恐怖した。
「(ひっ!なんで一人残らず泣いているんだ!?ウィルソン家怖ぇ!)」
___忘れていたオリヴァーのトラウマが復活した。甦る記憶……エルピスの降臨、エルピスの脅迫、エルピスの集団悪人殺人事件、エルピスのetc……ほぼエルピスに対するトラウマである。ごめんオリヴァー……エルピスとウィルソン家に悪気はないと思うんだ、多分。
しかし天はオリヴァーを見捨てなかった。この混乱を収めてくれる人がいたのだ。その救世主とは……そう、ローズのことである。
___いや、そもそも混乱の原因はローズなのでは?と思うだろうが仕方ないのだ。ローズは爆弾そのものであるが、その爆弾を解除できる凄腕処理班もローズしかいないのである。爆弾と警察、一人二役。意外とこの子苦労しているんですよ。
「申し訳ありあせん、陛下。父達はわたくしのこととなると少々態度が大げさになってしまうのです」
「……いや、ローズ嬢が謝ることではないさ」
オリヴァーは釈然としない思いを抱えながらもローズに笑顔を見せる。しかし内心は「いやこれ少々か!?」と思っている。
「お父様も落ち着いて下さい、陛下の御前ですよ」
「グスッ……ごめんねローズ、パパ嬉しくって。……陛下もお見苦しい姿を見せてしまって大変申し訳ありませんでした」
「……ああ、気にするな。子供の成長は親として嬉しいからな」
「その通りです!!ローズはそれはそれはいい子なんですよ!!」
「……さて、ローズ嬢。俺の家族を紹介していいか?」
「え?あ、はい!もちろんです!」
オリヴァーはロバートの話を聞かなかったことにした。これを相手にしていたらいつまで経っても話が進まないことに気付いたのだ。
___ナイス判断、今日のオリヴァー冴えてる!
オリヴァーは自分の後ろに控えていた女性に声をかけ側に呼び紹介する。
「この女性が俺の妻で名をエリザベス・グリフィン・フォスターという」
王妃はミントグリーンの髪にサファイアブルーの瞳をした美しくスレンダーな女性であった。エリザベスはローズに近付くと目線を合わせるように跪き挨拶をする。
「お初にお目にかかります、神子様。エリザベス・グリフィン・フォスターで御座います。今日は神子様にお会いできて大変光栄に御座います」
まさか王妃までもが自分に跪くなんて思っていなったローズは焦った。一刻も早くこの挨拶を終わらせ王妃に速やかに立ってもらわないと精神衛生上とても悪い。既にローズの胃はストレスでキリキリしていた。
「は、初めまして王妃殿下、ローズ・ウィルソンでございます。わたしも王妃様お会いできて大変光栄にございます。もし王妃様がよろしければ、わたくしのことはローズと呼んでいただけると嬉しいです」
「まあ!私も神子様をお名前で呼んでも宜しいのですか?」
「もちろんです!ぜひお願いいたします!」
「嬉しいですわ、ローズ様」
「あ、いえ、様は付けなくていいですよ?それにわたし対してそのように丁寧に話す必要はありません。どうか普段通りでお願いいたします」
夫婦揃って私の胃にストレスを与えてるは本当にお辞めください。
「……本当に宜しいのですか?」
「はい!」
「じゃあローズさんと呼ばせて呼ばせて頂くわね、いいかしら?」
「はい、ありがとうございます。とても嬉しです」
……何故この王族夫婦は私に対してこんな態度なの?私、一応神子ってことになってるけど、偉くもないし、怖くもないよ?
___恐ろしいのはローズの背後にいる神様です。もし失礼なことをしてキミが傷付いたら確実にエルピスがブチ切れる。あれだよ?指パッチンで命消されちゃうんだよ?よく見て、王妃様の顔色若干悪いし、冷や汗も出てるでしょ?この夫婦は決死の思いでキミの目の前にいるの。だから優しくしてあげようね。
側からみれば和やかに、しかし内心はお互いビビりあっているという奇妙な二人の挨拶が終わるとついにローズお待ちかねの王太子の番がきた。オリヴァーが背後にいた男の子を呼ぶと可愛らしい声とともに王太子が姿を見せる。
「紹介しよう。俺の息子で名をクリストファー・グリフィン・フォスターという」
王太子はオリヴァーと同じ漆黒の髪にエリザベスと同じサファイアブルーの瞳をした男の子であった。
「神子様、お初にお目にかかります。クリストファー・グリフィン・フォスターです。今日は神子様に会えるのをとても楽しみにしていました。これから仲良くして頂けると嬉しいです」
クリストファーは笑顔でローズに挨拶をする。その笑顔は特定の人が見ると暴走するほど可愛かった。
……その特定の人はというと、
「初めまして王太子殿下!私はローズ・ウィルソンです!ぜひ、ローズと呼んでください!私も今日殿下に会えるのを楽しみにしていました!ぜひ、仲良くしてくれると嬉しいです!!」
大歓喜していた。
クリストファーの余りの可愛さに喜びを隠しきれないローズは前のめりで挨拶をする。それは先程の落ち着いた姿とは異なり年相応に子供らしく見え、周りの大人達は二人の様子を微笑ましそうに見守っていた。
しかしその天真爛漫な子供らしいとは対照的に心の中は穢れていた。
やったーーーー!!!想像以上の大天使きちゃ〜〜♡♡♡か、か、可愛すぎ♡え、おめめクリクリだし、ほっぺふくふくだし、唇ぷるぷるだし、なにより可愛い膝小僧が丸見え〜♡あの、触らないんでもう少し近くで見ていいですか!?
___只今、気持ちの悪いショタコンが大暴走中です。気分の悪くなった方は申し訳ありませんが美しい花畑を想像してもうしばらくお待ちください。
……やばっ!!近くに保護者いるし余計なことしたら今日のふれあいイベントが中止になるかも!お触りしないよう本当に気を付けるんで、二人っきりにしてもらっていいですか?
___キミはクリストファーくんの半径3メートル以内に近寄らないで下さい。




