19話.一人暮らしでおしゃれな部屋をつくってもキープできるのは最初だけ
5歳児は男ではなく天使である。
「殿下はわたしのひとつ上だよ?」
尊いショタなんだから。
「それでも「アメリア」
まだ言うの?
ショタに何か文句でもある?
ローズの口からいつもの可愛らしい幼女声とはまったく違う、ドスの効いた低い声が出た。
「そ、そうですね。殿下は5歳でした。それならば性別などまったく関係ありませんね」
「そうだよアメリア~」
思い出してくれてありがとう。
「も、申し訳ありませんでした。少し考えすぎたようです」
ローズからあんな低い声で咎められるとは思っておらずアメリアは驚いた。ローズは幼子にありがちな感情の起伏が激しくないのだ。怒った所も泣き叫ぶ所も見たことがなく非常にお世話をしやすい子供だった。しかし、今のローズは確実に怒りを感じていた。初めてローズから怒りの感情を向けられたアメリアは一瞬だけ焦り、その後すぐに感動した。
「(怒った顔もやはり可愛らしい)」
___アメリアはもう手遅れだった。
「じゃあ殿下と遊ぶのはわたしの部屋で決定ね」
やっほーーーい!私の部屋にショタくんが来る~。ホントに違うよ?私はただ、我がテリトリー内にショタが存在してくれるだけで充分満足だから。
決してぷにぷにほっぺをつんつんしたいだとか、つるつるぽっぺにちゅっちゅしたいだとか、膝の上に乗せて髪の毛にすんすんしたいだとかは一切考えてないから。ホントです、信じてください。
___ド変態である。必死に言い訳しているが言っていることが気持ち悪過ぎて救いようがない。見た目美幼女でもこれは許されないであろう。
あ!でも、頭を撫でるくらいなら許されるかな?ダメかな?やっぱりお触りは禁止だよね。うん、我慢しよう……。
___やっぱりこいつも手遅れだった。
「何をして遊ばれるのですか?」
ショタくんは何がいいかな~。私がいつも遊んでるやつで大丈夫かな?っていうか、普通の4歳児って何で遊んでるの?私中身が幼児じゃないからよく分かんないんだけど。しかも、男の子と女の子でも遊ぶ内容変わるよね?やっぱり戦いごっこ的な?私できるかな~。
いや、ショタくんがしたいって言うなら助演女優賞並の演技をしてみせよう。
「とりあえず、いつもわたしが遊んでるやつにする。トランプにリバーシにパズルとか。アメリアはなにかある?」
「私ですか?それならば絵を描くのはどうでしょうか?」
「いいね。それもじゅんびしておこう。ありがとうアメリア!」
「お役に立てたなら光栄です」
内容も決まったしこれで大丈夫かな。普通だったらこれから部屋の大掃除とかするんだろうけど、我がメイドさんのお陰で毎日すっごい綺麗だからそれも必要ないんだよな~。
ローズの部屋は子供部屋とは名ばかりのとても広い豪華な部屋である。幼児に与える部屋では絶対ない。何ならローズ専用のお風呂・トイレも完備されていた。
そして驚くべき事にアメリアの部屋まで隣に付いている。
何かあった時すぐアメリアが駆け付けれるように用意した部屋らしい。元々隣には別の部屋があったがローズの部屋を新しく造る為に壁をぶち抜いて、お風呂・トイレ・衣装部屋・アメリアの部屋を造ったみたいだ。
しかも直接ローズの部屋から行き来できるよう親切設計されていた。
あれ?部屋から一歩も出ずに暮らせるってもう家じゃね?なんて考えてはいけない。今の生活について少しでも考えたらツッコミで一日が終わってしまう。
そしてこんな完璧部屋に住んでる理由はもちろんロバートの存在である。
ローズは3歳になるまで両親と一緒に寝ていた。マーガレットは乳母に預けたりすることなく最近までローズのお世話をしてくれていたのだ。
今とは別の子供部屋(そこも広かった)でマーガレットと遊んだりお昼寝したりしてたが、3歳で一人部屋に移動しお世話もマーガレットからアメリアになった。
そもそもローズはもっと早く一人部屋に行きたかった。ラブラブ夫婦の邪魔はしたくなかったからだ。
だから「一人で寝れるよ」と両親に言っも「まだ一緒に寝て」と涙目で言われてしまい、ずるずる3歳まで仲良く川の字で寝ていのだ。
何なら「まだ一緒に寝て」と言われてしまったが、ローズは必殺技〈パパ嫌い〉を発動しなんとか一人で寝れるようになった。
そして「ここが新しい部屋だよ」とテンション高く紹介されたのが今過ごしているパーフェクトルームだ。
ローズは今までの部屋で充分だと伝えたが、ロバート曰く今までの部屋は狭く設備も揃ってないから絶対ダメだと拒否した。
お金持ちの感覚って絶対おかしいよ……とその時ローズは心底引いた。
もしローズが独り暮らしをしてた前世の部屋を父が見たとしたら、
「すごい狭いね?設計ミスかい?」
とナチュラルに毒を吐かれそうだ。
しかしロバートが愛娘の為に愛情と金を注ぎ込んで用意した部屋はとても素晴らしいものであった。ローズはこの豪華な部屋を造る為に掛かった予算を一切考えないことにした。でないと住めない。
ロバートに可愛くお礼を伝えたローズは3歳にして漸く念願の一人部屋を手に入れた。
しかしお金持ちの甘やかしはそれだけでなかった。部屋の調度品も最高級品やオーダーメイドで揃えられている。肌に触れるものは決してローズを傷付けないよう特級品が用意されていた。
ローズは行き過ぎる過保護に開いた口が塞がらなかったが、ロバート達が嬉しそうに品々を紹介するため何も言えなかった。
中身が大人のためローズはちゃんと理解しているが、この甘やかしを普通の子供にした場合絶対に我が儘放題の子供にしかならない。もしこの先ローズの兄弟ができた時には気を付けた方がいいかもしれない。
さて、これでショタくんと遊ぶ部屋と内容も決まったから一安心だね。早く来月にならないかな?
既にローズの心はショタ一色である。
しかし心待にしているローズはバチが当たった。
◇◇◇◇
家族揃って夕食を楽しんでいた時のこと、思い出したようにロバートが告げた。
「あ、王太子殿下の訪問される時、国王陛下と王妃様もいらっしゃるよ」
おい、おい、おい。今何て言った?陛下正妃って聞こえたけど幻聴だよね?それか聞き間違えたのかも。そうだよ、きっとそう!
「王太子殿下一人だとやっぱり心配だったみたいでね、一緒に来ることにしたんだって。陛下と正妃様は私とマーガレットでお相手するから、ローズは王太子殿下と好きに遊んでいいからね」
___【悲報】ショタコンを見張りに保護者も来るってよ。残念だったな。
忘れてたよ、パパ。
……その日、風邪の予定が入ってるからキャンセルしといてもらっていいですか?




