18話.子供の頃にしてた遊びを大人になってからすると体力的にキツい
美人メイドさんのめっちゃ愛が重い。
色々ツッコミたい……。ずっと思ってたけどアメリアって私の事大好きだね。でもそういう事はウィルソン家の人以外には言わないでね?不敬罪で罰せられたら大変だから。
我が家の人にはいいのかって?もちろん大丈夫、だってみんなアメリアみたいだから。
「辞めさせるわけないよ!アメリアはただのメイドさんじゃなくてわたしの大事な家族だもん。これからも言いたいことがあれば遠慮なく言ってね」
「……有難うございますローズお嬢様」
感極まるアメリアは瞳を潤ませ勢いよく頭を下げる。ウィルソン家の使用人は皆様一様に大変優秀なのだが、たまに様子がおかしくなる。主にローズの事で。頭を下げたアメリアに声をかけたローズは、たまに情緒不安定になるウィルソン家の方々について考える。
前世がド庶民だから使用人ってよく分かんないんだよな~。私からすると、ずっと一緒に暮らしてるならそれってもう家族も同然だと思うんだけど、その感覚で対応すると大体みんなアメリアみたいに感動するんだよね。この染みついてる意識を変える気はないけど、公爵令嬢に生まれたからには貴族の事もちゃんと学ばないとな。
あ、3歳の時に勉強したいってパパにお願いしたら家庭教師の先生を雇ってくれたんだよ?でもそれも最近終わった。だって最初から言葉も分かるし文字も書けたもん。最初は「わたし天才なのでは?」と調子に乗ったね。
___ローズ、キミは決して天才ではありません。言葉や文字がすぐに理解できたのはエルピスの力です。キミが今後苦労しないようにこっそり授けていました。エルピス、神子に甘すぎである。さらに今世のローズは記憶力が良く、精神が大人のため理解力も高い。そう、両親の遺伝子のお陰でめちゃくちゃ高スペックなのだ。これが前世のスペックのままだったらローズは言語で挫折していたであろう。何度も言ったと思うが元のローズはおバカさんなのである。
それから文字をスラスラ書く私をみた先生がどんどん教えてくれた。そしたら一年で学院卒業レベルまで修得しちゃったみたいです。だって先生がどんどん教材もってくるから勉強するよね?しかもここまでが子供レベルです、とか言ってくれないなら必死こいて勉強するじゃん。それに日を経つごとに勉強の難易度上がってくるし……。
それでその時思ったね「異世界の子供のレベル高杉!」「このままだと落ちこぼれ確定だ」「天才かもって調子乗ってすんませんした!」と。
しかしそれは勘違いであった。
先生は私が次々に問題を正解するからどんどんレベルを上げていき、気付いた時には学院を卒業するレベルにまでなっていたのだ。
あの日の事は絶対に忘れない。
『せんせい。きょうはなにをべんきょうするのですか?』
『申し訳ありませんローズ様。もう私がローズ様にお教え出来ることは何一つありません』
『え?』
『ローズ様は既に学院を卒業できる程の知識を学ばれました。この先は研究者や専門家等が学ぶ領域です。ローズ様は一般知識で充分だと最初に仰っていたので、ここまでで充分にございます。私も数々の生徒を見てきましたが、ローズ様のような方は始めてでございました。天才とは本当に存在するものなのですね。ローズ様を生徒に持てた私は本当に幸せ者でございます』
『……』
そ れ を 早 く 言 え。
私めっちゃ頑張って勉強したのに。全然教えてくれないから今まで学んだこと全部幼児レベルだと思って焦ったんだよ?……それが卒業レベルて。
え?卒業レベルの問題を解く3歳児って恐くない?もっと不審がろうよ先生、そして我が家の家族達。 パパもママも「凄い!さすがローズだね!」とかしか言わないから分かんなかったよ。
そんなわけで現在の私は天才児って事になってます。……違うんです、私は中身が大人なだけなんです。でも言えない……「実は前世の記憶があって、中身成人済みです」なんて言えない。遂に頭おかしくなったと思われるかもしれない。
___大丈夫、キミは元から頭おかしいよ。
しかし我が家の人達は私が天才だと言われても褒めるくらいで他は一切何も変わらなかった。ホントよかった〜。期待されても本物の天才じゃないから何もできません。でもそのお陰で、幼児らしくない態度をしても一切不審に思われないところは助かったな~。転生して痛感したけど子供のふりってホントつらいんだよ。尊敬するわ、眼鏡探偵くん。
それから私に今一番必要な貴族的マナー。少し前から習ってるけどホント全然分かんない。これこそ本気で勉強しないとウィルソン家が恥を掻いちゃう。
ダンスもこれから勉強しなきゃいけないし、貴族って本当に大変なんだね。昔はお金持ちいいな~って思ってたけど今は庶民が恋しいです。食べる順番とかどっちでもよくないですか?もう普通に食べたいよ。
あとは、魔法!!
これは未だに教えてもらってない。5歳まで魔法を使用できないから実地は無理だけど、一応知識は学べるみたいだからもうすぐ魔法の先生が来て教えてくれる事になってる。もう中身普通じゃないってバレてるし真剣に勉強しよう。だって魔法だもん。楽しみすぎる!
今まで異世界を感じてたのみんなのド派手な外見と自分が神子って事だけだからね?みんな絶対に私の前で魔法使ってくれないから、どんな魔法があるか全然知らないんだよね。
「魔法見せて」ってお願いしても「危険です」しか言わないもんな。
みんな一体どんな魔法を見せるつもりだったの?もしかして殺人級の魔法しか使えないわけじゃないよね?
___周りの者が魔法を見せないのは、せめてローズに見せるなら自分が一番得意でかつ派手な魔法を見せて喜ばせたいと考え、しかしその魔法でローズを傷付けてしまう可能性があるかもしれないと心配し、今まで一度も見せた事がなかった。威力を落として危険度が一切ない魔法を見せればいいだけなのだがそんな考えは一切ない。何故なら派手な魔法を見せてローズに「すごい!」と褒められたいという思いしかない。ウィルソン家の人々はローズのことに関してのみ自分の欲望に忠実になるだけで普段はとても優秀です。決してロリコンの集まりではありません。
どんな魔法でもいいから見てみたいよ〜。指先光らせるだけでもいいから見せてくれないかな?
「アメリア魔法みせて?」
「大変危険ですので無理です」
うん、もう諦めるわ。
それに今はショタくんの事を考えないと。せっかく遊びに来てくれるんだから楽しんでほしいけど、こっちの世界の幼児って何して遊んでるの?
ちなみに私は室内ではトランプやリバーシを、外ではかくれんぼや鬼ごっこしてみんなに遊んでもらってます。
こっちの世界にトランプとかあって驚いたな。でも鬼ごっことかは存在しなかったから勝手に作らせてもらった。
《モンペさんから逃げろ》と、
《モンペさんが見てる》と、
《モンペさんから隠れろ》です。
ファンシーだが少し恐怖を感じ、且つ覚えやすい名前を付けてみました。
みんなに「モンペってなに?」って聞かれましたが「すごい強い人」だと答えておきました。
___絶対ローズはエルピスのことを神様と認識していないのがよく表れている名前である。これがローズでなかったら軽い天罰がくだっていたかもしれない。
外で遊ぶのもよさそうだけど、やっぱり今回は室内で遊ぶ方がいいよね。
我が家は諸事情で絶対安全領域になってるから外で遊んでも大丈夫だと思うけど、万が一王子様に怪我させてしまったら大変だもんな。
何故ウィルソン邸は絶対安全領域なのか。それはウィルソン邸に最強の警備システムがついているからだ。
そうお馴染みのあの御方。
守護神だ。
顔合わせのあの日、エルピスがウィルソン邸を結界で囲んだのだ。
それはローズが寝てしまった後のことだった。
《あの子の家、結界張っといたから》
エルピスはトマスにそう告げるとすぐに消えた。
___もう一気に言ってあげて下さい。トマスって留守番電話サービスじゃないですよ?
その後結界を調べてみると、それは最強の結界だった。何で判断してるのか分からないが、ほんの少しでも悪意を持っている者はウィルソン邸には入れない。そういった者が無理に入ろうとすると気絶する仕組みになっている。
命を消すのではなく気絶するだけなんて何て心優しいんだ、と勘違いしそうになるくらいには周りの人は神様に毒されていた。
そういう訳で現在のウィルソン邸は[悪人の訪問お断りしております。]と[セキュリティ会社に警備されています。]のステッカーがついた安心安全ホームなのだ。
でも外で遊ぶのはやめた方がいいだろう。命を狙われる危険は一切ないがローズがいつも外でしている遊びを王太子殿下がした場合精神によくない影響を与えるかもしれない。
いつも大人に遊んでもらっているローズは手加減ができない。モンペさんから逃げろをした日には殿下にトラウマを植え付けるだろう。ローズが本気で走るといつもの可愛らしい顔が鬼の形相になってしまうのだ。そんな顔を見たらきっと殿下は泣く。しかし周りの大人達はその事をローズに教えていないので、残念ながら自分がどんな表情で走っているかを今も知らない。
___その大人達は「その顔も最高に可愛い」とか思っている。もう完全にコイツらは手遅れのようだ。ただの親バカか身内贔屓だとローズは思っているがこれは深刻なエルピス病だ。いつの間にか移ってしまったのだろう。感染したら治療は不可能なのでもう諦めるしかない。
「アメリア、殿下とはお部屋の中で遊ぶことにするね」
うん、やっぱり室内で遊ぼう。
ショタくんがトランプとかできるか分かんないから一応色々用意しておこう。
「畏まりました。どこの部屋をお使いになられますか?」
「え?この部屋だよ?」
え?私の部屋でいいよね?わざわざ他の部屋用意するのも面倒じゃん。 違うよ?別にショタくんを部屋に連れ込みたいわけじゃないよ?
「はい?まさかローズお嬢様の私室に入れるのですか?」
「だめなの?」
もしやアメリア、私の邪な考えを見抜いたのか?でもホントに違うから!連れ込みたいわけじゃないからね?
「……だめではありませんが、王太子殿下は男ですよ?」
…………………なに言ってるのアメリア。
5歳児は男いうカテゴリーではない。
天使というカテゴリーです!




