7 黒 ドアは正しく開けましょう
目が覚めると、何かの上だった。
そして何かの中だった。
昨日眠ってしまった、青毛の巣の水溜まりじゃないみたい。
自分が身に付けていた、皮に似た物が敷いてあるこれは、寝床なのだろうか?
周りには、死んでいる?動かないものがいっぱいある
触ってみると、どうやら生き物ではないように思う。
でもかたちは生き物、なんだろうこれ?
置いてある動かないモノのうちのひとつ、頭の部分がずいぶん大きい白い獣のかたちのソレを、なんとなく昨日青毛からされていた感じに両腕で抱きしめて
周りを見回すと、ここには出口がない事に気が付く。
でも出口がないのなら入れないんだから、たぶん何かで塞がれているんだろう。
そう考えた時 昨日の大きい木のカタマリの口を思い出した。
たしか青毛はなにかを引っ張っていた。
引っ張ったら口が開くのだ。
青毛にできて自分にできない筈はない。
先ずは目の前にある木のカタマリ、なんとなくでっぱりがついている。
これをひっぱる!
バキッ
でっぱりがはずれた……あれ?
でもはずれたところから向こうが見えるから、方向性はこれでいい筈。
はずれた木をポイッと適当に投げ捨てて、いま開いた穴に手を入れてひっぱる
ベキン
木のカタマリがはずれた!どうです、ワタシの予想通りでしょう!
戦利品の木のカタマリを青毛にも見せてあげようと思い、空いた穴を抜けると、すぐそこに青毛と茶色毛がいた。
頭に前足を置きながらこっちに歩いてくる茶色毛と、戸惑いっぽい感情を発しながら茶色毛と一緒にこっちに来る青毛。
自分が簡単に出られた事に戸惑っているのだろう。
ふっふっふ、昨日のワタシではないのである。
何か長い音を出しながら、自分から戦利品を取り上げる茶色毛。
青毛には見せてあげたからもういらないので、素直に渡す。
青毛は、昨日のようにこちらにくっついて持ち上げて来た。
別に嫌でもないし、どうやら青毛は自分をどこかに運びたい時にこうして持ち上げるみたいだ。
素直に持ち上げられると、さっき自分が出てきた場所に運ばれ
「ウヘァ」
なにか変な音を出す青毛、当然真似をする。
青毛はその場にこちらを降ろすと、寝床?に置いてあった皮?を身に付けさせようとして来る。
そういえば青毛もまた新しい皮?を身に付けているから、こちらがちゃんと真似していないのが気になったのだろう。
身に付けさせられた皮を確認して満足したらしい青毛は、今度は青毛が最初に居た方にこちらを運ぶ。
べつに自分で歩けるのだけど、なんか歩かせてくれない。
木を組み合わせたものの上にこちらを乗せて、青毛自身も隣に置いてあった同じような物に座る。
目の前のひらべったい木の上には、寝床に敷いてあった皮みたいな物の上に、何か丸っこい物が置いてある
食べ物のにおい。
青毛が、こちらに丸っこい物を見せながら短い音を出す。
「パン」「ぱん」
真似をすると、丸い物をちぎってこちらの口の前にだす。
食べろという事かな?
こちらが口をあけると、青毛が、ちぎった丸い物を押し込んで来た。
やわらかくておいしい。もっとたべたいな
おいしい丸い物を見せながら、また同じ音を出してくる。
「パン」「ぱん」
ちぎって出してくる。たべる。
ぱん、たべる、ぱん、たべる。ぱん、お腹いっぱい。
おいしい丸い物は、たべると水が飲みたくなる食べ物みたいで、のどがかわいて水が飲みたい。
ひらべったい所に置いてある水の匂いがする物を見ると、青毛はこんどはそれを前足に持って
「ミズ」「みず」
真似をすると渡してくる。
「パン」「ぱん」
真似はするけどもういらない。
こちらが食べなくなったのを見て、今度は青毛がおいしい丸いのを自分で食べはじめた
……ちがうでしょ?
青毛からおいしい丸い物をとりあげて、ちぎって口の前に出す。
うれしそうに口をあける青毛。
はじめての食事は、やさしくはじまり楽しくおわる。
触られもしなかったクマ肉を、そこに残して。




