44 黒 あやしい袋
頭に袋をかぶった生き物は
「我々は怪しい者ではありません、トンデンの街の自警団をやっているゴブリスと申します、後ろの者は部下達です」
あやしい生き物だった。
袋をかぶった3人?のあやしい生き物は、そろって前に見たゴブリンとだいたい同じくらいのワタシより少し高い背丈で、茶色っぽい肌、でも前に見たゴブリンとは違って肌はきれいなかんじがする。
「ああ、トンデンの亜人隊だな、そちらの事は知っている。急な野ゴブリンの迅速な始末、感謝する。おかげで子連れの旅も気軽にできるよ」
パパは、普通の人と話すみたいに喋っている。この生き物、ヒトなのかな?
「いや、まぁトンデンの方で少々色々ありまして……ゴブリン祭りが若干早まってしまったのですよ。周辺への被害が無いよう処理したかったのですが、いやお恥ずかしい限りで」
「ごぶりんまつり」
「ああ、二人にはまだ話していなかったか。トンデンの街の恒例行事でな、増え過ぎたゴブリンを野に放つんだ」
よくわからなかった。
「トンデンの街には普通にゴブリンが生活していましてね、ゴブリンが増えすぎると困りますので、定期的に無許可のゴブリンを排除するのですよ。因みにこの袋が、許可証とでも言いましょうか、トンデンの街に滞在する事が許されたゴブリンの証なのです」
ワタシがよくわからなかったのが分かったのか、ながいことばを何となく嬉しそうに話すと、そのあやしい生き物は袋を被った頭をワタシが見やすいように近付けて来た。
ひたいの所に『ゴブリン』と書いてあるその袋は、革をくっつけてできているみたい。
ところどころに鉄の飾りがついていて、その飾りの1つに字が書いてある。
これしってる、えっと
「かんりタグ」
「何の本を読んだ知識だよ……」
「ああ、これですか。お嬢さんなかなか良い所に目を付けますね、シリアルナンバーです、栄えある二桁ナンバーなんですよ」
鉄でできたそのシリアルナンバーは、ぜろ……えっと、ぜろぜろにぜろって書いてある。2は知ってるから、たぶん10がふたつ。
ぜろぜろはなんだろう?
「では我々はまだ哨戒任務がありますので、これで失礼します。この一帯はほぼ安全ではありますが、何かあったら大声で呼んで下されば駆けつけますよ」
「ありがとう、当てにさせて貰うよ」
ワタシが考えてると、あやしい生き物たちはパパに挨拶して去っていく。ワタシの方にも手を振ってきた。
「ゴブリンの事はゴブリンが1番良く分かっているからな。野ゴブリンになった同胞を討つ心情は俺達には察する事位しかできないが、彼等は彼等で仕事に誇りを持ってるみたいだし、手を抜く事もない。立派な連中だよ」
去っていくあやしい生き物の背中を見ながら、手を振り返すワタシに教えてくれるパパ。
んー……よくわからない。のごぶりんは敵なんでしょ?敵はやっつける、とどめさす。それだけじゃないのかな?
エントントンの時もそうだったなぁ。敵なんだからとどめさすしたかったのに、お姉ちゃんもとどめさすのはダメって言ってたし。
「ゴブリンは駄目っすよ、もう全然駄目、誇りってのがないんですよね、同胞を手にかけるとかオレたちコボルドではありえないですし!だから仲間であるオレの事は全力で信用してくれてオッケーっすかラボフォゥッフ!」
今まで寝たフリをしてたのに、あやしい生き物達が居なくなった途端に元気になったエントントン。
そのおなかに頭をのせて眠る事にしたワタシを見て、ブツブツ言いながらじっと動かなくなるエントントンをもう1回頭でおなかをゴツンとしてちゃんと静かにさせてから、ワタシは眠りの続きに帰ることにした。
説明回になってしまった。
お久しぶりです、ぐーぱんカタパルトです。
もはやいつも通りとなってますが、次がいつになるかわからないのでここで一旦切ってしまいました。
次のトンデンの街の前振りとして、野ゴブリンじゃないゴブリンを登場させてみました。
実はサクヤ達の国ではゴブリンとかも亜人に含まれていますが、まぁ人権を持って若干理性が芽生えたゴブリンだと思って貰えば概ね問題ないかと思われます。
ただ、トンデンの街以外ではあまり一般化はしていませんし、野ゴブリンとしてモンスター扱いのゴブリンも普通に棲息しています。
何故野ゴブリンなのか、は知ってる人も居れば、知らない人や気にしない人も居ますので、袋被ってないゴブリンは基本瞬殺されても文句は言えません。
ゴブリスはゴブリナとして出そうかすごい迷いましたが、萌え系の♀亜人はあんまり出すべきじゃないのかなぁと思った所で、どうせ袋被ってんだから分からない事に気付きました。
では、とりあえず今回はこの辺で。




