41 黒 クロとシロとハナカンムリ
エントントンを光って唸ってシャゴーンでやっつけた後、夕方までみゅすで走ったワタシ達は川のそばのひろばでキャンプをする事になった。みゅすを休ませてあげるために少し早目に休むことにしよう、ということみたい。
「ウマキノコいっぱいあったよー」「あったよー」
ばんごはんの準備のためにお姉ちゃんとワタシとで一緒に採りに行った草を、うれしそうにパパに見せるお姉ちゃん。
「ああ、こっちも後はこれを打ち込めば完成だ」
荷物のふくろから出した大きな布を、その辺の木の枝とかを使って四角い三角のカタチにしたパパ。テント?というカタチらしい。
「ほとんどは温め直すだけだし、料理は俺がやっておこう、コノハ達はもう少しその辺を散歩でもして来るといい。あまり遠くには行かないようにな」
「うん、じゃあお花畑あったからそっちで遊んで来るね」「くるねー」
おはなばたけ、おはなばたけ、と言いながら、ワタシと手をつないで変な走り方をするお姉ちゃん。おはなばたけはさっきウマキノコの草を採りに行った時に見た、お花がいっぱいあった場所の事だと思うんだけど、何をするんだろう?
お姉ちゃんが楽しそうだから、何か楽しい事なんだとは思うけど。
パパがつぶやいている声が聞こえてちょっと振り返ってみると「モドキが随分混じってるな……」と言いながらウマキノコの草を分けてるのが見えた。おいしいのが混じってるのね。
おはなばたけは、赤い花がいっぱいあった。
「すごーい、きれーい!すごいねーサクヤー!」
ワタシの手を離して、ジャンプしたりクルクル回ったりしているお姉ちゃん。ひさしぶりに変な動きをしてるから真似をしてみるけど
キレイ……なのかな?よくわからない。お花はお花、これはたしか食べてもおいしくないって本に書いてあったし、キレイはキラキラしてるものなんじゃないの?
楽しそうなお姉ちゃんは、今度はおはなばたけに倒れてごろごろしている。ごろごろ〜。……服にお花のにおいがついてへんなにおいがする。
おはなばたけに転がって空を見ていると急に強い風が吹いて来て、散らされた花びら達がワタシ達の上を飛んで行った。
赤い、紅いモノ、がソラを、ワタシのまわりを飛んでいる。
これ……知ってる……?
『『早く、こっち!』『黒、待って、もう走れない』『そんな事言ってる場合じゃないでしょ!走りなさい白!』
シロと呼ばれているワタシ。
手をつないで走っているワタシと、白い髪のクロ。ワタシのワケミ。
こわい、こわい、走り続けた足が痛い、引っ張られている手が抜けそうに痛い。……捕まったらどうなるんだろう』
……唐突に、頭を触られて思わず飛び上がるワタシを見て笑いながら、ワタシの頭にあかい花を丸いかたちにしたもの、2つのはなかんむりを、ワタシと自分の頭に乗せるお姉ちゃん。あかい花のにおいがする、へんなにおい。
視線を戻した先には、クロはもう見えなかった。ワタシはここにいる、ワタシはサクヤ、シロくない。
「そろそろ帰ろっか」
ワタシの手を取るお姉ちゃん。
そう、ワタシ達は旅の途中。王都へ向かう旅の途中。走らないでゆっくり歩いてパパの所へ帰った。
「お前、いい加減しつこいぞ」
「親分!師匠にオレが子分だって事説明してくれよ〜」
パパはとりこみちゅうだった。




