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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
二章 タビにでる
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38 黒 ひつじ

 お風呂から上がって、やきがしを食べる。

 きがえが先、わかった。

 きがえ終わった、やきがしを食べる。

 パパと一緒に食べる、わかった。


「なあコノハ、何でサクヤこんなに不機嫌そうなんだ?」


 椅子とテーブルがいっぱいの、宿屋の食堂に着いたワタシとお姉ちゃんを見たパパは、不思議そうな声を上げた。

 えっと……3人の大人の人と何か話してたみたい。


「ちょっとごはんのお預けが長かったみたいなの」

「やきがし」

「ああ、そういう事か。すまんが、これから食事なんで今日はここまでだ」

「了解っす!あざっした!」「ありがとうございました」


 うなづいたパパが一緒に居た大人の人達に言うと、ありがとうを言って去って行く大人の人達。

 部屋の中は結局ワタシ達だけになった。


「何してたの?」

「ああ、探索のコツみたいなのを聞かれてな、経験談を話してたんだ」

 お姉ちゃんに答えるパパ、たんさく……しってる、冒険者の人がやるやつ。


「わたしも聞きたいー」

「お前にはまだ早いさ、というかサクヤのほっぺたがそろそろパンクしそうだぞ、さっさとメシにしよう」

「ひつじ」

「いやわからんが。……ああ羊の形のメレンゲか、って多いな。 まあそれはともかく水はセルフサービスだから、足りなかったらあそこの水瓶から汲んでくれ、じゃあいただきます」


 順番にツッコミを入れたパパは、みんなの分のお水をコップに汲んで持って来てから、くしやきの肉をおいしそうに食べていく。

 お肉おいしいのかな?ワタシがやきがしを食べながら見ているのに気付いてパパがくしやきを一本くれたけど、かたくてしょっぱかった。お姉ちゃんたべて。

 ワタシがくしやきをひとくち食べて渡すと、ちょっと笑って食べるお姉ちゃん、お姉ちゃんもひとくちだけ食べて、くしやきはパパの所に帰っていった。



 そんな食事をしていると、入り口の方で何かガタガタと音がしだした。

 誰かが何かを引きずるような?


 ドアを開けて入って来たのは、尖がった人と、引きずられたエントントンボルトだった。

 たぶんあの時のエントントン。

 エントントンは何故かボロボロになってるけど、それが普通な気もするなぁ。


「さあ、見逃して欲しければキリキリ注文するです! or Die」

「選択肢無いよな?それ。じゃあオレもアレと同じ物で」

 最後だけ変なしゃべり方の尖がった人に、パパが食べてる串焼きを指差すエントントン。


「そんな安物はありません」

「え?えーっと」

 はっきり言い切る尖がった人、ワタシ達が買って来た物だから、ここでは売ってないのはワタシにもわかるのにエントントンにはわからないらしい。



「お勧めは本日のオススメニュウ・シェフの全力焼きとなっております」

「よくわからないけど、どうせそれしかないんだよな?」

 エントントンの注文は決まったらしい。


「はーい、お代は前払いですよ、銀貨1枚になります」

「めちゃくちゃ高い!?銅貨20枚分じゃないか!」

 なんだか、エントントンは文句ばっかりなのね。




 大さわぎしていた尖がった人がエントントンからお金を受け取って部屋の奥に入って行くと、なんとなくワタシと一緒にそっちを見ていたお姉ちゃんとパパが話し始める。


「そうそう、今日わたし初めてゴブリン見ちゃった!」「ブフォア!」

「きたない!」


 いきなり水を吹き出すパパ、きたない。


「ガフォ、けけけ、怪我は!?」

「もちろん、サクヤが守ってくれたからだいじょぶだったよ」

 変な咳をして、みゅすみたいな声を出すパパに、お姉ちゃんがふつうに答える。


「おとなのひといっぱいきた、えんとんとんやっつけてひっさつわざ、おぼえた!」

「んー……とりあえず人目が届かないような所には行ってないって事か、えんとんとんは流石にわからん」


「えんとんとん」「えっと!そうそう、サクヤが必殺技覚えた時から聞きたかったんだけど、パパには必殺技とかないの?」


 落ち着いたらしいパパにワタシがエントントンの事を教えてあげようとしたら、お姉ちゃんが割り込んで来た。

 そこに居るんだから教えてあげればいいのに。

 でもパパのひっさつわざはちょっと知りたい。


「急だな、必殺技か……ちょっと難しいかも知れんが、腕前が互角以上の相手との戦いだったら、個々の技じゃなく一太刀ごとにきちんと意味を持たせなければならない、逆に一太刀で終わる相手であれば、ただの一太刀でも相手にとって見れば必殺技になるんだ」


「?」「?」「まあまだ分からないだろうな、俺は何でもやるから自分で必殺技と呼ぶような技は無いって事だ」


 なんだかよくわからない、お姉ちゃんもわからなかったみたい。

 ひっさつわざ、ないの?


「かっけー!」

 首をひねってるワタシ達のテーブルに、エントントンが走り寄って来た。


「なーなーあんた剣士の人だよな?俺を弟子にしてくれよ!」

「更に急だな、今は旅の途中だし俺は弟子は取らないから駄目だ、そもそも弟子なんて思い付きでなる物じゃないし、お前誰だ」


 子分になったり弟子になったりいそがしいエントントンに、いろいろツッコむパパ。

 お姉ちゃんはなんか頭をおさえてる。


「そんな事言わずにさー」

「駄目だ、というか誰だ」


 しつこいエントントンと、断るパパ、そして


「おまたせしまくりました、覚悟はできましたか?シェフの全力焼きでーす」


 エントントンのごはんが出来上がったみたい。

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