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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
二章 タビにでる
31/46

31 黒 おねえちゃん

 お姉ちゃんの青毛に連れられて、町の大きな門をくぐる。

 兵士の人が笑って手を振って、お姉ちゃんの青毛が手を振り返してる。


「こんにちわ」「こんにちわ〜」

「こんにちは、慌てて転ぶなよー」


 町の中には、人があふれてた。

 森の木みたいに多いのに、木みたいに一箇所に止まってない。

 それぞれがそれぞれに、自分のオモイで歩いている。



 人ってこんなにいっぱい居るんだなぁ、って考えたワタシの方に向かって、一気に押し寄せて来る感情(オモイ)の河。


 ワタシに向けられてはいないんだけど、押し寄せて来るその流れの圧力だけでワタシのココロが押し流されそうになる。 

 やさしい、こわい、つよい、よわい 目がぐるぐるする。


 まわる、まわる、景色

 まわる、まわる、足元

 まわって、落ちていく、ワタシ


 上の方?下の方?

 お姉ちゃんの青毛がぐるぐる回りながらなにか言ってるけど、何を言ってるのかわからない、ぐらぐら揺れる視界。


 ゆっくりと、だんだん激しくなっていく頭の痛み、とても強いチカラのナニカがワタシの頭を締め付けてひねって引っ張っている。


「あたま、はずれる……いたい」


 それだけ口にした所で、ワタシの意識はあっさりと暗闇の中に落ちて行った。





 目が覚めたのは、たぶん朝?

 知らない場所だけど、心配の感情を撒き散らしてる、お姉ちゃんの青毛は隣に居る。

 ワタシが起きた事に気付くと、安心の感情を撒き散らして抱きついてきた。


 感情が強い、あたま痛い。


「ふゃぁ〜」


 声がコトバにならない、あっさり気絶できない分余計に辛い。

 心配と安心と不安、ぐるぐる変わるお姉ちゃんの青毛の感情、どれも強くて痛い。


 だれかタスケテ。


 何かの音と一緒に、いくつかの感情が部屋に入ってきたのがわかる。


 心配と心配と、なにか抑えた感情。

 あれ?感情って抑えられるんだ?

 じゃあ、感情を感じるのも抑えられるかなぁ?


 痛む頭でそう考えて、試しにやってみると感情から感覚を逸らす事ができた、頭が少し楽になった気がする。

 だいじょうぶ、やれる、やれる、やれないと困る。


 受け取る感情(アタマイタイ)から自分の意識を逸らす事に全部のチカラを向けると、少しずつスーッと楽になっていく頭。

 頭から出ている、周りの感情を見る感覚?

 目を逸らして閉じるみたいに、その感覚を閉じる事が、できた……かな?。


 たぶん自分で開く事もできると思うけど、人が多い所ではやらない方がいいと思う、ぜったい。

 まだ少し気持ちが悪い、馬車酔いの方が楽だったよ?



 自分の感覚が戻った視界の中、ワタシに抱きついて泣いてるお姉ちゃんの青毛が見える。


「おねえちゃん、もうだいじょぶ」


 顔が涙でグチャグチャになってるお姉ちゃんは、ようやく泣き止んでくれた。


「よかった、心配したんだよ〜?」


 あ、感情を見なくてもわかる、泣きながら笑ってるお姉ちゃん。

 ほんとにお姉ちゃんって呼んだら喜ぶんだなぁ、空気よめない人も意外と役に立ったのかも知れない。

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