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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
一章 ヒトになる
24/46

24 黒 ワタシの魔法

 月明かりの中、登った屋根の上から、森に走っていくパパとスズメさんが見える。


 走り行く先に敵が居た、オオカミの群れみたいだ。

 でもおかしい、パパ達は何も合図を出そうとしない、なんか様子がへん。

 何もないとこでいきなり剣を振ってたりする、あれは合図とは思えないんだけどなあ。

 あ、こっちを見た、なんか首を横に振ってる。

 あれは「ダメ」の合図だったと思うけど、青毛は見えてるのかな?

 えっと、ダメの合図は合図?合図じゃない?

 合図じゃないは合図でえっとえっと……?


 どうしていいのかわからなくなったワタシの横で、青毛が手に持って準備していたアイアンシールドとアイアンハンマーを打ち鳴らして叫ぶ。


「敵襲!敵襲!みんな起きてー!」


 ああ、やっぱりあれは合図だったんだ、さすが青毛、ちゃんと見分けがつくのね。


 感心したワタシの隣で、青毛が倒れた。


 え?


 青毛の手になにか生えてる、木の棒?

 これは、矢だ!弓で飛ばすやつ!


 動かなくなった青毛を、屋根の窓から家の天井裏の部屋の中へ引きずり込む。

 えっと、えっと、えっと、えっと……

 考えがまとまらない、おちつけ、おちつけ青毛はまだ死んでない。

 矢が刺さったらえっと、矢を抜いて血を止める!

 矢を引き抜くと、悲鳴を上げて飛び起きる青毛、よかった、ちゃんと生きてた。

 矢尻までちゃんと抜けてるからだいじょうぶだと思う


 つぎは血を止める、と思ったら青毛が

「自分でやるから」

 と言い出したから任せることにした。

 ワタシにはやる事があるから。


 アイアンシールドとアイアンハンマーを持って、屋根の上に戻る。


「敵襲!敵襲!みんなおきて!」


 鉄を打ち鳴らし、叫ぶ。来い!


 さっきと同じ方から飛んで来た矢を、盾ではじく。見つけた、弓のやつ。


 見つけたんだけど、どうやって攻撃しよう

 アイアンハンマーはちょっと投げるのには向いてないかなあ。


 ああ、そうか、無いなら作ればいいんだ。

 魔法を使うのは集中力、わかりやすい。

 やりたいのはアイツに思い知らせる事

 アイツが青毛にした痛いよりいっぱい痛いにする!


「痛みよ!」

 手のひらの上にチカラが集まる、まだ足りない。

「痛みよ、痛みよ、痛みよ、痛みよ……」

 上に向けた手のひらに伝わってくる重み、よし。


 わたしの魔法は大きすぎて飛ばない、それを更に大きくしたんだから、自分では飛んでいかない。

 なら投げればいい、小石を投げるのと同じ事、いっぱい練習した。

 力を込めすぎない、抜きすぎない、狙いを定めて、投げる!


 ワタシが一回しか騒がなかったから、倒したと思ってたんだと思う。

 完全に油断していたアイツ(弓のやつ)に、直撃する痛みの塊。


 パパパパパンッパパパパパパパパパパ


 モズさんが見せてくれた花火の魔法の種類のひとつ、かんしゃく玉

 投げたら爆発する、べんりな魔法。

 ひとつひとつの威力は弱いけど、いっぱい投げればーー


 アイツが、くろくろ焦げの、チリチリパーマになって倒れているのを確認して

 気が済んだワタシは、いつの間にか窓からのぞいてた青毛の所に帰った。

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