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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
一章 ヒトになる
23/46

23 青 決意

 お泊まりしていたモズさんの家、なんかモゾモゾしてるサクヤの身じろぎで目覚めた。

「おはよう」という挨拶に返事したサクヤをいきなり抱きしめるモズさん。


「朝起きた時に一人じゃないというのも、いいもんじゃのう。

なあ、おぬしうちの子にならんか?」

 ほんとサクヤはモテモテですね。

 うちの子ですけどね。


 紅茶と昨日の野菜サンドの朝食、サクヤは紅茶苦手なのかも?にがい〜って顔してる。

 朝食が終わるとすぐに本を読みに入るサクヤ、食べてる間もチラチラ見てたし、読みたかったらしい。

 これは邪魔しちゃ可哀想かな。


「わたしお洗濯とかで一回帰るから、サクヤおねがいしてもいいかな?」

 モズさんになら任せてだいじょうぶだと思う、本を読むだけだし。

 サクヤ使用上の注意、みたいなのをモズさんに軽く教えてから、いってきまーす。


 と、モズさんの家を出て扉を閉めた瞬間、隣の家の玄関がすごい勢いで開く。

 そう、スズメさんの家。


「お、おはようサクヤちゃん偶然だなワタクシ今から朝の訓練にいくんだが良かったら一緒にいかないか?」

 ひと息で言い切るスズメさん。

 あのー……居ませんよ?


 時間停止は3秒くらいでした。

 真っ赤になって、すごい形相でモズさんのうちに突撃しようとするスズメさん、お勉強中だから邪魔しちゃダメです。


「わたしが遊んであげるから、お勉強の邪魔しちゃだめですよ〜」

「……なんかこっちがガキみたいだな、まあコノハがわきまえてんのに大人が騒ぎ過ぎんのもみっともねえか」


 なんとかクールダウンしてくれたスズメさんだったけど

「じゃあ、遊びにでも行くか!」


 わたしは自己犠牲という選択肢を選んでしまったのかも知れない。

 一日中スズメさんのあそび(訓練)に付き合わされてしまいましたよ、ええ。


 つかれた〜、サクヤ分補給したい〜

 なんとかスズメさんの遊びから解放されたわたしがモズさんの家に入ると、今度は半泣きのモズさんに絡まれる。

 サクヤにずっと本を読ませてたら間が持たなかった、というかほとんど構って貰えなかったらしい。

 アドバイスが足りてなかったかなぁ、でもお勉強を中断して遊んでいられたら、わたしの自己犠牲が切ない事になるし。

 こっちはこっちで大変だったのね。


 軽くアドバイスした後、わたしを見て本を置いてくれたサクヤを抱き上げてサクヤ分補給〜とかやっていると、バコンと壊れそうな音を立てながら開くドア、我慢が限界突破したスズメさんが来襲してきましたよ。


 まあ二日連続でモズさんにサクヤもってかれたら、暴れ出しても仕方ない気はしないでもないけど、モズさんも大していい思いはしてないのよね。


 というかすごい汗臭いよ、どうやったらこんな汗臭くなるのやら、モズさんの表情も、クサイを全力で表してる。

……わ、わたしはちゃんと濡れタオルで拭きましたよ?


 結局、スズメさんを家に入れるのを嫌がったモズさんの提案で、全員でお風呂に行く事になった。


 お風呂小屋に置いてあるタオルや入浴用具は、みんなが買って来てくれたサクヤへのおみやげで少し豪華になっている。

 洗浄の小魔石(チップ)入りのブラシなんていう珍品までありますよ。

 効果が限定されているチップが付けられている、ブラシの毛の付け根から洗浄の泡が出るやわらかめのブラシで、頭と身体を洗う物で、いまスズメさんとモズさんが奪い合ってるあれです。


 右にモズさん左にスズメさんでガッチリガードされたサクヤは、観念した表情で洗われてます。

 サクヤちょっと痛そうにしてるけど、これはもう仕方ないよね。

 自分も良くやられたなぁ、と思い出しながら、平らなココロ(平常心)でゆっくり自分を洗うわたし。

 わたしの時はツルさんも参戦してたから、もっと酷かった記憶があるんだけど、それはそれとして


「はい、次はわたしの番で〜す」


 サクヤを洗い終わったみたいなので、先に自分を洗い終わってるわたしがお湯に入れる係を横から持っていく。

 しまった!という顔をしている、まだ自分を洗い終わってない2人。

 とりあえず、ぜんぶ持って行かれるのは回避しとかないとね。


 どうやら、わたしがノータッチだったのが不満だったみたいで、ちょっとほっぺたを膨らませてるサクヤ、ほっぺたをぷにっと抑えるとプシューっと息を吹き出す。かわいいやつめ。


 そして、やっぱりお湯に浸かると眠くなるみたいで、頭がグラグラ揺れるサクヤ。

 だいじょうぶ、寝ちゃっていいよ、と優しく声を掛けると、コテンとなった。


 帰りは、サクヤを運ぶのはモズさんで、スズメさんの家に眠る、という話で収まったみたいです。

 えっと、わたしは抱っこされなくても歩けるんだけどなぁ。




 ーーわたしを揺する、小さい手

「おきて、おきて」

 喋る事自体に慣れていない、カタコトの幼い声。


 珍しい事に、サクヤに夜中に起こされました。

 というかサクヤが夜中に起きてますよ。

 わたしたち3人、わたしとモズさんとスズメさんを起こして、告げるサクヤ


「てきくる、いっぱい」


 うん、さっぱりわかりません。

 スズメさんとモズさんも、訳がわからないって表情。


「てき、たべられる、くる」

 今度はわたしに向けて、なんか必死な顔で話して来る

 これは遊びとか冗談じゃない感じがする。


 翻訳して2人を説得するのはわたしの仕事だよね。


 スズメさんとモズさんに説明してみるけどやっぱり半信半疑な2人。


 自分が動いてみせるのが1番早いかな。

 今わたしがやるべき事は?

 パパを起こすべきだ、と判断する。

 わたしは自分では戦えない、でもだからって何も出来ない訳じゃないんだから。


 納得してくれたのか、準備を始める2人と、ついて来るサクヤ

 ひとりじゃ心細い所だったから嬉しいな。


 月明かりの中、敵が来ているらしい夜の河原の道。

 わたしにはあんまりそんな感じはしないんだけど、わたしの手を引っ張って急いでるサクヤは明らかにソワソワしながら森の方をチラチラ見てて、何かを感じてるのはそっちなんだな、というのがわかる。


 家に入ってパパの部屋へ、寝ているパパを悪いけど起こそう。


 どーん!と、寝ているパパに飛び乗るサクヤ、なんというか、遠慮?容赦?がない。

 そしてそんなサクヤから叩き起こされても冷静に対応するパパ、即座に時間の余裕を確認してる。

 あとやっぱり森の方から何か来るのね。



 自分の装備を整えながら、屋根に登って合図を待つように指示して来るパパに素直に従って、みんなを起こすための準備をする。

 合図があったら、屋根の上で大騒ぎすればいいのよね?。


 わたしが自分の仕事の準備をしてると、家の出入り口の方でスズメさんとモズさんが来たのがわかった。

 だいじょうぶ、パパもひとりじゃない。


 サクヤと一緒に、わたしはうちの屋根(わたしの戦場)に向かった。

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