表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
一章 ヒトになる
21/46

21 青 はなび

 また、にらみ合いを始めたスズメさんとモズさんだったけど、順番は順番だし、割とあっさり折れたみたい。「ぐぬぬぅ」とか言ってるから、まだ遊び足りないんだとは思うけど。


「ぐぬぬぅ」

 真似をしたサクヤを抱き上げて、

「やっぱりこの子はうちの子になりたいに違いない、だって怪力だもの!」

 意外と往生際の悪いスズメさん。

『だめー』「だめー」

 わたしとモズさんの声が唱和して、サクヤがトドメを刺した。

 ガックリしながらも、素直にサクヤを下ろすスズメさん。


「じゃあ今度はワシの番じゃの」

 と言いながら、嬉しそうにサクヤを抱き上げるモズさん。

 ずっと抱っこしたかったんだろうなあ。


 そのまま川の下流、わたしの家とは畑を挟んで反対側の、モズさんの家の前の河原へ移動する。

 移動の間に、今度はモズさんの名前を教えておこう。

 ちゃんと真似するサクヤと、にやけてるモズさん。

 スズメさんとは似たもの同士なのよね。


 名残惜しそうに家の前までついてきたスズメさんを

「お前はさっきまで遊んでいたのじゃぞ、今度はワシの番じゃ、帰れ帰れ」

 と宣告して追い払う。

 モズさんはさっきまでちゃんと離れてたから、スズメさんの分が悪い。


 ここで、スズメさんがじゃあ1時間後に迎えに来る!とか言い出したらめんどくさいな、と思ったけど、どうやら思いつかなかったみたい。

 わざわざ自分から事態を面倒にする事もないからほっとくと、ぐぬぬぅを残して去っていった。


「ぐぬぬぅ」真似するサクヤ。

 サクヤに変な言葉を教えないで欲しいんですけど。



 去っていったスズメさんから、モズさんに意識を戻すと、もう教えたい事が決まってるみたいで、川に向かって魔法の構えを取るモズさん。


「水よ!」


 突き出したモズさんの手からバケツ一杯分くらいの水の塊が現れ、手のすぐ先の空中に浮かぶ。


「お〜」と声が出る。

 わたしだと、この量を出そうとしたら気絶ラインです。


 だけど、まったく興味がなさそうなサクヤは、川の方に目を向けている。

……ああ、うん。たしかに目の前の川のほうが水量多いよね。


「ぐぬぬぅ」

 なんか悔しがるモズさん。どうやら最初のつかみで魔法を見せて尊敬させる、とかそんな感じのプランだったらしい。


 サクヤにビシッと指を突き付けて、

「ならばお主の力を見せてみよ!」

 と、挑発するモズさん。

 文が長かったみたいで、明らかに言葉が通じてないサクヤ。

 見た感じ、どうやらわたしが通訳するしかなさそう。


「水よ」

 川に手を向けて、魔力を込めずに言ってみる。

 サクヤがこのまま真似して魔法が出なくても、それはそれでモズさんのプライドは守られるから問題ないし。


「みずよ」


 サクヤの魔法は、簡単に発動した。

 手のひらサイズの滝みたいにばしゃばしゃ出てる水。制御はまったくされていないみたいで、手の前に留まったりはせずに、ただ流れてる。

……まぁ、サクヤだしね。


 えーと、どう言えばフォローできるのかな、これは。

 なんかプルプルしてるモズさんの横顔を見ながら、穏やかに済む方法を考える。


わたしが良い案を思い付くより早く、モズさんが自分で動いてきた。


「もういっかい!」

 マグレだった、という事にするつもりですか。

 もういっかい水を出すサクヤ、もちろんマグレではないので普通に、というか普通じゃないけど、さっきの勢いで水がでる。


 何回も水の魔法を要求しているモズさん、ああ、これはそろそろサクヤ飽きるなあ。


 すぐにふてくされて、川のほうに石を投げ始めるサクヤ、固まるモズさん。


「よしわかった、魔法制御の粋という物を見せてやろうぞ!腰を抜かしても知らんぞい!」


 なにがわかったのかはわからないけど、なにか珍しい物を見せてくれるみたい。

 モズさんは、気分次第で色々おもしろい魔法を使ってくれるのです。


「魔法みせてくれるのはいいんだけど、怪我しない魔法にしてね?モズさん」

 軽い頭痛がする頭を押さえながら、いちおうモズさんの理性に賭ける。


 はっ!と気付いた顔になるモズさん、あぶなかった?これ今あぶなかったの!?


「炎よ、乱れ飛べ!」


 ギリギリで正気に戻ったモズさんが使ったのは、花火の魔法だった。

 小さな火花が飛び散る、綺麗な魔法。

 夜だったらもっと綺麗なんだけどなあ。

 魔法を使いこなせるようになったら、わたしにも使えるらしいんだけど、ムリです。


「ほのおよ、みろみろべ」すぐに真似をするサクヤ、手の前に撒き散らしたような炎が流れる、あぶないよ!

 成功しないのが気に入らないみたいで、何回もやってるサクヤ、すごい暑くなる周囲。

 4回ほどやって、本人も暑くなったのかあきらめてる。


「ふっふっふ、、そう簡単に真似できるもんじゃないわい」

 嬉しそうなモズさん、どうやら機嫌は直ったみたい。


「よしよし、ワシ程ではないが、お前には脳みそまで筋肉になるより魔法の方が向いとるようじゃな、ウチで本でも読んで行くとよいぞ」

 サクヤを抱き上げて頬ずりしながら、サクヤのマイブームで釣るモズさん。

 そのへんもリサーチ済みなのね。

 本、と聞いて嬉しそうな表情になるサクヤを見て更に嬉しそうになるモズさん、いい循環ですね。


「ほん、よむ!」

 と答えるサクヤ、これはどうやら長くなりそうだし、寝間着とか準備してこよう。

 サクヤをモズさんに任せて、1度うちに帰ることにした。


 パパと2人、パパが先に食べ終わる、いつもの夕食を取って、念のため軽く野菜を挟んだサンドを準備してからモズさんのうちへ。


 ノックすると、はいはーいという声で迎えてくれるモズさん、開いたドアに入ったら

……なんか、すごい顔で威嚇しようとして途中で止まったサクヤが、椅子の上で身構えてました。


 クシャミが出そうで出ないトラみたいな顔になってますよ、サクヤさん。


 後から、モズさんが怖い話の本を読ませたと聞きました、反応が見たかったみたい。たぶんその影響なんだろうなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ