〈2-20〉友達として
魔法大祭決勝戦で突然起きた事件。
それは無事平和に解決し、元の日常へと戻った。
だが、あの場にいた誰もが、どこか腑に落ちない気持ちでいっぱいだった。
結局あれは一体なんだったのか。
突然訪れたリゼットの変化、あれの原因は一体何なのか。
────彼女は一体、何を抱えて生きているのか。
誰もその気持ちを胸の奥に隠していた。
帰り道でリゼットと別れた後、三人はスピカの家に集まった。
「みんな、集まってくれてありがとう。まず初めに言っておくけど、ここで話したことは絶対にリゼットには話さないことを約束して欲しい」
スピカがそう言うと、シキとヴェーターは黙って頷いた。
「うん、じゃあ早速だけど……」
スピカは真剣な眼差しで二人を見つめる。そして、そのまま続けた。
「リゼットは、私たちの知らない、知る由もない大きな何かを抱えている。それは魔法の才能がありすぎて恐がられていたとか、その逆で昔は魔法の才能が無くて虐げられてたとか、そういうものじゃない。きっと、私達にも決して話すことの出来ない大きな秘密があると思うの」
淡々と話すスピカを前に、二人は一言も口を挟まず、ただ黙ってそれを聞いていた。
いつもなら割り込むように口を挟むシキでさえ、沈黙を貫いていた。
「今の私達には、彼女が何者なのか、何を抱えて生きているのか、何一つ分からない。でも…」
スピカはあの時のリゼットの姿を思い出し、俯くが、その顔はすぐに柔らかいものとなり、再び二人を見つめる。
「例え彼女の抱えるものが私達の想像できない何かだったとしても、私達が友達という事実は変わらない」
スピカの言葉に、二人は小さく笑みを浮かべて頷く。
「だから、もしあの子が抱えるものの正体を知った時、あの子が壊れてしまいそうな時、私達が支えましょ」
スピカの決意の言葉に、声を発したのはヴェーターだった。
「僕は、リゼットに助けられた。みんなと一緒にいられるのも、彼女のおかげなんだ。だから、僕も助けたい。僕を救ってくれたリゼットを、次は僕が支えたい」
ヴェーターは、リゼットが初めて一緒に帰ろうと声をかけてくれた日のことを思い出し、彼もまた決意の言葉を示す。
「うちも!リゼットはもちろん、みんな友達だから、だから友達が辛い時はうちが元気にしてあげたい!!」
シキもまた、四人で過ごした日常を思い出し、決意した。
「それじゃあ、決まりね」
スピカの一言に、二人は大きく頷く。
「友達として、私達でリゼットを支えていきましょ!」
こうして、三人だけの話しは幕を閉じた。
リゼットが抱えるもの、それはまだ誰にも分からない。
けれど、それを受け止め、支えるのが友達の役目。
いつか来る彼女の正体が明かされるその日まで、三人とも今日のことはそっと胸の奥へと隠した。




