表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WitchDoll〜傀儡人形は夢を見る〜  作者: うつろ
Chapter-2【魔法大祭編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/45

〈2-4〉想像の先に

鍵。

この迷宮を脱出するために必要不可欠な条件キーアイテム

それは、何かしらの魔法を使うことで入手する。そこまでは整理できていた。

問題はその先だった。

「……………………」

迷宮の中、リゼットは静かに思考を巡らせる。


魔法は、あらゆる現象を引き起こすことの出来る不思議な能力。

だが、指定された鍵をその場へ出現させる魔法など、本来存在するはずがない。

もしそんなことが可能なら、それは既に固有魔法の領域だ。


「何かないかなぁ〜、いい魔法。あっ、リゼット!!!!どこかにある鍵を盗む魔法とかは!?!?」

「……………………無い」

リゼットは即答する。

彼女は考えるより先に動くタイプだった。

だから今も、頭の中は魔法のことでいっぱいなのだろう。

「リゼットずっと考えてるぅうう!!全然動いてない!!」

むすっと頬を膨らませるシキ。

長時間思考を繰り返しているせいか、迷宮を楽しみたい気持ちの方が強いシキは流石に飽きが来てしまっている。


「……………………」

リゼットはただ静かに、ひたすらに考えた。

鍵は探せない。魔法を使わなくてはならない。

だが、その魔法が何一つ分からない。

どの魔法を想像しても、鍵に繋がるような魔法が何一つ浮かんで来なかった。


「あーあ。鍵ぃいいいい、はやく出てこないかなぁ」

シキが天井を見上げる。

「急に鍵が出てきて、上からポーン!!って降ってきたりとか!!!」

「……………………無い」

「想像してみただけじゃん!!!」

シキは大袈裟に肩を落とし、顔を膨らませる。

「ううぅ、もう動きたいよおぉーーー!!考えるのつまんないぃいいいいいーー!!!!」

シキは駄々をこね始めた。

リゼットは小さくため息を吐き、少しだけ呆れたような視線を向ける。


もう長時間、答えの見えない思考を繰り返していた。

どう繋げようとしても最後の一つだけが見つからない。

もう体力の限界も近かった。


───────────その時だった。



 カランッ

「ん???」

突然、足元で小さな金属音が鳴る。

シキが反射的に視線を落とす。

そして…


「あああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」

迷宮全体へ響き渡るほどの絶叫。

「…………………な、なに。うるさい……」

流石のリゼットも驚きに耳を塞ぎながら、少し怒ったような眼でシキを見る。

するとシキは、その瞳をこれ以上ないほど輝かせながら飛び跳ねていた。

「あった!!あったよ!!!!リゼットリゼットリゼット!!!!」

「……………………?」

「鍵あった!!!見て見て見て見て!!!ほら!!!鍵!!!!鍵!!!!鍵があったんだよ!!!!!」

シキが勢いよく自分の足元を指差す。

そこには、今まで存在していなかったはずの鍵が確かに存在していた。


「………………………え」


リゼットの思考が止まる。

ついさっきまで、何も無かった場所。そこへ突然、鍵が出現していた。

魔法は使っていない。それどころか、使おうとすらしていない。

それなのに、鍵は確かにそこにあった。


「………………魔法、何使ったの」

「何も使ってない!!!」

「………………………………………え?」

予想外の返答にリゼットはただ困惑する。

シキは無邪気な笑顔のまま続けた。

「鍵が出てきて、ぽーん!って落ちてくるのを想像してたらね!!なんか出てきた!!!」

「…………………………」

その瞬間、リゼットの中でバラバラだった情報が一気に繋がり始める。



”想像”。

「…………………そういうことなの…」

「どうしたのー!?」

「……………………鍵の、条件」

リゼットは静かに呟く。

そして、ようやく理解した。鍵を入手する方法を。


魔法とはまず、その魔法を”想像イメージ”することから始まる。

そして、それを詠唱と結びつけ、心の中で唱える。

こうして初めて魔法は形になり、発現される。


つまり、この迷宮の鍵は

”魔法を使う”ことで出現するのではない。

”魔法を使う過程”を利用することで迷宮内の魔力と共鳴し、初めて姿を現す仕組みだったのだ。


リゼットの分析とシキの感覚。

そのどちらか一つでも欠けていれば、この答えには辿り着けなかっただろう。

二人だからこそ見つけ出せた答えだった。


「…………………あった…」

「うん!!あった!!!見つかったんだよ!!!多分、うちらが一番に!!!!」

「………………うん。ありがとう、シキ」

そう言って、ほんの少し微笑んだ顔でリゼットはシキを見る。

「えへへぇ〜〜〜」

シキは満面の笑みで返した。

そして…


「頼んだよ!!リゼット!!!」

「………………うん」

リゼットはそっと人形を宙へ浮かせる。

「……………………傀儡魔法」

「………………複製」

瞬間、十数体もの同じ人形がリゼットの周囲へ現れた。


「………………お願い」

「うん!!!」

リゼットが声を掛けると、シキはその手に持った鍵をそぅと一体の人形の服の中へ隠す。

「………………後は、お願い…」

「スピカーーー!!ヴェーターーーー!!!頑張れえぇーーーー!!!」

鍵を隠した人形は、迷宮の奥へと進み出した。


その直後




〈鍵の入手が確認されました〉




アナウンスが響くと同時に、空中へ迷宮の地図が表示された。

青いマークが自分達、赤いマークが鍵の所持者。

二つのマークは完全に重なっていた。

つまり、リゼット達が最初の鍵の入手者ということをそこに表していた。


「わわわわわ!!リゼット!!もうバレちゃったよ!!!!」

「……………………うん。でも」

リゼットは静かにシキを見る。

「大丈夫!ちゃんとわかってるよ!!」

シキはその瞳に答えるように、力強く笑みを浮かべてリゼットを見つめ返す。

「スピカもヴェーターも大丈夫!!!それに、スピカってすっごく頭いいから!!この作戦、絶対成功する!!!!」

「………………うん」

自分達の役目は果たした。後は二人が必ずやり遂げてくれる。

リゼットも、シキも、二人を信じた。

「リゼット!行こ!!」

「……………うん。捕まって」

そう言われ、シキは迷いなくリゼットへ抱きつく。

リゼットの肌は、とても柔らかかった。

「…………………飛ぶよ」

リゼットは数体の人形を周囲へ配置する。

そして、魔法で風を発生させた。

「行こーーーー!!!!」

風が渦巻き、その勢いを増す。

そして、二人の身体が一気に前方へと押し出された。


「うおぉおおおおお!!すごい!!!ジェットコースターみたい!!!!!」

「……………シキ、敵は」

シキは反対側を見ると、すぐさまリゼットの方に振り向いて答える。

「今この近くにはいない!!!このまま進んで!!!」

「……………………うん」

風に乗り、二人は迷宮の中を駆け抜けていった。




───────────────




「や、やったんだ……」

最初に小さく呟いたのはヴェーターだった。

目の前に現れたモニターの地図に表示された赤いマークと、自分達の位置。

重なるそれが意味するものを理解し、安堵したように息を吐く。

「よかった………。流石だわ。シキ、リゼット」

スピカもまた、安心したようで静かに肩の力を抜く。

しかし、本番はここからだ。

その刹那。安堵を押し込み、その表情を変える。

「さて、ここからは私達の番ね」

「う、うん……。怖い……けど頑張るよ」

ヴェーターの心には、まだ恐怖が残っている。

けれど、リゼットとシキが鍵を手に入れてくれた。

そして、隣にはスピカがいる。

そう思うだけで、不思議と今を乗り越えられる気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ