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にくきゅう薬局  作者: 渋谷 春
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第25話 病院から薬局へ その1

「んで、その帰り道にキサラと運命的な出会いを果たしたのよ!!」

美夜先生は病院に対する不満をぶちまけているときもなんだか楽しそうだ。もう過去のことだからと割り切っているからなのかもしれない。

「でもまだ病院で働き始めて半年くらいですよね?それでよくやめる決心つきましたね。」

「まあ、大学の先生たちには辞めない方がいいって止められたわね…。でも、運がいいことに朝雪が知り合いの薬局紹介してくれてね!それがここになるんだけど、本当に運が良かったわ。今までやってた人が定年でやめるから引き継いでくれる人をちょうど探してたのよ。」

そんなことがあるのだろうか…。まあ起こってしまってるからあるんだろうけど。」

「でも、朝雪さんはよくそんなところ見つけましたね。」

「ああ、なんでもその人の飼い犬を助けたのがきっかけで知り合ったとかなんとか。あのおじいさんの彼へのべた褒めはすごかったわ。なんか『彼はわしの息子の命の恩人だからお嬢さんのこと信じるわ!』とかすごい興奮しながら言ってたわね。」

「そ、それは何をしたかすごく気になりますね…。ていうか息子って犬のことですかね。」

「まあ、家族みたいなもんでしょう。私もキサラは大事な娘みたいなもんだし。」

そう言いながらキサラちゃんの頭をなでていた。にゃ~と返事を返してくれた。

「でも、それでも一人で薬局なんてそごいですよ。不安はなかったんですか?」

「まあ、不安はあったけど、とりあえずやってみたかったのよね。だれにも頼らず一人でやれるかどうかをね。」

「実際できてますよね…。私はまねできないっていうか、普通出来ないですよね?経験なしでいきなりだなんて。」

「まあ、運よく一人でもできるよう最新のカルテのシステムが導入ができたことや薬の管理をIoT、ああコンピュータで在庫を管理するって意味ね、ができたのがよかったわね。まあその手配は朝雪が全部やってくれたけど。」

「というか朝雪さんって何者なんですか?さっきからここを見つけたり最新のシステム導入とか製薬企業に勤めてるだけだとできないような…」

「私も不思議に思ってたけど、彼はそういう伝手が運よく多いって笑いながら言ってたわね。」

そこが一番重要な気が…。でも美夜先生にこれ以上突っ込んでもわからなそうだ。今度会えるらしいからその時に聞いてみようかな。


➋❾〇


家に着くと、拾った子猫をタオルで拭いてあげた。「な~」と少し嫌がっているような声を上げたが、疲れているのかあまり抵抗はしない。子猫を拭き終え、新しいタオルでもあげようかと考えているとあることに気が付いた。猫のご飯がないのだ。今の時刻は9時40分。近所のスーパーは10時に閉店…、ぎりぎり間に合うか。私は財布と傘を持つと急いで大雨の中走り出した。


②❾〇


ぎりぎり間に合った。子猫は満足そうにキャットフードを食べきり、今はタオルの上で眠っている。そういえば、薬局実習の時、薬剤師の一人が猫にエサを与えるときは必ず手にのせたエサを食べさせていると言っていたが、私もやっておけばよかった…。まあ明日もあるし、次からやろう。

とりあえず、このマンションはペット不可というのはさっき分かったからとっとと場所変えないとなあ。この子を一人にするのも怖いから仕事ももっと時間が短いのが…。悩み事がどんどんあふれてくるので頭が痛い。明日が休みだから明日考えよう。

「おやすみ。」

そう子猫に声をかけて眠りについた。


②❾〇


「…ってな感じでさあ…。なんかいい方法ない?」

私は子猫の頭をなでながら言った。やばい、触りだしたらやめられない。

「なんか、急にすごいことになってるね…。でも、…そうだね。またかけなおすからちょっと待ってて。あと、その子を入れるキャリーバッグ用意しといてね。」

そう言うと朝雪は電話を切った。ちょっと気になるけどいい案が浮かばない私は彼の案に従うことにした。といってもその前にやることがあるが…。

「あなたの名前、何がいいかしらね。」

そう、名前だ。そこら辺のゲームのように簡単に決めるわけにはいかない。変な名前だと一生後悔するだろう。でもありきたりもいやだ…。

”きっと世のキラキラネームもこうやって生まれていくのね…”

とりあえず、候補を書き出してみることにした。たま、みけ、ぶち、たろう…。そういやこの子雄なのかしら?疑問に思って調べてみると雌だった…。ありがとうございました。あぶないあぶない。

え~と、女の子っぽい名前か…。みい、は従妹の名前だから嫌だし。ちょっと待って今は11月か…。11月は霜月か…。しもって名前に入れるのも…。


②❾〇


あれから3時間ほど悩んだが、決まらないのでとりあえずキャリーバッグを買い、家に戻るとちょうど電話がかかってきた。

「お待たせ、突然だけど、明日こっちにこれる?」

「え!明日?」

「うん、ちょうど美夜の現状を解決できそうな案があるからさ!」

「そうね、特にやることもないから行くわ!今から!」

「ありが…って今から?大丈夫?」

「大丈夫。今日は特に予定ないし。今から向かうわ。今から4時間くらいかかるから迎えに来てね!」

「オッケー、了解。」

彼は少し笑っているようだ。電話を切ると私は急いで最低限の荷物を準備し、寝ている子猫を起こさないようキャリーバッグに入れ、駅に向かった。


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