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小話、怒りの理由

「玄樹メイと申します。慣れぬことばかりで皆さんを困らせるかも知れませんが、精一杯頑張っていくつもりですので、よろしくお願いします」


始めの印象は"丁寧な子"だった。

隠している魔力について聞きたいこともあるけれど、それだけで燃やすほど私も狂暴じゃない...はずだ。

だから、


「貴女が、変態セーラー服と同じタイミングで表れた人ですか?確かに、よく見るとそんな雰囲気ですね~」


...落ち着け、彼が変態セーラー服って呼ばれてるのは私のせい。


「だけど、できるならカリンちゃんと担当を変わって欲しかったです。男の子の方も女の子の方も私と気が会いそうでしたし」


...確かに、セーラー服はやり過ぎだったと思う。彼はなんだかんだで笑って許してくれるから、ついついやり過ぎてしまう。


「まぁ、あの変態程ではなさそうなので良しとしますか。あの変態に当たったレイランちゃんも気の毒ですよね~」


...今度会ったときは謝ろう。私のことだから、きっと遠回しに伝えることになるだろうけど


「貴女もそう思いません?女として、あんな気持ち悪いヤツお断りですよね~」


...我慢よ、私


「あれ~随分お顔が怖くなって来ましたが。まさかあの変態とお知り合いで(・・・・・・)?」


コイツはおんなじタイミングで転移してきた私達に、面識があるかどうかを確認しようとしてるだけ。ここで反応すると相手の思う壺。


「そんなわけないですよね~あんなのと知り合いとか、人生の汚点ですし」


...


「聞いてくださいよ~その変態。母親に出会うなり『ゴメンよ』ですよ。マザコンってヤツですかね?」



『俺さ、母さんと喧嘩したまんまなんだよ。だから、次会えたら絶対に謝ろうって思っててさ』


会える保証なんてなかった。

呼び出された当初、いろんなものに押し潰されそうで、自分を守るために周囲に強く当たっていた自分。

そんな私に、自分の事を話すことで近づこうとしてくれた彼。


『お前、思っただけで魔法が使えるんだって?すげぇカッコいいじゃん!』


自分の力で、初めて人を殺めてしまった時。

部屋に引きこもっていた私に、彼はそう言った。

こんな能力要らないって思ってたのに、そんなことをバカな顔で言うものだから尋常じゃない程腹が立った。


『カッコいい!?こんな人殺しの力を!?ふざけるな!!!』


言うと同時、彼に襲い掛かる炎。

けれど、心の底では安心していた。何せ、彼の力は守護の力。この程度では傷つかないはずだから。

けれど、


『な、なんで...』


彼は能力を使っていなかった。

そのせいで、全身に大火傷をおっている。はずなのに、彼はなに食わぬ顔で立っている。


『人殺しの力?何言ってんだよお前。その力は誰かを守れる力だ(・・・・・・・)』


『...っ!?』


その時、私は羨ましかったんだ。自分を、誰かを守る力を手にいれた彼が。誰かを傷つけなくていい力が。

そう思ってしまった瞬間、忌々しい力が発動する。


先程よりも大きい炎。

あぁ、やっぱりこの力は誰かを傷つける...っ


『ほら、誰も死んでないだろ?』


...ん..っ

...なんでっ!


『なんで、私の魔法直撃して死なないのよっっ』


『ハッ、泣きそうな小娘のロウソク程度、紋章使わなくても、俺は死なねえよ』


その言葉に、どれだけ救われたか。


『もう一度言う。お前の力は誰かを守れる力だ。今回の事だって、お前がやらなくちゃ他の女の子が襲われてた』


『...今回は、そうだったかもしれない。だけど、もし関係のない人が巻き込まれたら?』


どんな人だって。少なくとも私は。

怒りなどの感情を抱かずに生活することはできない。

その気がなくても、些細なことで抱いた思いが取り返しのつかない事件を引き起こすかもしれない。

そんなことになるくらいなら、私は...


『ん?だったら、嫌なことがあったら俺を思い出せばいいんじゃないか?』


『はぁ?』


何を言い出すんだこのバカは。

そんなことをしたら自分が、


『そうすりゃ魔法は俺に向かうだろ?そして、俺なら死なねぇ』


『...』


なによ、その自信は...


『自分の感情を抑えることなんかしなくていいんだ』


なんで...会ったばかりの私に...


『少なくとも、俺に対する感情は隠さなくていいぞ。燃やしたくなったなら、俺を燃やせ』


そんなに、優しく...


『...それ、変態みたいよ?』


『ハッ、男はみんな変態だよ。むしろ、俺ほどの変態になるとお前程度の炎じゃぬるいレベル。もっと熱くなれよ!!!』


本当、

『...バカ』


あの瞬間、きっと私は彼に恋をした。


だから、


「あの変態、きっと童貞ですよ。だってあんな男をっ!?」

「黙れ」


全身から迸る炎。

彼に対する想いの丈。


例え、彼に好きな人がいたとしても。

彼への思いだけは、偽らないからって決めたから。


なにより、自分の惚れてる男をバカにされて、黙っていられるほど私はお人好しじゃないから




「お前は、絶対、燃やし尽くす」




そう、心に誓ったんだ。



メイは未だ謎に包まれている舞達について探ろうとAAA作戦してるだけで、本当はいい子です。

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