6
短めです。
「お世話になりました。お元気で、王妃様」
「ええ。今までありがとうアイリ」
王子の部屋で夜を過ごしたあの日から、一週間が経とうとしている。私が抱き枕というものになると決めてからの王子の行動は早かった。
まず、私を王妃付きの侍女から王子付きの従者にした。侍女では都合が悪いとのことだったが、どう都合が悪いのかは教えてくださらなかった。エイナリ様に聞いても「知ーらないっ」と嬉々と言われてしまった。あの顔は絶対に知っている。嘘くさい笑顔に無性に腹が立ち、回し蹴りでもくらわしてやろうかと思ったが我慢した。どうせ避けられてしまうだろうし、侍女服で回し蹴りはよろしくない。
王妃様は何故か私の移動をお喜びになった。王子付きとなることを報告したときのきらきらとした笑顔が印象に残っている。その瞳に浮かぶのは、深い愛情。私に向けられたものではないのだろうが、歯痒かった。
「ドロテア」
「あら、アイリじゃない。なんだか久しぶりね。カイ王子とエイナリ様にお会いした日以来かしら」
王妃様への挨拶が終わったあと、私はドロテアに会った。いつも通りのドロテアの態度に私は安堵する。
大公の娘ということで一線を引かれてしまった私には友人というものがいなかった。優しい家族に囲まれていたし、友人がいないことはあまり気にならなかったけれど、ドロテアに友達になってほしいと言われたときはとても嬉しかった。
「そういえばアイリ。あなた王子付きになったんですって?」
「知っていたのね。明日から正式に王子付きの従者になるわ」
「従者、ね。ふうん…やっぱり王子は……」
ドロテアが何事か呟くが、聞き取れない。何か言ったかと尋ねると首を横に振って答えてくれなかった。
「まあ、頑張ってね。アイリならそつなくこなすと思うけれど、無理をしては駄目よ」
「ええ。分かっているわ。ありがとうドロテア」
「たまには顔を見せに来てちょうだいね。約束よ」
「必ず会いに行くわ。ドロテアも体調には気を付けて」
王子の思惑はアイリ以外にはバレバレのようです。
読者の皆様にもバレバレかもしれませんね。
設定の後付けが多いので矛盾しているところがあると思いますが、スルーしていただけると助かります。
あまりにもおかしく思われる場合はお知らせください。




