たえこママの、白山商店街アーユルヴェーダ相談会
(舞台説明)
ここはメタバース空間にある、とあるバー、店を切り盛りするのは、雇われママのたえこママであった。
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ランチ営業中の
『The Wallet』
「白山商店街のアーユルヴェーダ大騒動編」
「ちょっと、ママ! 助けておくれ!」
そば屋の居抜きバー『The Wallet』のドアが、壊れんばかりの勢いで開け放たれた。
入ってきたのは、メタバース上の白山商店街の会長さん。その後ろには、魚屋の源さん、八百屋の八兵衛、さらには布団屋のキヨさんまで、商店街の重鎮たちがゾロゾロと顔を連ねている。
「なによあんたたち、大勢で押し寄せて。うちの特製トマトおでんなら、まだ煮えてないよ!」
たえこママが愛用のガラホをポケットにしまいながらフンスと鼻を鳴らすと、会長さんがママの手をがっしりと握りしめた。
「おでんじゃなくて、アーユルヴェーダだよ! マツコのあの悪魔のような痛風を、ゲオの特売水筒のスープで一発で治したんだって!? 頼む、俺たちの体の不調も見ておくれ!」
マツコの劇的な完全回復の噂を聞きつけた面々は、すっかりたえこママを「伝説のアーユルヴェーダ知識人」だと勘違いしていた。
「ちょっとママ、俺のこの五十肩はどうなんだい!?」
「私は最近、メタバースのログインのしすぎで、目がかすんでギックリ腰が治らないのよぉ!」
バーのカウンターは、一瞬にして臨時の「アーユルヴェーダ相談所」へと早変わり。
おっちょこちょいなたえこママは、商店街の面々に頼りにされてすっかり調子に乗ってしまった。
「ふん、任せなさい! 元マラソンランナーの私の健康リテラシーにかかれば、あんたたちの不調なんてイチコロさ!」
ママはゲオで買ったサムスンの両開き端末(Galaxy Z Fold)をパカッと開き、折りたたみキーボードをカチカチカチ!と猛烈なスピードで叩き始めた。
老眼用の特大ミラーリング画面がバーの頭上に浮かび上がる。
「いいかい、魚屋の源さん! あんたの五十肩は、体内の『冷え(カパ)』が原因さ! カプサイシンと生姜のナノバブル水を、スープを飲んでください。」
「布団屋のキヨさん! あんたのギックリ腰は、完全に『風のエネルギー(ヴァータ)』の暴走だよ! 豆乳にアオサをこれでもかとブチ込んで、毎朝ガブ飲みするんだね!」
ママは、かつて星占いブームの時に覚えたホロスコープの知識と、
AI界隈の、健康知識をチャージしながら、もっともらしい「アーユルヴェーダ古典理論」を大画面にビシバシと打ち込んでいく。
「おおお! さすがママだ! なんだか聞いてるだけで肩が軽くなってきた気がするぞ!」
「これぞ白山商店街のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ!」
大興奮した商店街の面々が、ママのスマホ決済のQRコードに向けて、一斉にスマートフォンをかざした。
「ママ、相談料だ! PayPayで送るよ!」
しかし、ここでたえこママの「おっちょこちょいバグ」がまたしても牙を剥く。
たくさんの決済が一瞬で集中したせいで、ママのスマホ画面がフリーズ。ミラーリングされた特大モニターには、【システムエラー:商店街全員の決済金額を『前世の因縁(3億円)』に変更しました。
お近くの芋ロボを強制再起動します】という謎のバグ画面がデカデカと映し出された。
「ジジジッ……緊急事態発生。
全システム、アーユルヴェーダ・モードに移行」
前回のショートから復活したばかりの芋ロボが、怪しい電子音を鳴らしながら、カウンター奥のナノバブル水筒を両手に持って、常連や商店街の面々に向けてスパイス水を消火器のようにスプレーし始めた!
「ギャーーッ! 目が、目が辛い(スパイシー)ーーっ!」
「ママ、またバグらせたなーー!」
タコのパウロくんは再び真っ青になって足を縮め、パンダはスパイスの匂いに驚いてバーの2階へ避難していく。
たえこママのの、アーユルヴェーダ相談会は、白山商店街を巻き込んだスパイスまみれの大パニックへと突入するのだった。




