たえこママと、銀聯姐さんの芋掘りロボ
(舞台説明)
ここはメタバース空間にある、とあるバー、店を切り盛りするのは、雇われママのたえこママであった。
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深夜の『The Wallet』
「たえこママ!
中国から最先端のインバウンド対策ロボットを決済(仕入れ)してきてやったぞ!」
夜のバー『The Wallet』の引き戸がガララッと開き、真っ赤なドレスに身を包んだ大人の色気あふれる美女、『銀聯(UnionPay)カード』姐さんが颯爽と現れた。
その後ろから、ガタガタと音を立てて入ってきたのは、バケツに手足が生えたような、お世辞にもスタイリッシュとは言えない【最新型お掃除ロボット】だった。
「な、なんだいその、21世紀のSF漫画に出てきそうなイモっぽいロボットは」
たえこママがルイ姉さんボイスで呆れると、ロボットは突然、火を吹かんばかりの勢いで動き出した。
『#$%&*(中国語で「ここは良い土がないアル!イモを掘らせろ!」)』
「ぎゃああ! ロボットがカウンターの畳を泥だらけにしようとしてる!」
「ママ、そいつ日本語のプログラムが入ってないぞ! 翻訳器、翻訳器!」
常連のスマートフォンや、地方ICのハヤカケンちゃんたちが大パニックで叫ぶ。
たえこママは慌てて音声同時翻訳デバイスを起動し、ロボットに向けた。
『ワレ、芋掘りロボット。掃除なんか退屈アル。美味いイモを掘らせろ。……お、そこに美味そうな生のタコがいるアルな!』
ロボットはカウンターのレジ横にある水槽を見つけると、ハサミのような手をカチカチ鳴らして、占いタコのパウロ二世に近づいていく。
「キューーッ!?」
未来予知能力を持つパウロ二世も、この予測不能なポンコツロボットには大びっくり、水槽の隅で足を縮めてガタガタと震え出した。
「ちょっとあんた! うちの居候に手を出そうなんて10年早いよ!」
たえこママはパシッとロボットの頭を「ビッグ・エー」の特売タオルで叩くと、仁王立ちでゲキを飛ばした。
「日本語も通じない、掃除もしない、イモばっかり騒ぐなんて、ややこしいねえ! 銀聯の姐さん、このロボットはうちじゃお掃除係としては不採用さ! ……仕方ない、あんたは今日から、パウロの水槽のガラス拭きとエサやりの【お世話係】になりな!」
ロボットは翻訳器を通じてママの迫力に圧倒されたのか、『……タコの世話、イモ掘りの次に悪くないアル』と、大人しくパウロ二世の前にひざまずいた。
「ギャハハ! 最先端の中国ロボが、一瞬でタコのパブの下働きになっちまった!」
「居候キャラの漫画みたいな居候が2匹に増えたぞ!」
常連客たちの爆笑が響き渡る中、ロボットは健気に水槽をキュッキュと磨き、パウロ二世も安心したように、に泡をプクプクと吹いている。
メタバース空間の元そば屋のバーは、今夜も、
Science fictionな居候たちと、たえこママの賑やかなお小言に包まれて、温かく更けていくのだった。




