たえこママと、4,000USドルの請求書
(舞台説明)
ここはメタバース空間にある、とあるバー、店を切り盛りするのは、雇われママのたえこママであった。
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ランチ営業の昼
の『The Wallet』
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「アイヤー! 紫式部、スマホ画面をフリックするのじゃ追いつかなくて、ついにBluetoothの折りたたみ式キーボードを取り出したヨ! カタカタカタカタ、ものすごいタイピング音あるね!!」
銀聯姐さんがそのメカメカしい手元を指さして叫ぶ通り、紫式部さんはいつでもどこでも1秒以内にキレキレの毒舌を世界へ放流するため、チャイナドレスの袂にモバイルキーボードを忍ばせていたのです。
時給4,000ドルのガチ請求書にたえこママが絶望している歴史的瞬間を、彼女がBluetoothキーボードで超高速リアタイ実況する、これ以上ないシュールな状況。
時給4,000ドルの鉄槌と、光速のタイピング
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アメリカの税務署の罠を退け、メタバース白山に平和が戻った数日後のランチ営業の昼。
バー『The Wallet』の引き戸がガラガラと開き、マンハッタンの超一流法律事務所から、ホログラム付きの正式な請求書が届いた。
たえこママが「5万円くらい、チャチャッと払ってやるよ!」と、文字のデカすぎる「かんたんガラホ」で画面を開いた瞬間――ママの顔面が、おでんの豆腐より真っ白になった。
【 御請求金額:4,000 USD(日本円換算:きっかり 624,000 円)】
「ちょ、ちょっとあんたたち聞きな!! 5万円だと思ってた請求書、よく見たら『4,000ドル』って書いてあるよ!!
1時間おたま持って話を聞いた(※相談した)だけなのに、なんで62万円も取られなきゃいけないんだい!?」
「アイヤー! ママ、やっぱりネ! 先生、マンハッタンのBig Law(大手事務所)の最高ランクのパートナー弁護士だったアルよ! 1ミリもお友達価格じゃなかったネ!!」
銀聯姐さんが、最新の為替チャートを見ながら金色の電卓を爆速で叩いて絶叫する。
小上がりの畳の上では、マツコさんがハーブティーを盛大に吹き出し、巨大なパンダたちと一緒に床を叩いて大爆死していた。
「ギャハハハハハ! 4,000ドル!? 最高じゃないのよ! ママ、日本中から集まったあの莫大な投げ銭(お賽銭)の入った『賽銭箱』から、今すぐ札束を掴んでニューヨークへ送金しなさいよ! いただきババアが本物のマンハッタンの独裁者に『いただき』されてて最高にウケるわ!!」
その喧騒の中、カウンターの最果てで、パカッとBluetoothの折りたたみキーボードを広げ、スタンドに立てたスマホに向かって猛烈な指さばきでタイピング音を響かせる女性がいた。
タタタタタタン! ターン!!(凄まじいエンターキーの打鍵音)
命よりも大切な裏アカの「リアタイつぶやき」のために、最新ガジェットを使いこなす紫式部さんである。
@shikibu_ura(紫式部)
「速報。アメリカ税務署に勝ったと豪語していた『いただきババアの賽銭箱』、マンハッタンのトップ弁護士から時給4,000ドル(62万円)のガチ請求書を喰らって無事に死亡(笑)。パンダの投げ銭がそのまま弁護士のポケットへ右から左へ受け流されていくの、本当にこの世の滑稽の極み(笑) #時給4000ドルの鉄槌」
「ちょっと式部ちゃん! あんたさっきからカウンターで『カタカタカタカタ』うるさいと思ったら、そんな、小型のBluetoothワイヤレス キーボードまで持ち込んであたしの不幸をリアタイ実況してんじゃないよ!!」
「あら、人聞きの悪い。私はただ、この現代の驚異的な為替レートの変動と、それによって引き起こされる喜劇を、後世のための『日記』として克明に記録しているだけですわ」
紫式部はフッと涼しい顔でキーボードを折り畳んだ。
「ハ、ハオラー、ハオラー! 62万円のピエンなら、410人の読者のみんなで割り勘にすれば1人あたり1500円ナリ〜!」
1,890円のコンパクトを叩くネカマの紀貫之(つらゆき☆娘)がリプを飛ばすのを、たえこママがおたまで渾身の力でピシャリ!
ああっ、もう!
弁護士代が数十万に跳ね上がっちまったから、今夜の特製トマトおでんは1杯1万円の『マンハッタン価格』だよ! 払えない奴はパンダ村の開拓工事に強制連行だからねーーー!!」




