たえこママと、熊猫(パンダ)
(舞台説明)
ここは、メタバース空間のとあるバー、切り盛りするのは、雇われママのたえこママであった。
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深夜の『The Wallet』
店内はポインコ兄弟やポンタたぬき、ホワイト犬のお父さんがちゅーるを食べてすやすや眠る、平和なモフモフ空間になっていた。
しかし、突如として店内の電波(楽天モバイルの最強プラン)がバリ5になり、外のネオンを遮るほどの巨大な白黒のシルエットが引き戸をみしりと軋ませる。
「パ、パンダァァァーーーッ!!??」
楽天ペイくん(実家が大富豪)が、サントリー響のグラスを落としそうになって叫んだ。「日本中の動物園から中国へ帰ったはずの、
僕のところの『お買いものパンダ』が、なんでメタバースの白山にいるのさ!?」
「お、おい……とにかくデカすぎる。カウンターの天井に頭がぶつかっているぞ」
Suicaくん(東京)がモスコミュールを抱えて一歩引く。
現れた楽天パンダは、可愛い顔をしているものの、大人のシロクマ並みの巨体で「お買いもの〜♪」と低いハスキーボイスで鳴きながら、お腹を空かせてカウンターの木札をかじろうとしている。
「ちょっとあんた! 木札を食べちゃダメだよ!」
たみこママがらくらくホンをポケットに仕舞い、慌てて大皿を出す。
「銀聯先生のトンポーローや、マスターのミートパイを食べるかい?」
しかし、巨大パンダは「フンッ」と首を横に振り、悲しそうな顔で自分のお腹をポンポンと叩いた。
「ダメアル……! パンダは『笹』しか食べない生き物アル! どんなに美味しいB級グルメでも、草食の彼にはトークン(消化)できない的!」
銀聯先生がチャイナドレスの裾を気にしながら叫ぶ。
「ええっ!? 笹!? こんな深夜3時に、白山のビッグ・エー(Big-A)に笹なんか売ってるわけないよ!」
PayPayくんが頭を抱えてパニックになる。ポインコたちをちゅーるで手懐けたママの仕入れルートも、ついにここまでかと思われたその時──。
「ふふっ、皆さん、慌てなや」
カウンターの奥で静かに着物の合わせを直した男──JCB氏(京都弁)が、はんなりと微笑んだ。
「ここがどこか、お忘れですか? この店は、歴史ある古い『そば屋の居抜き』どすえ。昔ながらの日本のそば屋の店先には、なーんか決まって、風情を出すための**『笹』**が植わってあるものですわ。なぁ、ママ?」
「──あッ!! そうだったじゃないのさ!!」
たみこママがポンと手を叩いた。
「お店の入り口の引き戸の横に、長寿庵の時代から植わっぱなしの、立派な青々とした笹の鉢植えが3つもあるよ!」
たみこママは割烹着をなびかせ、店の外へダッシュ! ガラガラと引き戸を開けて、店先の見事な笹の枝をバキバキと豪快にへし折って、カウンターの中に持ち帰ってきた。
「ほら、楽天パンダ! 白山の天然ものの笹だよ! お食べ!」
巨大パンダは、目の前に出された青々とした笹の束を見るや否や、Face IDの瞳をキラリと輝かせた。
バリバリッ! バリバリバリッ!!
「う、うまいぞーーーっ!!!」
楽天ペイくんが、パンダの代わりに(実家の経済圏の喜びを体現して)口からピンク色の光のビームを放ちながら、メタバースの屋根を突き破って東洋大学の方向まで飛んでいった。
「千代の一番の出汁の匂いと、そばつゆの蒸気を長年吸い込んで育った白山の笹……! バターバトラーのフィナンシェよりも、有明ののりよりも、このパンダにとっては『至高のディナー』ですよ!」
巨大パンダは、巨体を揺らしながら3鉢分の笹を一瞬で平らげ、大満足の笑顔で「楽天ペイ♪」とハスキーに鳴くと、そのままカウンターの横でドスンと丸くなって、地響きを立てながら眠りについてしまった。
「ふぅ……」たみこママが、らくらくホンをパカッと開き、文字サイズ「極大」の画面に【メニュー:店先の笹】と追加して、やれやれと割烹着の汗を拭った。
「いいかい、みんな。楽天モバイルがプラチナバンドだの、日本からパンダがいなくなっただので、現実世界の人間たちが寂しがっていてもね。
この白山の居抜きバーに来たときは、どんなにデカいパンダだって、お腹を空かせた可愛い常連さんの一人なんだよ。
お店の古い歴史(そば屋の名残)が、こうして新しいデジタル(楽天パンダ)の胃袋を救う。古いものも新しいものも、全部大切に『併用』していくことこそが、あたしたちマルチ決済(お財布組)の本当の定理じゃないのさ!」
ママの、宇宙のスターリンクよりも広く、らくらくホンの文字よりも巨大な「おもてなしの心」に、楽天ペイくんも、銀聯先生も、そして眠りから覚めたポインコたちも、全員が涙を流して深く深く頭を垂れた。
「ママ、さすがどす。うち、このパンダのモフモフとママの包容力に、明日のお花見の審査を全部パス(合格)にしたくなりましたわ」JCB氏が静かに抹茶を点てる。
「よし!
話が決まったら、今夜はパンダの背中を極上のソファー代わりにして、ママ特製の『出汁割り甘酒』で大宴会だよ! キャリアも動物も、今夜はみんなでごちゃ混ぜさ! 乾杯!!」
「イエス、マーム!」
「ハオラー、ハオラー!」
「パパパーン!」
たみこママのベテランの機転とそば屋の遺産によって、バー『The Wallet』は世界一デカくて優しいモフモフの楽園となり、パンダのいびきと常連たちの笑い声と共に、白山の夜はどこまでも温かく更けていくのだった。




