力攻め
蔵王堂に入って以来、何もする事がなく。直江兼続を徴発するも乗って来ず。かと言って攻撃するには兵数並びに地の利とも上杉側。これまで我慢を強いられてきた金上勢にとって、盛備の下知は待望の報せ。栃尾城に居るのは行き道で通るも、何もする事ができなかった連中。攻略は簡単。これまでの鬱憤晴らしの好機とばかり、我先に山を駆け上ろうとする金上勢に対し。
少し前。保田。
直江兼続「敵は栃尾を侮っています。恐らくでありますが、力攻めに打って出る。それも一気に。であります。藤田殿にお願いしたいのは……。」
戻って。城攻めに取り掛かる金上勢は、堂々と大手目指し突進。ここまで城方に抵抗の動きはなし。
(城すらも放棄しているのでは?)
の考えが脳裏を過った。丁度その時……。
「放て!」
の号令と共に大手から発砲が。
「敵兵か!」
「数は知れている。一気に突撃!」
と更に攻勢を強める金上勢が、大手の破壊に取り掛かろうとした時。再び銃声が。それも……。
「横から!であります!!」
「っく!小癪な。潜ませていやがったか……。」
「一度……。」
「いや、大手を見ろ。」
「突破できますね?」
「いくぞ。」
「少しお待ちを!」
「どうした!?」
「あれを!!」
「ん!?」
戻って保田。
直江兼続「敵は正面突破を試みます。攻め口は大手から。藤田殿にはまず大手で一撃加えていただきい。正面から。そして(図で指し示しながら)側面から。」
藤田信吉「わかりました。」
直江兼続「しかし大手の備えは必ずしも堅固なものではありません。力攻めが継続されるのは好ましい状況にありません。そこで……。」
栃尾城。
直江兼続の予想通り、大手突破の手を緩めない金上勢。これを見越し藤田に託した手。それは……。
「申し上げます!千人溜りに大量の敵兵が!!」
金上盛備「む!?景勝め。栃尾にも兵を回していたか……。」
戻って保田。
藤田信吉「旗でありますか?」
直江兼続「はい。本丸は勿論の事。松の丸に二の丸。そして千人溜りにも。取分け千人溜りには……。」
栃尾城。
金上盛備「千人溜りは大空堀より……。」
「下であります。」
金上盛備「あそこにあれだけの兵が入っているとなると……。」
相当数の兵が栃尾を守っていると考えて間違いはない。
金上盛備「皆に伝えよ。今日の城攻めは中止とする。一度態勢を整える。」
「城攻めは?」
金上盛備「継続する。必ずや攻め落とすと伝えてくれ。」
「わかりました。」
栃尾城の兵数を見た金上盛備は力攻めを中止。新たな方策に着手するべく陣の構築に乗り出したのでありました。




