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手土産

「動きは無いか……。」

蔵王堂城近郊で一人呟く金上盛備。

「殿からは

『変化が見られなければ無理をする必要はない。』

と仰ってはいたのだが……。」

手ぶらで津川に戻るわけにはいかない。

「少なくない金銭と労力を使った以上、何某か成果を上げなければならない。さもなくば……。」

会津の国衆が黙ってはいない。

「蔵王堂を攻め落とすのも選択肢の1つではあるのだが、保田に集結している連中が気になる。仮にできたとしても補給に難がある。今回は……。」

蔵王堂攻略の橋頭保を築く事を目標にするか……。

「皆の者!兵を動かす!!敵は近い!迎撃できる態勢を怠るな!!」

と蔵王堂からの撤退を決意。

 保田。

出浦盛清「出浦にございます。」

直江兼続「新発田に動きは?」

出浦盛清「見られません。」

直江兼続「新潟も同じであります。」

出浦盛清「佐々と伊達の連携が……。」

直江兼続「確認はできていませんが。」

出浦盛清「そうなりますと蔵王堂の金上も……。」

直江兼続「退くしか手がなくなったと考えます。引き続き新発田の動きをお願いします。」

出浦盛清「わかりました。」

 少しして。

直江兼続「出浦殿。金上が動きました。」

出浦盛清「蔵王堂に?」

直江兼続「いえ、兵を退き始めています。しかし敵は百戦錬磨の金上。我らを誘い出すためである恐れもあります。蔵王堂には自制を促しています。保田は我らが守ります。出浦殿は至急……。」

出浦盛清「わかりました。」

 細心の注意を払いながら行軍を続ける金上盛備。

「これでは面白くないな……。」

と保田近くに兵を進め、上杉勢を徴発するも。

「……動かないか。ならば……。」

と兵を足を止めた場所。それは……。

藤田信吉「やはり来たか。」

 栃尾城。栃尾城は、今の長岡市にあった城で標高228メートルの鶴城山に築かれた山城。

「申し上げます。城主館に人影は見られません。」

 普段は城の麓にある城主館で生活。

金上盛備「流石に備えているな……。」

「可能性は高いかと。」

 栃尾城の縄張りは馬蹄形。本丸は山頂。そこから空堀で仕切りながら曲輪を形成。途中、200メートルにも及ぶ大空堀で城を分断。更に城の入り口となる場所に多くの兵を容れる事ができる千人溜りで構成。

金上盛備「蔵王堂に入る間に変わった事は?」

「特に報告は受けていません。

金上盛備「そうか……。ならば。」

ここを攻略し、手土産とするか……。

金上盛備「皆の者!これより栃尾城を攻め落とす!!城は堅固なれど敵は小勢!一気に攻め落としてくれん!!」

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