雪で閉ざされているのは
長島城。
出浦盛清「殿。」
藤田信吉「ん!?」
出浦盛清「一休みしている時ではありませんよ。」
藤田信吉「……確かにそうではありますが、(外を見ながら)この雪では……。」
出浦盛清「国境に比べればマシでありましょう?」
藤田信吉「……言われて見れば……。」
出浦盛清「今、蘆名は越後に兵を動かす事はできません。先のいくさで新発田重家は疲弊しています。この好機を逃す術はありません。」
藤田信吉「新発田を攻める?」
出浦盛清「それは指し過ぎであります。我らが目指すのは新潟湊の奪還並びに新潟城の攻略にあります。」
新潟城は新発田重家が新潟等主要な港を奪取した際、これらを守るため。信濃川河口部の最も広い洲に造られた城。
藤田信吉「そこを我らだけで?」
出浦盛清「はい。」
藤田信吉「……あの城。外から攻めて落とせるとは思えないのでありますが?」
これより前、上杉景勝が新潟城攻略を目指し出陣。火矢で以て城を炎上させるも落とすまでには至らず。
藤田信吉「景勝様を以てしても力攻めを諦めなければならなかった城。これは我らだけで?」
出浦盛清「はい。新潟城周りの港を管轄する代官は謙信様の時代より変わっていません。20騎以上を持って活動していますが彼らは皆。」
商売人。
出浦盛清「謙信様の跡を継がれた景勝様に叛旗を翻した新発田重家との関係を継続させている理由はその辺り。
『利益に繋がるのであれば。』
の精神が働いているからであります。つまり……。」
新発田重家から上杉景勝に鞍替えした方が得である事を提示すれば。
出浦盛清「こちらに引き入れる事が可能であります。しかも彼らは……。」
藤田信吉と繋がりがある人物であります。
出浦盛清「殿の部下を派遣しない手はありません。」
藤田信吉「……わかりました。早速手配します。」
出浦盛清「お願いします。」
藤田信吉「しかし新潟城を守るのは重家の叔父。彼を調略する事は不可能と考えますが?」
出浦盛清「彼を調略する必要はありません。同じ事は(主要港の1つ)沼垂も同様であります。彼らが城の要地を押さえているのは事実。攻略は容易ではありません。しかし先程も述べましたように……。」
新潟周辺で仕事をしている方々は謙信様の時代から変わりありません。
出浦盛清「新潟の代官である玉木屋大隈並びに沼垂の代官である若狭屋常安の両名をこちら側に引き入れさえすれば、城の大部分は落ちたも同然。後はその切っ掛けを作れば良いだけであります。」
藤田信吉「わかりました。ただこのいくさ……。」
直江兼続様に出陣していただきましょう。




