切り崩し
交渉に来た柴田勝家の使者を調略。裏切りを打診。
藤田信吉「反応は?」
直江兼続「拒絶したとの事であります。ただ……。」
藤田信吉「ただ?」
直江兼続「彼らは皆柴田勝家の直臣ではありません。織田信長より付けられた与力であります。彼らにとって柴田は上司ではありますが、主君ではありません。加えて彼らは皆……。」
羽柴秀吉とも良好な関係にあります。
直江兼続「本音は両者の和解であります。どちらも大事な方々でありますので。しかしこれが実現する見込みは薄いと言わざるを得ません。今年の雪が融けた瞬間。彼らは……。」
選択を迫られる事になります。
直江兼続「今から4年前。謙信様が亡くなられた後の上杉の国衆のように。」
藤田信吉「羽柴の側に綻びは?」
直江兼続「新たに羽柴の権益となりました畿内の諸勢力。明智光秀の与力であった方々から人質を徴収。来る柴田勝家との戦いに向け着々と準備を進めています。今後暫くは……。」
羽柴方優位に進むものと思われます。
直江兼続「雪に閉ざされない柴田の権益は北近江東部のみ。ここはつい先日まで羽柴秀吉の本貫地であった場所。攻略は難しくないと考えます。後は北伊勢の滝川と美濃中西部に入ったばかりで、滝川と同じ北伊勢が本貫地の織田信孝。動員できる兵力は羽柴に及びません。羽柴は雪が融ける前。柴田の本隊が畿内に入る前に片付けたいとの事であります。」
藤田信吉「雪が融けた後は……。」
直江兼続「大市場である京に加え弾薬入手には欠かせない堺が羽柴方とは言え、北陸は豊かな地。柴田の強さは私も知っています。羽柴と言えども簡単には……。」
藤田信吉「いくさは長引きそうでありますか?」
直江兼続「西の安全を考えた場合羽柴が短期で決めて欲しいのではありますが、長引くのではないかと見ています。」
藤田信吉「羽柴から何か言われている事はありますか?」
直江兼続「富山に向けちょっかいを出して欲しいと言われています。佐々成政を越中から離れる事ができないように。との事であります。」
藤田信吉「富山奪還に動かれるのでありますか?」
直江兼続「独力で攻め込むには難易度が高過ぎます。加えて武田様が苦境に立たされていた時に協力者を動かしてしまい、内応させる相手も居ません。佐々単独であれば対処できる魚津周辺を死守する所存であります。まず我らがすべき最優先の課題は新発田重家を攻略し、東の安全を確実なものにする事にあります。引き続きお願いします。」
藤田信吉「わかりました。」




