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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.72】因果観測・追憶の投影(メモリー・プロジェクション)

今日はワゴンの定休日。看板を下ろした車内では、フェアカさんが部屋付きメイドに身を任せ、日々の喧騒で強張った体を解きほぐしていました。

「……ふぅ。ようやく、静かになったわね」

ハーブティーの香りが漂う中、フェアカさんはソファに深く沈み込み、手元の魔導具――『因果観測・追憶の投影』を起動させました。これは特定の人物の「今」を観測できる一点物のチートですが、異世界の境界を越えるには膨大な魔力を消費します。一度起動すれば、再チャージが完了する一ヶ月後まで、二度と覗き見ることはできません。

「日和……。それにセレーナも。二人とも、今頃どこまで行ったのかしら」

フェアカさんはかつての相棒と、大切なあの子の名を呼び、愛おしむように指先で鏡面をなぞりました。鏡が淡く発光し、やがて異世界の荒野を行く少女の姿を映し出します。

画面の中の日和は、首から下げた銀のペンダントを大切そうに握りしめ、何かに耳を澄ませていました。

「……ふふ、相変わらず危なっかしい足取りね」

天界であれば魂として具現化できたセレーナも、異世界の地上ではその銀のペンダントに宿り、日和と意志を疎通させるのが精一杯のはず。それでも日和は、ペンダントから聞こえるセレーナの導きを頼りに、一歩ずつ確実に進んでいるようでした。

時折、日和がペンダントに向かって何かを語りかけ、それに応えるように銀の細工が微かに光を放つ。その様子は、遠く離れたフェアカさんの胸に、かつてセレーナと背中を預け合っていた頃の記憶を静かに呼び起こさせました。

「……あら、もう時間切れ? 相変わらずケチな魔導具ね」

不意に鏡面が暗転し、ただの冷たいガラスに戻りました。次に彼女たちの様子を見られるのは一ヶ月後。フェアカさんは少しだけ寂しげに、けれど満足そうに目を細めました。

「さあ、リフレッシュは終わり。メイド、肩をもう少し重点的に。……一ヶ月分、しっかり働けるようにしてちょうだい」

フェアカさんは日和たちの無事を確認し、一ヶ月分の活力をチャージしました。

「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。一時の休息、遠い空の冒険、そして一ヶ月の待ち焦がれ。……あの子たちが帰ってくる場所を、せいぜい汚さないように守っておいてあげるわよ」

ご拝読ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか?

時間制限のある覗き見。また1か月後を楽しみに、明日からの仕事を頑張ろうと思うフェアカさんでした。

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