【Cheat Ability No.61】神格拒絶型・残留する魂の意志(セイント・リバイバル)
「……えっ、ペンダントが……!?」
日和が驚愕して後ずさる中、光の粒子が収束し、そこには穏やかな微笑みを湛えた一人の聖女が立っていました。彼女の姿は透き通っていますが、放つ存在感は天界の神々にも劣らないほど気高く、純粋なものでした。
「……久しぶりね、フェアカ。そんなに怖い顔をしなくても、私はずっとあなたのそばにいたわよ」
「……っ!? 聖女……セレーナ!? 何を、どうして今さら、その姿で……!」
フェアカさんの声が、初めて激しく動揺で震えました。あの時、世界と共に消えたはずの、そしてフェアカさんが何よりも大切に想い続けていた戦友。
セレーナと呼ばれた彼女は、驚く日和の方を向くと、優しくその手を取りました。
「日和さん、と言ったかしら。あなたの決意、ペンダントの中でずっと聞いていたわ。……お願い、私をあなたの冒険に連れて行ってくれないかしら?」
「ええっ!? 私の……冒険にですか!?」
日和が目を見開いた瞬間、フェアカさんが机を叩いて立ち上がりました。
「何を言ってるの、セレーナ! あなたの魂は、この天界の法則に従えばもうすぐ神格化されて、高位の女神になるはずなのよ! それがあなたの救いであり、報酬だったはずでしょう!」
ルミナリエ様も「えっ、ちょっと待って!? 彼女、私の直属の部下としてスカウトする予定だったんだけど!」と泡食っています。
「いいえ。神座に座って雲の上から世界を眺めるなんて、私には似合わないわ。私はまた、誰かの隣で歩きたいの。……フェアカ、あなたがこの子を認めて装備を貸したのなら、私はその『守り』になりたい。それが私の選ぶ、本当の救いよ」
「勝手なことを言わないで! あなたが消えた後、私がどれだけの思いでこのペンダントを……!」
フェアカさんは叫びかけ、ぐっと言葉を飲み込みました。セレーナは寂しげに、けれど確かな意志を持って微笑んでいます。
「日和さん。私はチートではありません。ただの、経験不足な勇者のための小さな盾です。……私と一緒に、来てくれますか?」
日和は、目の前の聖女の温かな眼差しと、横で顔を背けて拳を震わせているフェアカさんの姿を交互に見ました。
「……フェアカさん。私、セレーナさんと一緒に行きます。フェアカさんの大切な人を、今度は私が守れるようになるために」
「……。…………勝手にしなさい。その代わり、そのペンダント(彼女)に傷一つつけたら、あなたの魂を一生かけて担保に取るからね」
フェアカさんはそう吐き捨てると、乱暴にワゴンの奥へと消えていきました。しかし、その耳たぶが少しだけ赤くなっているのを、日和は見逃しませんでした。
「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。神座を捨てた聖女、託された記憶、そして再会という名の出発。……やれやれ、これじゃあ貸した装備のメンテナンス代、跳ね上げないと割に合わないわ」
ご拝読ありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
最強の助っ人(?)である聖女セレーナを仲間に加え、日和の勇者修行がいよいよ始まります。




