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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.59】因果凍結型・無限回帰の断末魔(エンドレス・デス・ループ)

扉を開けた瞬間、日和は悲鳴を上げて目を背けました。


部屋の中央では、勇者に騙されチートを掴まされた魔王が、聖剣に貫かれる「最期の瞬間」を永遠に繰り返していました。


「……一秒巻き戻り、また貫かれ、絶命した瞬間に再び一秒前へ。勇者も残酷なことをするわね。自分の手を汚さず、相手を『死の瞬間』という檻に閉じ込めるなんて」


フェアカさんは、苦悶の表情で固まり、一秒ごとに再生と破滅を繰り返す魔王を眺めました。ルミナリエ様が隣で、珍しく神妙な顔をして手を合わせています。


「フェアカちゃん、お願い……。これじゃあまりにエモくないわ。悲劇を通り越して、ただのシステムエラーよ。彼を、この地獄から解放してあげて。生かすも殺すも、あなたのチート次第でいいから」


「ルミナリエ様、一任された以上、高くつきますわよ?」


フェアカさんはワゴンから、虹色に淀んだ液体が入った注射器を取り出しました。


「これは『因果切断型・確定消滅弾』。これを使えば、彼のループを止めて、魂ごと完全に消滅させることができるわ。一切の苦痛もなく、彼は『無』になれる。救いという名の、確実な“死”ね」


「そ、そんな……。それしか方法はないんですか? フェアカさん!」


日和が詰め寄ると、フェアカさんはもう一方の手で、古びた、けれど温かみのある小さな砂時計を取り出しました。


「もう一つはこれ。……『記憶乖離型・再編生誕の砂』。彼の今までの記憶と魔王としての因果をすべて焼き切り、一レベルの『ただの赤ん坊』として、別の世界で転生させる。ただし、二度と魔王には戻れないし、誰からも愛されない孤独なスタートになるかもしれないけれど」


フェアカさんは魔王の、一秒ごとに絶望に染まる瞳をじっと見つめました。


「死か、孤独な再出発か。……どちらを選んでも、彼はもう、かつての彼ではなくなるわ」


フェアカさんは少しだけ目を伏せると、迷うことなく砂時計を魔王の頭上で叩き割りました。降り注ぐ光の砂が、血塗られた一秒のループを強引に上書きしていきます。


「……あら、消滅させると思ったのに。フェアカちゃん、意外と優しいのね?」


ルミナリエ様の言葉に、フェアカさんはフンと鼻を鳴らしました。


「勘違いしないで。死なせてしまえば、彼から『アフターケア代金』を回収できないじゃない。……日和、ネットスーパーで『乳児用粉ミルク・最高級品』を注文しておきなさい。彼が大人になって働くようになったら、利子をつけてきっちり請求するわ」


光が収まった後、そこには魔王の姿はなく、ただ元気よく泣き声を上げる一人の赤ん坊が転がっていました。


「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。断ち切られた地獄、白紙の明日、そして一生かけて返すべき命の借金。……地獄の先にも、案外、請求書は届くものよ」


ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

無限の死から解き放たれた魔王は、フェアカさんに命を「買い取られる」形で、過酷な、けれど新しい人生を歩み始めました。

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