第三十四話 sideラヴィリオ
翌日、ティアリアは峠を越えはしたが未だに目を覚まさなかった。
医者の見立てでは、魔力が枯渇していることが原因かもしれないということだった。
どうにかして、ティアリアの魔力を戻す方法がないか探る一方、ディスポーラ王国の動向についても探りを入れていた。
ティアリアが帝国に来て間もないころから、ディスポーラ王国のおかしな動きが目立ち始めていた。
それまで、作物などはほぼ輸入に頼っていたディスポーラ王国だったが、少し前から輸入量が減っていたのだ。
そして、彼の国を守っている結界の弱体化も噂されるようになっていたのだ。
しかし、噂の信ぴょう性は低いと言えた。
そう言った噂があっても、ディスポーラ王国の守りは強固なものだったからだ。
しかし、今回何らかの方法でティアリアの元に転移してきた赤い髪の女。
あの女には心当たりがあった。
そう、ディスポーラ王国の時期女王。
マリーデ・ディスポーラ。
記憶にあるマリーデは、真っ赤な髪をしていたのは確かだった。
しかし、何故突然現れたマリーデは、ティアリアの腕を切断したのか。
そして、魔力の枯渇……。
ふと、俺は思い出していた。
昔、幼少期に出会った時のティアリアは、再会したときの比ではない魔力を持っていたはずだった。
何かが引っ掛かる。
そこで、あることが頭を過っていた。
そのあることとは、魔力の強奪だ。
しかし、ほとんどの人間が魔力を持たずに生まれるディスポーラ王国で、それがどんな意味を持つのだろうか……。
いや、大きな意味があるのではないか?
よく考えるんだ。
今まで当たり前に思っていたディスポーラ王国の結界はどうやって成り立っているのだろうか。
恐らくだが、魔石などの力を使って、結界を発動させているのだろうことは簡単に推察できた。
しかしだ。魔力を持たないディスポーラ王国の人間が、魔力を糧に成り立っている結界をどう維持しているのだろうか?
永い間国を守るように設計されていることは考えられるが、それを維持するための方法を持ち合わせているのだろうか?
考えても答えなど出てはこなかった。
だが、ティアリアを救うにはマリーデ・ディスポーラに会う必要があるだろう。
そのためには、マリーデ・ディスポーラがあの時あの部屋にいた証拠をそろえる必要があった。
俺は、蒼白な顔で眠るティアリアの手を握って決意を口にしていた。
「ティアリア。必ず俺が何とかする。だから……。待っていてくれ」
名残惜しくはあったが、何もしなければティアリアの状況を変えることは出来ない。
俺はすぐに、数人の魔術師を連れて、ティアリアが倒れていた部屋を隈なく調べることから始めた。




