戦い
俺のパーティ内での役割は言ってしまえば『盾役』。
仲間達を守り、敵の策を妨害し、仲間の作戦が円滑に遂行するのを補助する。
そこに職業編成が加わり色々なスタイルの盾役が生まれる。
俺のスタイルは『壁役』。
攻撃力はあるが移動速度が遅く、魔力も低いが防御力や異常耐性が高い職業編成だ。
このパーティではじめての戦闘ではあるが、最初にとる行動はある程度決まっている。
相手がこっちに気付いていた場合、俺は下位職『戦士』のスキル『ウォークライ』で敵のヘイトを稼ぐ。
逆に気付いていない場合は、味方の初撃を待ってから『ウォークライ』。
今回は敵が気付いていない為、最初は待ちの姿勢。
「誰か最初に一撃入れてくれ」
俺が言うと白夜が返事をする。
「じゃあボクから行くね」
他三人もそれで大丈夫と目で合図する。
あ、今の冒険って感じで凄い気持ちいい。
そんな事を思っていると白夜が構えをとる。
白夜の編成は『純物理近接アタッカー』。
それも『暗殺者』寄りの超近接アタッカー型。
相手に気付かれていない場合や弱点への特効が出来る反面、打たれ弱く各種耐性も低い。
しかし、パーティ内でダントツの攻撃力と俊敏を誇り物理耐性の無い敵には無類の強さを誇る。
「『ハイドインパクト』」
スキル名を発声により入力する事で使用した様だ。
そして白夜が消えたと思うと、キングトロールの影から飛び出し、うなじ辺りをダガーで切り付けた。
これによりエネミーのHPが3割程削れる。
これは少ない様に見えるが、寧ろ逆だろう。
俺が初めてのパーティ戦である事を加味して、バフ無しでの一撃で3割。
弱点にダメージ補正がある事は確認したが倍率は1.2倍弱であり、物理耐性があるキングトロールにスキルによる補正有りとは言えどそのダメージは凄まじいものだ。
しかも白夜の職業編成は純物理アタッカー。
キングトロールは苦手な部類に入るはず。
とはいえ見惚れているわけには行かない。
攻撃によって崩れた体制をトロールが立て直す前にヘイトをコチラに向けなければ、物理耐性の無い白夜は一撃で即死してしまう。
「『ウォークライ』!」
マトモな戦闘は初めてでスキル名を叫んでしまったが、こういうのはノリが大事だ。
『ウォークライ』は精神力参照のスキルの為、精神力の低いトロールには効果抜群だ。
慌ててコチラを向いたトロールに今度はライライの攻撃が刺さる。
ライライのスタイルは『近〜中距離アタッカー』。
多彩なスキルで様々な武器を使い、物理魔法の両方を使いこなす。
代わりに飛び抜けたステータスが無いので一極化した強みを持つ敵に弱いが、このパーティではどんな場面でも安定した戦いが出来る。
「『バーンナックル』ってね」
彼女(彼?)の籠手から火の玉が飛び出し、ガラ空きだったトロールの胴体に着弾し小規模の爆発を起こす。
魔法耐性の無いトロールだったが、ライライのステータス故かダメージは2割強。
そこにロニーが槍で攻撃する。
ロニーは『避けタンク』というマイナー編成で防御力の代わりに俊敏が高く、MPも壁役の俺より高い。
確かに紙装甲だが確実にダメージを与えながらエネミーのヘイトを集めてくれるので、結果戦闘時間は短くなる。
どっちが良いかは好みによるだろう。
ロニーはスキルを使わなかったが、これは発動後の硬直が避けタンクの性質に合わないからだろう。
「『サンダーボルト』!」
最後はサカイ(1人だけ本名なのはPNが呼ぶのが面倒だからだ)。
『魔法アタッカー兼バッファー』で遠距離攻撃はコイツの担当。
守ってもらわなければマトモな戦闘は出来ないが、回復やバフ、魔法攻撃と色々な役割を一手に引き受けるパーティリーダー。
コイツが居なくちゃこのパーティは成立しない。
ここまでの猛攻でトロールのHPは残り1割弱。
『サンダーボルト』によって動きの鈍くなったトロールの攻撃からサカイを守り、切り付けようとしたが、その前に白夜の攻撃によってトロールはHPを全損させて消えていった。
こうして初めての戦闘は終了した。
俺の見せ場無かったなぁ。




