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てんせい☆  作者: MAKI
175/230

【175話】カオスの過去

*****魔王城(魔王の部屋)*****



2人はペットショップから魔王城に戻ると一旦それぞれの部屋に入り、マキは竜であるシロと部屋で遊んでいた。


ミカは総司令官ミーナとアイリが嬉しそうに出迎えそしてソファーに座る。


「ミカ様、ペットショップにお出かけだったのですね。今度は是非私も見学に行かせていただきます。」


「でしたらミーナ様、お願いがあるのですがよろしいでしょうか?」


「もちろんでございます。このミーナにできる事であればなんなりとお申し付けくださいません。」


「先程私が行ってまいりましたペットショップの支配人の方が、とても魔物にくわしい方で、しかも丁寧な方だったので是非この魔界全土に新たに作られた魔界公園の総責任者になっていただきたいと思いまして。」


「そのような魔族がいたのですね。わかりました早速連行してまいります。」


「ミーナ、連行じゃないでしょ。まったく。」


「ミーナ様、アイリ様のおっしゃる通りです。連行ではございませんので手荒なことは決してなさらず丁重にお迎えにあがっていただきたいのですが。」


「こ、これはミカ様大変失礼いたしました。では早速いってまいります。」


(大丈夫かしら。)ミカは人選を誤ったと思ったが、ミーナはすでに瞬間移動してしまっていた。


ミーナは魔界公園に辿り着く、瞬く間に副司令官や大将軍が一斉にに集まり全員が跪いていた。


「なんだ貴様ら、用はないさっさと散れ、用があるのはここの支配人だけだ。」


「はっ!ミーナ様。」


一斉に集まった領土内の大将軍や副司令官は、その場からすぐにいなくなり、残されたのは公園を訪れた魔族と警備にあたる魔族だけとなった。


「わ、わたくしがこの公園の支配人でございます。」


(ほう、これほどの魔力を持ちながらこのような公園の支配人などをやっているとは。)跪いたまま支配人と名乗る魔族になるほどと感心を寄せるミーナ。


(総司令官様がこのような公園にこられるは一体。しかも支配人である私を呼ばれておられるが。)支配人にはなぜミーナが自分を探しているのか全く分からずただ黙って次の言葉をまっていた。


「そうか、お前がここの支配人か、仕事中邪魔してすまぬが、私と一緒に来てもらおう。」


「は、はっ。」


本来魔界の常識としてミーナ程の地位の者がたかだかペットショップの支配人のような地位がない魔族に用があるわけでもなく、それに一般の魔族にはその姿すら見せる事もなかった為、その場にいた全員が何が起こっているのか全く理解できていなかった。


そして支配人はミーナと共に瞬間移動し、魔王城にあるミカの部屋へと通される事になった。


「よし、着いたぞ入るがよい。」


総司令官以外はほぼ踏み入れる事ができないミカの部屋に支配人は通される。


(こ、ここは一体。)支配人はものすごい魔力の重圧がかかっている魔王城内にいるにも関わらず平気な表情をしているが、内心はとても恐怖している。


「ようこそお越しくださいました。ミカと申します。先日は魔界公園で丁寧に対応していただきありがとうございます。」


聖天使ミカ自らが支配人を迎えに部屋の入り口付近まできていた。


後ろには跪くアイリ、そしてミーナも部屋の入り口で跪いていた。


「貴様、ミカ様自らあいさつをしておられるのだ、なんだその態度は!」


ミーナはあまりにもの突然の出来事が起きすっかり硬直してしまった支配人に声をかける。


「も、も、もうしわけ、ご、ご、ございません。」


慌ててひれ伏する支配人。


(ミカ様ってもしかして魔王代理となられた、魔界四天王のあのミカ様なのか?それにあのお姿は紛れもなく天界の方。)


一度に複数の未知の体験をしてしまった支配人は気を失いそうになっていた。


「ミーナ様、わたしがお呼び立てしてしまったのです。なぜそのような言い方をなさるのでしょうか?その方はわたしの大切なお客様なのですから、そのような態度はおやめください。」


「も、申し訳ございませんミカ様。大変失礼いたしました。」


「えっと、支配人様、どうぞこちらへお越しくださいまして、そちらのソファーにお座り下さいませ。」


「えっと、あの、その。は、はい。」


緊張のあまり言葉も出ず、ミカに言われた通りソファーに座る支配人。


「ミカ様、この支配人結構な魔力をもってございます。この魔王城に入城しても消滅もせず疲労も感じられません。」


アイリにそう言われ、ミカは自分がとんでもないことをしてしまったと気が付いた。


(しまった、そうだったわ。魔界の方達にとってこの城は魔力を吸収してしまう為、いまいる私達の部屋では大将軍クラスの魔力を持っていないと消滅してしまうのでしたわ。)


「なるほど、さすがミカ様。魔界公園の支配人がすでに只者ではないと見抜きここにお通ししたと。いうわけですね。」


「え?あ、そうそう、そうなのです。おほほほ、アイリ様よくぞお気づきになられました。」


ミカはなんとかごまかした。


ソファーに座っている支配人は、完全に硬直しピクリとも動かなくなってしまった。


(なぜ聖天使様がわたしのような者に。しかも総司令官様までいらっしゃる。わたしは一体どうなってしまうのだろう。)

ミカが考案した魔界公園の運営をまかされ日々魔物の研究を重ね、今では魔界全土のどのペットショップよりも多くの魔物を扱い、連日混雑するほどの人気ぶりをみせている。それが突然総司令官に拉致され、魔王城に連行され、魔王代理である聖天使ミカの目の前にいるのである。


(それに『先日は丁寧に対応していただき』とおっしゃっておられたがどういうことだろう。まったく記憶にないのだが。)どう考えてもミカとの接点が無い為、ますます混乱する。


ミカは支配人の様子を見て、申し訳なく思ってしまう。



ちょうどその頃、ミサキの部屋へ一緒にいこうと思っていたマキが部屋を訪れた。


ミーナやアイリはすぐに跪く。


「これはマキ様、ようこそおいでくださいました。」


「いらっしゃいませマキ様。本日は竜をお連れなのですね。」


「ミーナさんアイリさんいちいち跪かなくていいから。この竜ねシロって言うんだよかわいいでしょ。ペットショップでいただいたんだ。」


嬉しそうにミーナとアイリに自慢する。そしてミカの方を見ると、ミカの正面に誰かが座っている後姿が見えた。


「ミカちゃんお客様だったんだね。ごめん出直そうか?」


「マキさん、ちょうどよかったわ。こちらにきてもらえるかしら。」


硬直したまま後ろで話す声に聞き覚えがあったが、恐れ多く振り返ることすらできない為、いろいろ頭の中を整理する。


(この声はどこかで。。。それに竜。それにシロ。つい先日いや、さっきだったかな。なんだろう。ああああもう訳がわからない。)


だが、ミカに来るように促されたマキが同じくソファーに座ると、その顔に見覚えがあった支配人はすぐに思い出した。


「あ、あなたは先程、竜の飼育方法を聞きに来られたお穣さんではございませんか!」


「ああ支配人さんだったんだ。さっきはありがとね。」


「お穣さんはなぜこちらに?もしや私同様にここに連れてこられたのでしょうか?」


「え?いや違うよ。ミカちゃんもその姿だから支配人さんわからないんじゃない?」


「あら、そうでした。これは失礼いたしました。」


ミカは聖天使から女子高生へと姿を変える。するとついさっきまで見た2人を思い出す支配人。


「あああ、あなた方は先程の!一体これは。」


「説明不足で申し訳ございません。実は支配人様にお願いしたいことがございますので、直接お呼び立てした次第でございます。」


ようやく表情に硬さのとれた支配人に、なぜこの部屋に呼んだのかを説明し、さらに魔界全土の魔界公園総責任者になるようお願いした。


「そのような大役、わたしにはとても…」


「き、貴様!ミカ様直々のご依頼を!」


「ミーナ様!」


「はっ!これは申し訳ございません。」


「支配人様、私はあなたの魔物に対する扱いがとても気に入りました。駆除の対象でしかなかった魔物をあのようにエリアごとにわけ、さらにお客様に対する安全性を考慮したあの警備、おそらくあそこまで完璧なペットショップは存在しないと思われます。ですから現在魔界全土に存在するペットショップにそのやり方をご教授してくださればと思い、総責任者として就任していただきたいのですが。」


「そ、そのように評価していただいていたとは、全く存じ上げておりませんでした。わかりました私のような者でもお役にたてるのであれば喜んでお引き受けいたします。」


「そうですか、それは助かります。今後この部屋に魔物公園についての運営の為、お招きしたりする事が増えるかもしれませんが、どうかご協力をお願いします。」


「と、とんでもございません。こ、こちらこそお役に立てるのであれば是非ともお願いしたい次第でございます。」


「アイリ様ミーナ様、今後公園の総責任者となられました支配人様はこの部屋への入室を自由にすることを許可いたしましたので、どうかお見かけした場合には丁寧な対応をお願いしますね」


「はっ!ミカ様。」


こうして領土内の一つのペットショップの支配人にすぎなかった魔族は、魔界全土の魔界公園総責任者に任命され、さらに公園運営や魔物の生態報告などの為にミカの部屋への入室が許可されたのである。


この支配人の魔力の大きさも相当なものである為、反対する者も皆無であり総責任者として申し分ない人選でもあった。


総責任者となった支配人は、たった数時間の間にいろんな事が起こりすぎてしまったため、帰る頃にはフラフラになっていた。


その後マキとミカはミサキがいる魔王の部屋に行き、ミサキにペットショップでの事を話す。


「そう、飼育は特に何もしなくていいんだ。それなら手がかからなくてよかったじゃない。」


「わたしとしては、いろいろお世話をしてあげたかっらんだけどなあ。」


「マキちゃん、ダメよシロちゃんばかり相手しちゃったら私が寂しくなります。」


「ミカちゃん、あなた本当にマキの事が大好きなのね。まあその気持ちはわかるけど。」


「もちろんお姉様も大好きです。」


「あっ。それとですね、姉さん。。」


マキは話題を切り替える。


ペットショップの支配人が言っていた、『魔界では知らない魔族はいないほどカオスとディオは恐ろしい』と言っていた話しである。


「まあ事実だし、それはそれでいいんじゃないのかな。」


「えええ、事実なんですか?あんなにやさしいのに。」


「やさしい半面怒ると手がつけられないのよ。特にカオスはね。」


(そういえばカオスさんが部下の方に見せた表情は怖かったな。)


カオス城での事を思い出す。


「お姉様、一体カオス様はなにをなさったのでしょうか?」


「カオスはここではあんな感じだけど、自分の領土内では、規律に厳しく、今のミリア以上にうるさいのよ。でも仕方ないのよね。」


「あの、ねえさん。もっと詳しく言ってくれなきゃ全然わかりません。。」


「あははは、ごめんごめん。えっとね、もう数千年前の話なんだけどね…」



ミサキはカオスが配下になる前の事から話し出した。



○カオスが配下になるまで

数千年前、魔界では新たな魔王が君臨したが、誰もその存在を知る魔族はなく、以前と変わらず魔界は荒れていた。


だが、魔王代理を名乗るミサが魔界のあちこちを回り、自らの魔力で各地にいた大小様々な勢力を配下に加えたり、粛清したりしていた。


配下に加えた魔族と共に、新たな勢力を攻め、そしてまた配下に加えたり、粛清したりを繰り返し、魔界を統一しようと頑張っていたのだ。


その頃、カオスはどの勢力にも属さない一匹狼であり、大きな魔力を持ちながら、自由きままに生きていた。


争いばかりの魔界に飽き飽きしていたためでもあった。弱い魔族は虐げられ、虐殺されたり、弄ばれ殺される。そんな魔界に絶望さえも感じていた。


新たな魔王が君臨しても、何一つ状況は変わらず、それどこらか、魔王代理を名乗る魔族があちこちで暴れまわっているとも噂できいた。


そんな中、魔王代理であるミサが、ある勢力に対して攻めてきたのだ。その時、たまたまカオスはその都市の中にいたため、自らが魔王代理と対決すると言いだした。


「誰も手出しはするなよ。わしがやる。」


カオスは勢力とは全く無関係なのだが、自分の力を試す為、それに、争いの種でもある、魔王代理ミサと闘うことになった。


「ほう、お前は面白い奴だな。私を倒し魔界を手に入れてみろ。」


ミサは感心していた。どの勢力も一人で立ち向かってくる魔族は皆無だったからだ。


「お前を倒し、わしが魔王とやらになってもいいんだがのう。あいにくそんなものには興味がない。ただ災いの種を絶やしたいだけだ。」


魔王代理とカオスのやり取りを見ていた中規模ではあるが、そこそこの魔族が集まっていた勢力は、カオスとは無関係な勢力ではあるが、カオスの魔力の凄さは知っていた。


なので、その勢力をまとめていたボスは、自分達の勢力とカオスの魔力を足せば、魔王代理を倒せると思い、カオスが攻撃するのを待っていた。


「魔王代理とやら、覚悟しろ!」


カオスがミサに向かい、攻撃を仕掛けたと同時に、カオスの後ろから叫び声が聞こえた。


「いまだ!カオスに加勢しろ!」


その声を聞いたカオスは、突然攻撃をやめ、声の聞えた勢力の方を振り返り、カオスの攻撃により、その勢力は消滅した。


(ほう、このような魔族がいたとはな。)ミサはカオスの取った行動に感心していた。


「手を出すなと言ったのに。まあ、これで邪魔はいなくなった。では魔王代理よ覚悟せよ!」


「カオスとか言ったな、お前は中々見所があるぞ、気に入った。我配下にしてやろう、かかってくるがよい。」


「誰が貴様の配下になどなるか!」


余裕を見せるミサに、カオスはブチ切れ、おそらくこの魔界では、ミサの次くらいに大きいと思われる魔力を使い、ミサに攻撃を仕掛ける。


「なかなかの魔力だな。だが、私を倒すには程遠い。」


カオスの魔力はあっけなく弾かれ、ミサは死なない程度にカオスに攻撃を仕掛け、カオスは敗北した。


「わしの負けだ、さっさと始末してくれ。手加減までされた以上、生きている意味もない。」


「殺すのは簡単だが、お前のような魔族は他にいない。我配下となり、共に魔界を統治せよ。」


「魔界を統治し、支配することになんの意味がある?」


「平和な争いのない魔界を築き上げるのだ。お前がいれば、その日も早く訪れる。」



「平和な魔界?」



「そう、争いのない平和な魔界だ。」



カオスはその一言で、ミサに対し配下にして欲しいと自ら申し出、ミサの配下になる。


その後のカオスの活躍は、誰もが恐れる程の勢いがあり、逆らうものには容赦なく、徹底的に根絶やしにしてしまう為、魔界各地で恐れられるようになった。


その時の2つ名が『殲滅のカオス』だったらしいが、数千年経過している為、その名で呼ばれる事はなくなったらしい。




「なるほど、殲滅のカオスさんですか。それでカオスさんは恐れられてるんですね、その時ディオさんやミリアさんはいなかったのですか?」


「ディオやミリアは、もう少し後だったかな、あの頃はたくさんいたからね。あの2人も相当だったからね。配下にしてからかなり助かったわ。」


カオスのような配下は多数いたらしいが、戦死したり、ミサに反抗し消滅させらたり、仲間内で争ったりしていなくなったらしい。


「大変だったんですね、カオスさんやディオさん、それにミリアさんはこの魔界の功労者でもあるんですね。」


「そう?ある程度片付いてからは今の地位に就いたわけだし。今はすごい楽な仕事させてると思うけど。」


「でもあの方々がいるからこそ平和な魔界が維持されているのでわないのでしょうか?」


「まあ、そうね。私だったらめんどくさいから逆らう者は消してしまうんだけどね、カオス達はそうじゃないみたいだしね。ちょっと変わってるかわね。」


(いやいやいや、ミサキねえさんのがおかしいって。)ミサキの恐ろしい程のおおざっぱさに驚くマキ。


「でもカオスさんの噂をもっといい噂にしないと、わたしの噂がとんでもないことになりそうで。」


「マキちゃん、もう手遅れだと思いますよ。あの支配人の方でさえ、ご存じでしたから。それに魔界にいる魔族は皆知っているっておっしゃってましたから。」


「いいじゃないマキちゃん、そのおかげで私の悪い噂が忘れられてしまってるから。」


「都市を丸ごと破壊するのと、領土丸ごと消滅させるのとどちらが恐ろしい事か、みんな理解できてないんでしょうか。」


「あまりにもスケールが違いすぎて、みんな現実的な事を優先させるからじゃないかな。」


「あははは、まあいいじゃない。マキちゃんがかわいらしい事は私達が一番よく知っていることなんだし。」


こうしてマキが極悪非道で冷血で残酷な魔界四天王である噂は、魔界では知らぬ者はいない事実だけが残った。魔王ミサが行ってきた領土丸ごと消滅事件はあまりにも規格外だった為、噂にすることも恐れ多すぎたらしい。


この後、マキはお腹がすいたと言うので、3人で食事をすることになり、マキはシロを連れて、食事の用意されている部屋へと向かった。

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