【174話】竜の飼育方法
魔界公園で手なずけた竜を魔王城へ連れて帰ったマキは、城の中にある部屋を改造し、そこで飼うことになった。
部屋の改造は魔力を使い行わないといけないので、総司令官でありながら竜の部屋を造らされることになったカオスとディオはマキに呼び出され部屋にきていた。
「マキさんも魔力使えるのに、なんでわしらが。」
「うむ、そうじゃな。わしらも忙しいのに。」
「はいはい、ただ座っているだけだったけど忙しいお二人さんすいませんね、それに私はまだ魔力を使って何かを作ったりできないんだからしょうがないでしょ。」
「まったく人使いの荒い方じゃ。」
「そうじゃそうじゃ。」
「ふーん、まだ言うんだ。じゃあこの竜が大きくなったら真っ先にエサになってもらうように仕込んどくから。」
「さて、どのように改造いたしましょうか?」
「ちょうど暇してましたから、わしらも竜の部屋を造るのが楽しみですよ。」
マキの脅迫、いや説得によりカオスとディオは部屋の改造を快く?引き受けた。
一部屋百メートル四方の部屋を4部屋ほど繋ぎ合せ一つの部屋に改造し、竜がストレスを感じることのない環境を作る。そして室内は魔界にある自然をそのまま部屋に持ってくる。室内の灯りはマキが魔法を使用し外と変わらない程明るくなった。
部屋を繋ぎ合せ一つの部屋にしてしまう作業は数分もかからないのだが、それ以外は全て外から運んで来なくてならなかった為、カオスとディオはあちこちを瞬間移動し休む間もないほどこきつかわれ、ようやく部屋は完成する。
「反乱軍を鎮圧するより魔力を使った気がするな。」
「うむ、まさかこのような重労働で魔力を消費するとは。」
「カオスさんディオさんありがとね。2人の魔力もこの竜がいくらか食べてたみたいだったし、ほんと助かったよ。」
「しかもすでにエサになってしまっていたとは。」
「どうりで魔力が減るわけだ。」
こうして部屋が完成するとちょうどミカとミサキが様子を見にマキの部屋へとやってきた。
カオスとディオは跪き2人を迎え入れるが、たまには領土内を巡回してきなさい、とミカに言われ魔王城から追い出される。マキの傍にいたかった2人だが、さすがにミカに言われると従うしかなかった。
「カオスさんとディオさんさっきまでこの部屋作るの手伝ってもらってたんだけど、いいのかな。」
「あはは、そうだったんだ。でももう行っちゃしいいよマキちゃん、それよりお部屋できた?」
(ミカちゃんこわっ。あの2人には何故か厳しいな。)
「う、うん、できたよー。それに名前も付けちゃった。」
竜専用の部屋があるにも関わらず、マキに巻きついて竜は寝ていた。
「そう、名前も付けたのね、竜だから竜ちゃんとかでしょ?」
「お姉様、それは単純すぎます。私が予想するには、ドラゴちゃんとか、ドラちゃんだと思いますわ。」
(いやミカちゃん、対して変わんないとおもうんだけど。)
「ううん、ちがうよ。シロって名前にしたの。」
「そ、そうシロちゃん。ね。」
「シ、シロちゃんなの。そ、そうなんだ。」
(それって犬につけるような名前じゃないのかな。)意外な答えに困惑するミサキ。
(でも一体なぜシロちゃんなのでしょう。)ミカも少々戸惑い気味である。
「どうしてシロにしたのかな?」
「だってこの竜、白色だし。あははは。」
「でもマキちゃん、竜は大きくなったら色が変化しちゃうんでしょ?」
「あっ、そうだった。。でももう付けちゃったし、シロも喜んでたし、まあいっか。」
(もうマキちゃんたら、でもそんなところがかわいいわ。ふふふ)ミカは最近前にも増してあぶない思考になってきていた。
竜は1メートル程の大きさで、色は白く、攻撃もしてこなかった為、魔力を防ぐ防具を着こんだ魔族数名でなんとか捕獲できたらしく、最初は魔物動物園で飼育予定だったのだが、知能が高い事が判明しペットショップでの目玉商品として売られる事が決まったのだ。
だが竜が持つ魔力は想像以上に大きかった為、誰も手なずける事ができなかったのだが先日マキにより手なずけられたというわけだ。
「で、マキちゃん。竜を飼うにしてもその飼い方とか、ちゃんと調べたの?」
「姉さん、それなんですけど、これから魔界公園のペットショップへ行って聞いてこようかと思ってるんです。」
「そう、お散歩もできていいかもしれないわね。それに竜がいれば安心だし。」
マキ一人では危ないと思ったミサキは竜がいるから一人でも大丈夫だと思っていた。だが、そもそもマキにはそんな心配は無用なのである。それを解ってはいても、マキのかわいさについつい心配してしまうミサキ。
「姉さんまでそんなこと言うなんて。」
「あはは、ごめんごめん。だってマキかわいいから。」
「お姉様、ご心配なく、わたしがついていきますので。」
(いやいやミカちゃんまで、なんでみんなこんなに過保護になっちゃったんだろ。)
カオスだけでなく、ミサキまでもがどこかへマキが出かけると言うと、マキのことを守ってあげないとと思うようになっていた。ミカに関しては元々そうであったが以前にまして酷くなっている。
ミカやミサキはそれぞれ成長し、もはや姉のような存在になっていたが、マキは全く背も伸びず、行動やしぐさはどうみても小さな女の子にしか映らない。その為、ついつい心配してしまうのである。
竜の飼育方法を教えてもらう為、ミカとマキは再び魔界公園を訪れた。
「ミカちゃん、ここって動物園でもあるんだよね。」
「うん、そうだよ。動物園ていうより、サファリパークかな、放し飼いになってるから」
「そうなんだ。シロの散歩も兼ねて、ちょっと寄っていく?」
「うんいいよ。行こ行こ。」
1時間ほど歩きまわったが竜の持つ魔力が大きすぎる為、魔物がまったく近づいてこなかった事に気が付いた。
「よく考えたらシロは竜だもんね、ここにいる魔物に遭遇しないのはそのせいだったんだね。」
「そういえばそうよね、わたしも不思議に思ってたんだけど、なるほどシロちゃんが私達を護衛してくれてたのかもね。」
「だとしたら公園内にいてもしょうがないし、ペットショップへいこっか。」
「うんうん、そうしよ。」
こうして再びペットショップを訪れる2人だったが、竜を連れている為、入口付近にいた客や警備の魔族がざわついていた。
だが2人は気にせず中に入ろうと入り口へ向かうが、支配人が慌てて2人の元へ駆け寄ってくる。
「も、もうしわけありませんが、竜を連れてのご入場は危険ですので、どうぞこちらへお越しください。」
支配人に言われとんでもないことをしていた事に気が付いた2人はすぐに謝罪し、支配人に別室へと案内される。
「お嬢さんのおかげで、あの日以来客が増え、とても感謝しています。で、今日はどうなさいましたか?」
まず丁寧に礼を言うと、なにか用事があるのかと尋ねる責任者。
「そんなお礼なんて、わたしはタダでこのシロちゃんを連れて帰らせてもらっただけだし。それと今日来たのはですね、シロちゃんの飼育の仕方を聞きにきたんです。」
「シロちゃん?ああ、その竜のことですね。飼育ですか、それは特になにもしなくて大丈夫です。魔界の大気中にある魔力を食べるので、特に問題はないかと。それに我々と同じような食べ物を与えても問題はございません。」
「そうなんですか、ありがとうございます。」
「マキちゃんよかったわね。」
喜ぶ2人を見て支配人も笑顔になるのだが、支配人はある事を思い出し、2人に尋ねる。
「あの、失礼ですが、先日あの場にいた大将軍がお二人の事を魔界四天王のお方だとおっしゃられていたのですが。」
その時は誰も信じる者はいなかったのだが、その後よく考えてみたらあのエリア内にある魔力を軽装で防ぎ、さらに大将軍でさえ手なずけることのできなかった竜をいとも簡単にてなづけてしまったのだ。そう考えると大将軍の言っていた言葉が事実であってもおかしくないと感じたのだ。
「おじさん、私がそんな恐ろしい方に見えます?」
「ですよね、わははははは。実はこの魔界公園やこの施設は魔界四天王であるミカ様がお考えになられたのですよ。」
「へえ、そうなんだ。」
「なぜそのようなお考えであるかを上官から聞かされたとき、わたしはとても感動しました。ですから魔界四天王の方々は一人をのぞいて皆おやさしい方ばかりだと思いましてね。」
「一人を除いてって?」
「あくまで噂なのですが、魔界四天王のマキ様というお方が、とても凶暴で極悪非道であると。実際に無法地帯だったあの恐ろしい都市を丸ごと消滅させてしまったらしいのです。」
「そ、そうなんですか、それは恐ろしいですね。」
ミカはチラッとマキの方を見てそう答える。
「あくまで噂ですよね?本当はすごくいい方だってこともあるのでは?」
「噂はそれだけではございません。あの雷竜や闇竜をいとも簡単にしかも高笑いしながら討伐してしまったなど、もはやその噂を知らぬものは魔界ではいないと思われます。」
「そ、そんなお方が魔界四天王にいらっしゃるなんて、本当に恐ろしいですね。」
ミカは今にも吹き出しそうになりながらそう答えた。
(ううう、なんでそんな噂が。事実だといえ、極悪非道だなんて。。)
「それに総司令官のカオス様やディオ様は、配下にしていただいたと伺っております。あの方々が主と仰ぐ方でしたら噂は信ぴょう性が高いかと。」
(どういうことだろ。あの2人ってなんか悪い事したのかな?)
「どうしてですか?」
「魔界であのお二方の恐ろしさを知らぬものはおりませんからね。その話は私からするのもなんですから。」
「そうですか、でもいろいろ教えてくれてありがとうございました。」
(城に戻ったらミサキねえさんにでも聞いてみるか。)
ミカとマキは支配人にお礼を言って城へ戻ることにした。
ミカはこの支配人がとても気に入り後に城へ招き入れることとなる。
その後、自分が狩りに出かけて捕獲した珍しい魔物を個人的に寄付したりするようになった。




