【171話】ミカからの罰
*****魔王城*****
カオスとディオは話合い、マキを領土の魔族に紹介しても、カオスの部下達のように容姿だけで判断し、マキを龍主と認めず、さらなる問題が起こる可能性も考慮し、領土の巡回を諦め魔王城へ戻ることにした。
だが、三日ほど領土内を案内してもらう為出かけたはずのマキが翌日には帰還していたことを不審に思ったミカが、カオスとディオに事情を聞くため部屋に呼び出した。
さらに現在魔王代理であるミカの元にはカオス領土内で都市が一つ丸ごと消滅したことも報告を受けていた為、それも含め2人から事細かく事情を聞くためでもあった。
呼び出されたカオスとディオは跪き全て包み隠さず魔王代理であるミカに話す。
「…以上が魔王城へ戻ってきた理由と、都市が消滅した全ての理由でございます魔王閣下!」
「そうですか。そんなことが。」
「はっ、申し訳ございません。全て我らの責任でございます。」
「そうですね、私の大事なマキちゃんを泣かすなんて。」
いつもなら笑って済ませそうな事態なのだが、なんだか様子がおかしい。その事を感じながらカオスは謝罪を続ける。
「も、申し訳ございません魔王閣下。」
「マキちゃんは許したでしょうが、私は許す事ができませんね。」
(うわっ、ミカ様相当怒ってらっしゃるわ。こりゃカオス達ただでは済まないわね。)
この場にはミーナやアイリもいた。ミカはマキの事となると普段の温厚なミカとは違い、天界の聖天使の欠片もなくなってしまうことを知っていたので、カオス達にどんな処罰が下されるのかとドキドキしながら様子を伺っていた。
「わ、われらはどのような処罰も受ける所存でございます。」
カオスとディオはいつもと違うミカに戸惑いながらそう話す。
「当然ですわね、わたしの大事な大事なマキちゃんを泣かせたんですものね。」
(うわあ、2回言ったし。ミカ様本当にマキ様のことが大好きなんだ。)
「は、はい。覚悟はできてございます。」
「そうですか、では遠慮なく罰は受けてもらいます」
ミカはアイリを近くに呼び耳元で何かを伝える。アイリの表情は少し驚いている。
「わ、わかりました。本当によろしいのでしょうか?」
「ええ、構いませんわ。それくらいしていただかないと私の気が収まりませんから。」
「はっ、で、ではそのように。」
アイリはミカから何かを伝えられ、カオスとディオに付いてくるように告げるそして魔王部屋を後にした。
気になったミーナはミカに尋ねる。
「ミ、ミカ様。カオスとディオにどのような処罰を下されたのでしょうか?」
「あの二人がきちんと反省できる場所へ連れて行ったまでですわ。ふふふ。」
(いつものミカ様と違う。なんだか怖いよ。。。)
ミーナは少し引いてしまった。
しばらくするとマキが部屋にやってきたすかさず跪くミーナ。
「ミカちゃん、カオスさんとディオさん見なかった?あっミーナさんまたそんな事してるし。もう普通にしててよ。」
「はっ、申し訳ございませんマキ様。」
ミーナは先ほどのミカの出来事もありマキに対してかなりの低姿勢だった。
「マキちゃん、カオスさんとディオさんなら今アイリ様が別室へご案内してます。」
(別室?はて、どういうことだろう。たまにミカちゃんよくわかんない事いうな。)
「そうなんだ、だからアイリさんいなかったんだね。ところで別室って?」
マキが尋ねようとするとちょうどアイリが戻ってきた。
「こ、これはマキ様、ようこそおいでくださいました。」
疲れ果てやつれた表情のアイリが跪きマキに話す。
「アイリさんどうしたの顔色が悪いよ。」
「マキ様申し訳ございません別室におりました影響で突然眩暈が起こってしまいましたがもう平気です。」
(別室ってさっき言ってた部屋の事かな。しかも眩暈がするって。。)カオスとディオは一体どこへ連れて行かれたのだろうと心配になるマキ。
「ああ、そうね。まあ仕方ないわね。あの部屋は近づくだけでも危険ですものね。」
ミカはまた意味不明なことを言い出した。
「ミカちゃん、あの部屋って?それにカオスさんやディオさんはなぜ別室に?」
「カオスさんとディオさんには私から罰を与えております。ですから罰を与える部屋へお連れ致しました。」
「へ?なんで罰?」
「だって、わたしの大事なマキちゃんを泣かせたってきいたんだもん、そんなの許せるはずないでしょ?」
「いやいや、ミカちゃん。そもそもあの2人は悪くないしそれに悪いのは私なんだからさ。」
「だって。。。わたしのマキちゃんを泣かせたんだもん。」
「ミカちゃん、許してあげてよ、で、カオスさん達はどこに連れて行かれたの?」
マキはアイリの方に視線を向ける。
「はい、ミカ様のお部屋でございます。」
「そっか、じゃあ罰を与える前にわたしがここに来たってわけだね。」
マキはほっとした。だがアイリがそれを否定する。
「いえ、それがその部屋に入室することがすでに罰であると思われます。」
「え?どういうこと?」
「マキちゃん、例えて言うなら、人間界にあるとてもとても暑いサウナ部屋に何時間も閉じ込める程度の罪ですから。」
(それって下手したら死んじゃいますよミカちゃん。)恐ろしい事を平気で言うミカに少し引き気味になる。
「と、とにかくアイリさん案内して。」
「はっ、わかりました。」
マキとアイリが部屋にたどり着いた。
「この部屋でございます。」
アイリがそう告げドアを開ける。
「うわっ、まぶしい!」
開いたドアから溢れ出す金色の光。
そして部屋の中に入ると、天界グッズが広い部屋を埋め尽くすくらい並べられていた。
カオスとディオは、その部屋にある椅子に座っているが、もはや立ち上がれるような状態ではなかった。
マキはカオスとディオを引きづりだしすぐに治癒を施した。
(天界グッズだらけじゃないか、これじゃあいくら魔力があったってもたいないよ。よく浄化されずに生きてたもんだ。)
カオスとディオに聞くと、部屋に入れられしばらくすると魔力がどんどん吸い取られていく感覚に陥った、このままではヤバイと感じた二人は、先日の地底都市を思い出し、魔力が尽きる寸前で魔力を抑えたので助かったらしい。
(しかし恐ろしい部屋だ。)
マキはこんな部屋に平気で閉じ込めるミカも部屋以上に恐ろしいと感じてしまった。
そして2人を連れ再びミカのいる部屋へ戻る。
「ミカちゃん、カオスさんとディオさん浄化される寸前だったよ。」
「だって、マキちゃんを泣かせるんだもん。」
「カオスさんやディオさんが浄化されちゃったら、また泣いちゃうよそれでもいいの?」
「そ、それは困りますわ。では罰はもう終わりにします。カオス様、ディオ様、今後マキちゃんを泣かすような事を2度としないようにお願いしますね。」
「はっ。お約束致します。」
「ち、誓います!」
カオスとディオは跪いて約束をすると告げる。ミカに対してある意味マキ以上に恐ろしく思った。
(なんか最近、みんな私に対して過保護になってる気がするんだけどなー。)
マキはそう思った。
魔界では敵なしの存在でもあるマキ、だが見た目はかわいらしすぎるくらいかわいい為、本能的に守らなければならないと思わせてしまうのだ。
なのでミカはともかく、カオスやディオまでもがマキの身に何かあってはならないと要らぬ心配をしてしまうのである。




