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てんせい☆  作者: MAKI
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【169話】魔界四天王マキ

カオス直属の部下5名の護衛ではあるが魔界での地位は高いわけではない為、都市についても魔族が一斉に跪くようなことはしないとカオスから聞かされていたのでマキは安心して遊びに出掛けた。


(都市に入るたびにいちいち跪かれてたらキリがないもんね、でもそういうことがないなら護衛の人なんか気にしなくてもいいかもね。)


カオスがこの領土にきてから急に過保護になったことを不思議に思いながら、とりあえず都市へ移動することにした。


「あ、あの。どこかいい都市はありますか?」


カオスの部下に尋ねる5人共険しい表情でマキを見る。


「でしたら私どもが案内しましょう。」


淡々とした口調で案内すると告げるそしてマキを含めた6人は瞬く間に領土内のどこかの都市に辿り着いた。


まるで人間界で例えるとスラム街のような都市だった。


(うわ、ガラ悪そうな魔族ばかりだ。)


カオス直属の配下5人を見ても誰も跪かない、それに話しかけても来ない。


(たしかに誰も跪いたりしないんだ、それどころか気にもしていないみたい。)カオスの言ってた通りだと思った。


だが、一人の魔族がカオスの部下に気が付きこちらにやってきた。


「よお、久しぶりじゃねえか。今日はまたかわいらしいお嬢ちゃん連れて観光か?」


かなりの魔力を持っていると思われるその男はカオスの配下に普通に話しかける。


「ああ、カオス様のお知り合いの方だ。」


「ふーん、そうかい。子守も大変だよな。はっはっはっは。」


その男はマキを変な目で見て笑いながら去って行った。


(子守って。失礼な。まあ小さいからしょうがないけど。だけどなんでこんな都市に来たんだろ?なんかあるのかな。)


特になにがあるわけでもなくただ都市内をブラブラと歩くだけだった。


「あ、あの。ここには何か特別な施設とかあるんですか?」


少し遠慮気味に尋ねる5人の表情はとてもめんどくさそうだった。


「いえ、特になにもないですが、まあしいて言えばここには闘技場はたくさんありますが。」


「そうなんですか。なんかの試合があるのですか?」


「試合?自分の地位を上げる決闘や、この都市を束ねる為の決闘がある場所です。ご案内しましょう。」


カオスの部下の一人がそう説明するが、実際は賭け事による決闘が都市のあちこちで行われるだけであった。

どうやらこの都市には領土内の各都市からのはみ出し者や手のつけられない魔族や野心に燃える魔族が集まっているらしい。スラムと化したこの都市は治安など無いに等しかったのである。


そして案内された闘技場に辿り着いたマキ。


元々この領土はミサの父親であるテラが統治していた領土であり実力至上主義である魔界だったが、ちゃんとした闘いをさせた上でその地位を与えていたテラは、あちこちに闘技場を作りその場で争わせる事で都市内の治安を維持していた。


なのでこの都市はその名残を受け継いだ都市でもあった。


治安が悪い為、護衛がいても襲われる可能性はあることを承知でマキを連れてきたのである当然護衛する気はさらさらない。


「着きました。ここが闘技場です。」


たどり着いた闘技場は都市で一番大きな闘技場であり、かなりの魔力を持った魔族同士での闘いが毎日行われ、いわば都市一番の賭博場でもあったのだ。


カオス直属の配下でもあることから、闘技場の支配人から闘技場内が見渡せる特別室へと通された。


「うわあ、すごい数ですね。」


観客の多さに驚くマキ。場内もかなりの盛り上がりを見せていた。

まさか賭け事が行われているとは予想もしていない。


マキを闘技場内が一番見渡せる席に座らせ5人の配下は少し離れた場所で話し出した。


「この際だ、この闘技に出場してもらい闘いの場で死んでしまったとなればお咎めもないだろう。」


「ふむ、それはいい案だな。ではここの支配人に話をしてみよう。」


「対戦相手はどうする?」


「それなら、副司令官クラスの魔力を持つ奴が数名いたであろう。そいつにやらせればいい。金さえ握らせればなんでもやる奴らしかおらんしな。」


「ふむ、わかった。では私はあのガキの傍にいるとしよう。闘う前に死んでしまっては困るからな。」


5人は話し合い、それぞれが先程決めた役割を担うこととなり、一人はマキの座っているところへ戻って行った。


マキは白熱した決闘に見蕩れていた。そして最強魔法使い決定戦のことを思い出していた。


(あんときの闘いとはスケールが違うなあ。さすが魔界だなあ。)


何試合かの決闘が終わり闘う為に設けられたステージに一人の魔族がマイクを片手に進んでいた。


(マイクなんか持って歌でも歌うのかな。)


そしてステージ上で両手を高々と振り笑顔で観客に応える魔族。


「あ、あの。あの人はどなたですか?」


「あれはこの闘技場の支配人です。」


(なるほど、ここの支配人なんだ。するとこれからイベントかな。)


これからなにが起こるんだろうと期待しながら、ステージ上にいる支配人を見つめると支配人がマイクで何か話しだした。


『お集まりの皆さん!本日はスペシャルゲストがお見えです!』


そう告げただけで大歓声に沸く闘技場。


(スペシャルゲストが来るんだ、いいときにこれてよかった。)わくわくしながら支配人がだれを招きいれるのだろうと見ていた。


『なんとこのカオス領の新たな領主であり魔界四天王のお一人でもあります、マキ様がご来場です。』


さらに大歓声に沸く場内。こんな都市に訪れる事自体ありえないことだったが、戦闘特化のカオスを配下に従えているほどの魔界四天王の一人だと知っていた為、この都市にきたのだろうと誰もがそう思っていた。


『えー今日はその四天王であるマキ様自ら我らにその闘いを披露されるとのことです!』


とんでもない発言に闘技場は大音響の歓声で響き渡った。


(はい?きいてないんですけど。)


支配人のいきなりの紹介とさらに闘いを披露することを言われたマキは放心状態だった。


「マキ様、支配人もあのように申しております。ここは魔界四天王として出る以外ありませんな。」


「そ、そんな。私は観戦にきただけなのに。」


マキに付き添っていた配下の一人が笑みを浮かべながらそう告げる。そして支配人のほうに視線をやると目が合った支配人は打ち合わせどおり瞬間移動しカオスの部下の目の前に現れた。


「えっと、マキ様はどちらに?」


「お前の目の前にいる。その小さな女の子だ。」


「はい?ご、ご冗談を。カオス様直属の方とはいえ笑えませんな。」


鋭い眼差しで、カオス直属の配下に視線を送る支配人。どうやらこの支配人も只者ではなさそうだった。


「あの。私がマキです。」


上目遣いで、かわいらしい女の子が支配人にそう話しかける。


「ほ、ほんとにこの方がマキ様なのか?」


「ああ、本当だ。」


信じられないといった表情の支配人。するとどこかに行っていたカオスの配下達が戻ってきた。


「ほ、ほんとうにあなたが魔界四天王であるマキ様なのですか?」


再度確認する支配人。


「そうだ、その方がマキ様だ。」


戻ってきた配下も頷き、どうやら事実のようだと判断した支配人はさきほど他の配下から聞いていた打ち合わせ通りに進める事にした。


「では、マキ様。ステージまでご案内いたします。」


「は、はい。」


(きっとカオスさんの部下の人たちが気を使ってくれたかもしれないし。とりあえずいってみよっか。)


支配人はマキの手を取り瞬間移動しステージ上に戻ってくる。


『皆様、このお方がマキ様です!』


マキを紹介したが、場内は一気に静まり返った。そして今度はあちこちから罵声が響き渡る。


『ふざけんな!』


『ただのガキじゃねえか!』


『いいかげんにしろ!本物をだせ!』


(そりゃそうなるわ。)マキ本人は誰も信じないことは解っていた為、罵声を浴びせられてもなにも感じなかった。


特別室からその様子を見ていた5人の配下達。


「これでは収拾が付かんな。」


「ありゃ誰でも怒るだろ。」


「だな、我らが行くか。」


5人はこのままでは決闘どころではないと判断しステージに瞬間移動した。そして支配人からマイクを奪い取り話し出す。


『ここにいる闘いが好きな魔族どもよ!よく聞くがいい!我らはカオス様直属の部下である。』


5人の登場で罵倒を浴びせていた魔族は静まり返る。5人から溢れだす魔力ですぐにカオスの配下だと察知する。


『ここにいる方は紛れもなく魔界四天王であるマキ様だ!その闘いその目に焼き付けるがよい!』


そう告げると、後は支配人にマイクを返しまかせたと言ってさっさと先程の特別室へ消えていってしまった。


罵倒が再び大歓声に変わった場内。


支配人はマキに視線をやるがどう見ても強いとは思わないだが相当な大金を受け取っていた事もありまあいいかと思いこれからマキが闘いを披露すると場内に伝える。


(しかしこのような小さな女の子が魔界四天王だとは。かわいそうだが仕方あるまい。)


『では、魔界四天王マキ様に相対する魔族を紹介しましょう!この闘技場で負け知らず!現在500連勝中のモルグです!』


モルグの名を告げた途端場内はまたもや大歓声に包まれる。


そしてモルグという魔族はおびたただしい魔力を撒き散らせながらステージへと向かっていた。


「おい、支配人。このガキが魔界四天王だと?殺してしまってもかまわねえのか?」


「闘いの場においてだから仕方あるまい。なるべく残酷な事は避けてくれよ。俺にはそんな趣味はないからな。」


支配人はそう告げるとカオスの部下がいる特別室へと瞬間移動した。


「本当によろしかったのでしょうか?」


「構わん、それにしてもうまくやってくれたな礼を言うぞ。」


「我らはこれで失礼する。小さな女の子が無残に殺される姿を見る趣味はないのでな。」


カオスの部下5人はそういい残し闘技場を後にした。

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