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てんせい☆  作者: MAKI
165/230

【165話】降雪地帯2

*****降雪地帯*****



カオスが魔力で作り上げた乗り物『ワンルーム』で移動するマキ達は、なにやらかわった風景が見えてきたことに気が付く。


「あれかな、なんか雪が降ってるようにも見えるね。」


「そうです、あの一帯が降雪地帯でございます。」


降雪地帯は1キロ四方に渡り広がっているらしく、捜索隊が発見した時に足を踏み入れようとしたが、一瞬で足が凍ってしまったらしく、降雪地帯の捜索はいったん打ち切り、都市へ報告に戻ったというわけだった。


その雪が降っているように見える場所と降っていない場所は目で見てはっきりと解るように境目がある。乗り物を一旦降雪地帯の入り口に停め、四人は乗り物から下車する。


「これって空中で雪が止まってますなあ。」


それは不思議な光景だった。氷点下200度の為、大気まで凍っているようにも感じる。だがマキは素早く分析する。


「これは雪じゃないよ、魔力が凍っちゃってるんだよ。」


「なんと、魔力でありますか。さすがマキ様。」


「いやいや感心している場合じゃないよ、これってどういうことかわかってるの?」


魔力が凍っている、すなわち魔族の持つ魔力そのものが凍っている為、当然その中に入ればたちまち魔力が凍ってしまうのだ。


「これじゃあこれ以上進めませんな。では引き上げましょう。」


「カオスさん、いますぐこの中に放り込まれたいの?」


「い、いえ冗談ですマキさん、しかしどうやって進むのです?」


「どうやってって、決まってるじゃん、このまま進むんだよ。魔力で魔力が凍らないようにすれば済むことでしょ?」


「まあ、できないことはないですが。」


(カオスなに言ってるんだ。そんなことできるわけないだろう。マキ様は我々を凍らせたいのか。)ガイはそう言いたかったが、言葉には出す事ができなかった。


ガイの思いと裏腹に、マキは何一つ表情をかえず、降雪地帯に足を踏み入れる。フローラにだけは魔力が凍らないように魔法をかけ、フローラもマキに続いた。


そしてカオスもかなり険しい表情になりながら、足を踏み入れる。


「ぐ、さすがにきついわ。ガイ無理するでないぞ。」


目の前で小さな女の子と地位が自分より低い副指令官、さらに同格のカオスまでもが足を踏み入れている為、引くに引けないガイは同じように足を踏み入れた。


先ほどまでとは比べ物にならない強い冷気がガイに襲い掛かる。

(こ、これは、俺の魔力では歩く事もできん。かといって引き返すことも…うう。)


すでに動けなくなったガイ、その事を伝えようとしても言葉すら発せられない。


(まずい、このままでは凍ってしまう…。)


みかねたマキはガイに少しだけ冷気を緩和する魔法をかけた。


「マキ様、甘やかしては。。。」


カオスがマキにそう告げるが、このままでは確実にガイは凍っていたのだ。


「カオスさん、ガイさんにはこの寒さは耐えられないよ。でも帰る頃にはきっと耐えれるようになっているから。」


「わかりました、ならよいでしょう。」


冷気が緩和され、急に動けるようになったガイは、二人の会話で、マキがなんらかの魔法をかけたことを悟る。


(俺はなんて情けないんだ。これじゃただの足手まといではないか。)落ち込むガイ、しかしカオスに落ち込んでいる場合かと怒られ、素直に謝罪する。


「フローラさん、魔物が出たら魔力でどんどん倒していいからね。」


マキがフローラにそう話す。


「は、はい。し、しかし…。」


フローラは総司令官が二人もいるのにそれを差し置いて自分がそんなことをしていいものかとカオスとガイのほうをチラっと見る。


「ああ、あの二人ならここじゃどんな弱い魔物でも倒せないからほっとけばいいよ。」


酷いことを平気で言うマキだが、二人は何も言い返せない、なぜならマキの言っている事は事実だからである。


するとタイミングよく、見たこともない魔物が現れた。


見た目はワニのような平べったいが数メートルはある物凄い牙を持つ魔物だ。見た目はかなり強そうだったが、今のフローラならほんの少しの魔力で倒せると告げる。


マキの言う通り、簡単に倒せてしまった。これがカオスやガイならば、魔物のえさになっていただろうと話すマキ。


今の二人には攻撃能力が全くないため、この二人を守りながら進むのがフローラの役目であるとマキに言われる。


「この命に代えてもお守りいたします。」


カオスは氷点下200度の冷気をモロに浴びているが魔力でなんとか防いでいる、ガイはマキの魔法により氷点下175度に抑えられているが、魔力のほとんどを冷気を防ぐ為だけに用いている。


だが、冷気を防ぐ事で、二人とも確実に魔力を高めている。フローラにしても、冷気を遮断しているが、ここに住む魔物はカオス達と同じく魔力で冷気を遮断しているため、簡単に倒せるが、実は物凄い魔力がフローラに吸収されていたのだ。


降雪地帯をどんどん進んでいくにつれ、魔物が次から次へと襲い掛かってくる。

フローラは全て排除し、ワニのような魔物はいなくなった。


「フローラさん、警戒を忘れないでね、だんだん強いのがでてくるからね。」


マキの言う通り、ワニのような魔物がいなくなった途端、双頭の獣が現れた。

冷気を吐く魔物のようだ。


「あの冷気は絶対零度に相当するね、浴びたら最後だよ。それに魔力を防御することもできるくらいの冷気だから。」


フローラにアドバイスをして、マキは見学するだけだった。魔物自体の強さはそれほどでもないが、攻撃力や防御力が高い為、強いと判断したのだ。


フローラは冷気をうまく避けながら魔力で双頭の獣を討伐した。それ以降は同じ魔物を倒し、ワニと同じように双頭の獣もいなくなってくると、また新たな魔物が現れたのだ。


マキはその魔物を見ておもわず声を上げてしまった。


「こ、これは、まさかそんな。」


なつかしさすら覚えるその魔物の姿は、ペンギンもどきであった。


悪魔の世界で見たあのペンギンもどきだ。


「この魔物は、かなりヤバイからフローラさん下がって。」


どうみても弱そうな魔物なのに、下がってといわれるフローラ、いまいち納得できないようだが、その魔物の攻撃を見て、恐怖さえ感じた。


ものすごい力と俊敏性の持ち主なのだ、マキに一瞬のうちに襲い掛かってきた魔物は、マキが攻撃を交わすとその短い足が地面に大きな穴を開けるほどの衝撃で、フローラの足元さえも揺れ動いた。


「やっぱりこのペンギンもどきだったんだ。」


こいつを倒すには時間がかかる為、マキは悪魔の世界でやったように、ペンギンもどきをカメに変えてしまった。


「この魔物を倒すのには時間がかかっちゃうから、このまま放置しとくね。」


「このような魔物にそれほど時間がかかるのでしょうか?」

どうみてもただのカメにしか見えない先ほどの魔物が強いと感じなかった。


「ものすごいタフなんだよ。見た目に反して防御力は物凄いから。」


カメに成り果てたペンギンもどきは、歩く速度が遅い為、攻撃もできず、その辺をウロウロしているだけだった。


(魔物公園に連れて行きたいペンギンもどきだけど、あんな力を封じ込める檻がないしなあ。)そんな事を考えながら進むマキ。


後方にいるガイやカオスは話す余裕もなくなっていた。


だがそんな二人を気にも留めず進むマキ、今度は大きな亀裂が地面に走った。


「なんだ。地震かな。」


地面ゆれ、亀裂がだんだん大きくなり、次第に膨れ上がり、亀裂は裂け、そこからとんでもない魔物が現れたのだ。




「うわああああ、竜だ!見てみて竜だよ竜それも真っ白!」


「!!!!」


嬉しそうなマキだったが、カオスやガイはその竜がどれほどヤバイかを本能で察知していた。フローラに至っては、その場から動けなくなっている。


竜は四人に襲い掛かってきた。口からは先ほどの獣と同じく冷気を吐き出す、しかし物凄い量の冷気だ。


四人を覆い尽くすほどの冷気を吐き出したため、カオスとガイは覚悟を決める。フローラは気を失いかけていた。


このままでは全員凍ってしまうので、マキは冷気を熱風で蒸発させ、ついでに白い竜を数万度の炎で跡形もなく燃やしてしまった。


『白竜の結晶』を手に入れた。


「きゃあああああ!なんかでたよぉぉぉ」


アイテムを手に入れ喜ぶマキ、カオスとガイは限界が近づいており、フローラはフラフラになっていたので、とりあえず降雪地帯から脱出することにした。


フローラに肩を貸し、降雪地帯と寒冷地の境目を通り過ぎる。するとフローラは正気に戻った。いくらマキが冷気を遮断しているとはいえ、本人が意識を失えば命に関わるのだ。


ガイとリードには後ろから蹴りをいれ、降雪地帯から放り出した。


「なんて乱暴な。。」


「ふう、さすがにあぶなかったわ。」


「寒さに耐えていただけに思えますが、これが修行になるのでしょうか?」


「まだ気が付かんのか?まだここは都市内ではないのだぞ。」


ガイは現在降雪地帯を出て、氷点下150度の場所にいるわけだが、魔力はそれほど消費せずに冷気を遮断している、カオスにそれを指摘されようやく気が付いたのだった。


(ほ、ほんとうだ。この冷気を防ぐ為に使う魔力がかなり減っている。)


カオスに至っては、氷点下200度を耐えた為、氷点下150度など、すでになんともなくなっていた。


一番すごいのはフローラで、マキによる冷気の遮断を解いたのだが、ちゃんと魔力で冷気を遮断することができるようにまでなっていた。


それぞれが体感できるくらいの魔力を身に付けたことで、短時間ではあったが、修行は終わった。この経験を活かす為にマキ達が都市を去った後、ガイはリードに、フローラはレイに共に修行に励み、この地での冷気に慣れるようになったのである。


マキはこの地で手に入れた白竜の結晶をフローラにプレゼントした。寒冷地での過酷な任務がどれだけ大変なことなのかわかっていたためでもあり、この白竜の結晶の証により、冷気がかなり遮断されることもわかったからである。


フローラはマキに感謝し、この地でもっと頑張り強くなると約束した。


一方、リードやディオは、スネてふてくされていたので、マキが2人に電撃を浴びせるなどの事件もあったが4人は無事、寒冷都市へ帰還した。

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