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てんせい☆  作者: MAKI
162/230

【162話】罰ゲーム

*****魔王城(ミカの部屋)*****



魔王城内にミカの部屋だけでも数千室もある。現在ミリアとミカの2人はその数千の一室にいる。


天界グッズの揃った部屋があることを以前ミーナから聞かされていたミリアは、通された部屋が普通の部屋だったのでほっとする。


ミリアをソファに座らせ、先程のミーナやアイリの趣味について話し、ミリアの意見を求める。


「あの2人がそのような事を、ミカ様のお気持ちお察しいたします。」


どうやらミリアはまともなようだったので、笑みがこぼれるミカ。


「なぜミーナ様とアイリ様はあのようなご趣味に興味をお持ちなのでしょうか?」


「おそらく、過去に仕えていた総司令官の影響によるものだと存じ上げます。」


ミーナとアイリが総司令官になったのは、今から数百年前らしく、ガイやリードと同じく総司令官としての日も浅い。それまでは数千年に及び副司令官として仕えていたらしい。


この4人が総司令官になったきっかけは、領土の分割により統治する領土が増えた為、総司令官を増員することで、地位があがったことと、魔王の怒りを買った総司令官が消滅させられたことによるものであったことを説明する。


ミーナとアイリが副司令官だった頃、反乱軍に入る前のギルタスも同じく副司令官であった。3人は同じ総司令官の傘下にあり、アイリは後に異動となり新たに分割された領土の総司令官に抜擢された。


アイリが異動するまでは3人は同じ総司令官に仕えていた為、それを手本とし、それが正しい事であると思わなければならなくなっていた。


配下にも厳しく、反乱する魔族には徹底的にその意欲さえなくなるような拷問を加え、処刑も見た者が恐怖するような処刑方法を選ぶといった手法で鎮圧を繰り広げていた。


当然数千年にも及んだそのような鎮圧方法が正しいと認識しているミーナやアイリは、さらなる拷問方法を考案し、実行することが最終的には趣味として日々いろんな方法を考えるのが楽しみになってしまったというわけだ。


従って現在の鎮圧後の処刑は、バラバラにして魔物のエサにするか、死ぬまで晒して放置するかのどちらかである。


「そうだったのですか、それが正しいとも悪いとも言えませんが、どうにかならないものでしょうか?」


魔界で反乱軍を鎮圧する2人になんら意見をできる立場でもないと思っているミカは、他に方法がないかとミリアに問いかける。


「それでしたら簡単に解決する手段がございます。」


「えっ、本当でしょうか、ぜひお教え願いたいのですが。」


「はい、ミカ様ご自身が、領土内での反乱軍に対する処刑方法や、刑罰の与え方などを決めてしまわればよいかと存じ上げます。」


「しかし、わたくしごときが口出しするのはどうかと。」


「魔王閣下でございますミカ様は、この魔界全土に対してどのようなご命令を出す事ができます。ですから誰がどの領土を統治していましょうが関係はございません。」


「そ、そうなのですか。わかりました。ミリア様よいお知恵をお貸しいただきましてありがとうございました。」


「いえ、私のような者が、魔王閣下のお役に立てたのであれば、これ以上の幸せはございませぬ。」


深々と頭を下げ、総司令官室へ戻ろうとしていたミリアに、ミカが声をかける。


「ミリア様、お待ち下さい、これを。」


大きな箱がはいった袋をミリアに手渡すミカ。


「これは、なんでございましょうか?」


「ミリア様は、人間のお姿になることが可能になったとお聞きいたしましたので、もし人間界にこられる日がございました、是非これを。」


ミカはミリアの為に服をプレゼントした。どんな色でどんな服なのかは、着る日が来るまで秘密だと告げる。


「魔王閣下、私のような者にこのようなお召物をくださり、ありがとうございます。」


ミリアはかなり嬉しそうだった。先程の表情から一遍し笑顔でミカの部屋を出て行った。


(新たな処刑方法に、新たな処罰の方法かあ…。困りましたね。)


ミリアからアドバイスを受けたとはいえ、平和主義のミカにとっては重大問題であることにはかわりはなかった。


(とりあえず現在、あの2人が行っている拷問や、処刑方法を知る必要がありますね。)


他の領土の処罰の方法なども参考にし、魔界全土で統一の処罰の方法を考えなくてはならないと、思ったミカだった。


この魔界にはおおまかな法の下で社会が構成されている。たいした罪でも消滅させられてりすることもあれば、謝罪で許してもらえることもあり、それを決定するのは、各都市に委ねられた責任者が自由に決める事ができるのである。


ミーナやアイリは大規模な反乱以外、鎮圧に出向く事はないのだが、今回のように大規模な反乱が起きた場合、鎮圧後の処刑や処罰には当然2人が指揮を採り、目を反らしたくなるような拷問や処刑が展開される。


それを見ていた大将軍や将軍も、同じようにしてしまう為、結局のところミーナ領の魔王軍は残忍な軍としてその名を轟かせてしまうことになるのだ。


本来なら魔王ミサが片付けていかなければならない仕事でもあるのだが、元来めんどくさがり屋のミサだったので、魔王代理として同格の立場のミカが細かい仕事をやってくれるだろうと思っていたので、まさにミサの思うつぼでもあった。



*****リード領土内寒冷地*****



マキ達3人は現在寒冷地の都市を目指し、なんと徒歩で進んでいた。

寒冷地を取り囲む山脈に着いた途端マキがいきなり言いだしたのだ。


「ここから罰ゲームとして歩いてあの都市までいくからね。」


「カオス、ここの景色は最高だなあ。」


「うむ、ほんとうじゃ、真っ白で美しい。」


聞こえないフリをし、2人で話をするカオスとディオ。

この山脈まではディオが作った乗り物『マンション』に乗って移動してきたのだが、まさか歩いていくと言い出すとは思いもしていなかったのだ。


なぜマキが寒冷地にきたのかというと、出発前に、ガイやリードにユキが無事だった事を告げたマキは、2人に罰ゲームにふさわしい場所がないか尋ねる。


ガイは溶岩の川がありますと提案したが、そこはすでにマキが罰ゲームとして泳がされた場所であったため却下された。溶岩の川を泳いだと聞かされたガイとリードは思考を停止した。


しばらくしてガイはなにかを思い出したかのように、暑さの逆の寒冷地ならどうでしょうかと提案し、マキはそれを受け入れ現在に至るわけである。


「ふーん、そっか、聞こえないフリするんだ。」


「なあ、カオスよ、まさかこんな寒い場所なのに、外に出ようとか言うバカはいないだろうな。」


「ディオよ、そんな者、この魔界に存在するわけがないであろう。」


「あっそ、そんな態度取るんだーへぇー。」


『ボカーーーーン!バラバラバラバラ!』


マキは乗り物『マンション』を破壊した。3人は山の頂上に落下し、鉄のように凍り着いた山の頂上に落ちていった。


だが、そこは総司令官、見事に魔力を使い無事着陸に成功した。だが本来魔力は防寒の為に使わなければならず、着地の為に使ってしまった事で氷点下150度の冷気が襲いかかる。


「あわわわわわ。。。。ざ、ざ、ざむい。」


一気に寒さに襲われ、凍りかけたカオスとディオ。だがすぐに魔力で冷気を防ぎなんとか助かった。


同じように上空からマキの姿がなく、カオスとディオは周辺を探す。


「あっ、いた。…マキさん。。。」


マキは凍っていた。マキも着地の為に能力を使っていた為、これほどの冷気が山の頂上にまで満ちているとは予想していなかったのだ。


「カオスどうする?。」


「ふむ、そうじゃな。」


カオスは凍ったマキを抱え上げ、山頂から投げ捨てた。


「おい。。。いいのか。」


「どうせ凍っておるしわからんだろ。」


マキは山頂からゴロゴロと転がり山の中腹にある岩に激突したのが確認できた。しかしその岩は途端に大爆発を起こし、鬼の形相でマキがカオス達のいる場所へ駆けあがってきた。


「なにさらすんじゃあああああああい!」


ユキの能力で2人を凍らせたマキは、背後から蹴りを喰らわせ、山頂から一気に山の麓まで落としてしまった。


そして現在3人は寒冷地を歩いている。


普通に歩いていれば寒さも感じないのだが、魔力を他の所へ回せばたちまち冷気が襲ってくる。なのでマキは罰ゲームと称して2人を攻撃する。


「えいっ!」


大きな氷の塊をディオにぶつけようとする。だがディオは魔力で回避、その直後冷気に襲われる。


「うがああああああああ、寒い痛い!」


カオスの足元に大穴を開け、落そうとするが、カオスは浮上し回避、だが当然冷気は襲いかかる。


「ひえええええええええ、寒----い!」


カオスとディオも黙ってはいなかった。

マキが怖がりなのを知っていたので、たいして魔力を使用しない変身により、グールや幽霊などに変身し、マキを驚かせ、驚いたマキは恐怖のあまり冷気を防ぐのを忘れ、何度も凍っていたりと、3人は寒冷地をギャーギャー言いながら歩いて行った。


するといつのまにか都市の入り口である分厚い扉の前に辿り着いた3人。


『ドンドンドン!』


「すいませーん、中にいれてくださーい。」


マキは扉を叩き叫び出す。


『ドンドンドーン!』


「総司令官のカオスだー、誰かいないのか?」


カオスも同じように叫び出す。


壁を乗り越えればいいのだが、魔力を浮上に回せば冷気に襲われるので、扉から入ろうとする3人。


「この扉で冷気を防いでいるんだろうし、壊すわけにはいかないよね。」


(壊す気だったのか。。恐ろしい方だ。)


「そうですな、壁の厚さも相当ですから、壊すのはまずいですな。」


3人共、能力を冷気の遮断に回している為、都市内にいる魔族は外に誰かいる事が気が付かない。



「困った。中に入れないは予想外だった。」


「いいかげんな主を持った我々はかわいそうだなディオ。」


「だな、まったくその通りだ。」



「呼び出しのチャイムくらいつければいいのに。」


「こんな場所まで徒歩でくるとは想定していないでしょう。」


「だな、大体そんなもの取りつけても凍ってしまって、使いものにならんだろ。」


「ふーん、まだ言うんだ。」


マキは電撃を喰らわせた。


『あががががびびあががががががびびびびび。』


冷気よりも熱した為、2人から凄い量の蒸気が沸き立つ。


その蒸気は空高く舞っているため、都市内にいた魔族が異変だと思い、騒いでいるのが聞こえてきた。


そしてしばらくすると、都市入り口の扉がゆっくりと開いていく音が聞こえてきた。


『ギギギギ…ギュ…キー。』


開け閉めする度に聞こえる氷の摩擦による音。


「あっ、カオスさん、ディオさん扉が開いたよ!そんなところで寝てないで早く早く。」


開いた扉には防寒装備をつけた副司令官フローラが立っていた。


「このような寒冷の地へ正面からくるとは、貴様らは何者だ!」


初めての事態に驚いていたが、副司令官としてこの都市を守る使命を果たす為、自分の身を呈してでも侵入を防ごうとするフローラ、さらに後ろには都市内にいる魔族が同じように3人に敵意を向ける。


虹色の髪の女の子に、電撃により焦げて黒くなった男2人。どうみても怪しい。


(なんだあのふざけた髪の色は、それに黒い肌の魔族が2人、どうみても怪しいな。)


「あのー、ガイさんにここの都市のことを聞いてやってきたんだけど、中にいれてもらえませんか?」


「ガイさんだと?まさか総司令官のガイ様のことか!貴様ガイ様に対してそのような呼び方をするとは、生きて帰れると思うな。」


(あちゃーこまったな。そっか、カオスさん達の魔力は冷気遮断に回しているから気配の察知ができないんだ。)


「あのー、とにかく中に入れてもらえば解ってもらえるとおもうんですが。だめでしょうか?」


フローラも実のところ困っていたのだ。自ら扉の外に出るわけにもいかず、かといってみすみす放っておくこともできずにいた。だが都市内であれば魔力も使用できるため、なんとかなるだろうと思い、中へ通す事を決意した。


「中に通したら一斉に取り囲みひっ捕らえよ。」


フローラは中にいる魔族にそう伝える。魔族もそのつもりで用意はしていた。


「わかった!貴様ら一人づつ中へ入るんだ。おかしな真似をすればすぐに始末するからな!」


「わかりました。カオスさん、ディオさんいくよ。」


「なんでワシらがこんな目に。。。」


「やはり仕える相手を間違ったらしいのう。」


「まだ何か?」


「い、いえ!なにも。。。」


なかなか入ろうとせず、漫才をやっている3人にフローラはブチキレそうになる。


「おい!さっさとしろ!」


「ああ、すませーん。いまいきまーす。」


(なんであんな平気な顔ができるのだ。こいつら只者ではなさそうだ。)


フローラの警戒レベルは最大限に引き上げられた。


マキが入り口にさしかかり、続いてカオス、ディオと続く。気温は一気に上がり、マキは両手を挙げて喜んだ。


「わーい到着、到着!」


だが取り囲んでいた魔族により、一斉に鎖でグルグル巻きにされる。カオスやディオも同様にグルグル巻きにされていた。


カオスはマキに向かいなにかを話す。


「グルグルマキのグルグルマキさん。」


「おやじギャグだー寒い寒い。」


「2人共、能天気だ。」


フローラは呆れかえっていた。


だがこの3人がとんでもない人物だと気が付くのに時間はかからなかった。


3人は捕らわれているが魔力を行使すれば簡単に脱出できるのだが、そうはしない、なぜなら主であるマキが何もせず捕らわれているのだから、当然配下の2人もそうするしかないのだ。なので、だれもこの3人が魔界を代表する恐ろしい魔族だと気がつかない。


だが、たまたま寒冷都市に訪れていたフローラと同じく副司令官のレイが騒ぎを聞きつけやってくる。レイは魔王城にいる副司令官の一人で、フローラとは仲がよく、時折様子を見に訪れる。


「何事だフローラ?」


「ああ、レイか、この3人が都市の外から歩いてやってきたのだ、どうみても怪しいので捕まえたのだが。」


「なんだと、外からだと!どんな奴らだ。」


「二人の男は魔族だと思われるのだが、一人は小さな女の子で、髪の色からして魔族ではなさそうだ。」



副司令官のレイは、鎖でグルグル巻きにされた三人の顔を見た瞬間、氷点下150度以下の寒さを覚えた。

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