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リビルド・スターシップ! ~SFゲームの世界に転生したゲーマー男は、初期化されてしまった愛機の理想の姿を取り戻したい~  作者: 矢代大介


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第16話 次なる依頼へ


「ふーむ……」


 ティルナと別れた後、俺は残りの買い物を済ませ、リベルタへと帰還。

 ようやくひとごこちついた気分になった後、リビングルームで買ったばかりの携帯端末とにらめっこをしていた。


 ホログラムの画面に表示されているのは、ティルナから譲ってもらった「おいしい依頼」のリスト。

 その中で俺の目に留まったのは、「護衛依頼」と「採掘依頼」のふたつだった。


 護衛依頼は、読んで字のごとく依頼対象を指定の地点まで護衛する、もしくはこのルーメンプライムコロニーへやってくる人を守る依頼だ。

 試験依頼で運悪く宙族に出くわしたように、ここ最近のルーメン星系は他星系から流れ込んできた宙族による被害が増えているらしい。そのため、必然的にこういった依頼も多く張り出され始めているようだ。

 人命を守る仕事ゆえか、依頼ひとつあたりの稼ぎもそこそこにおいしい。襲撃を切り抜けられる腕前さえあれば、効率よく稼ぐことができるだろう。


 もう一方の採掘依頼も、これまたその名の通り、資源を採掘してそれを納品するという依頼だ。

 ルーメン星系は工業星系ということもあり、鉱石資源はいくらあっても困らない。そのため、採掘業には常に一定以上の需要があるそうだ。

 こちらの稼ぎは至極平均的な金額だが、採掘用の艤装はレンタルできるし、数さえこなせば実入りにはそこそこ期待できる。どちらも魅力的で、だからこそ悩ましい選択だった。


「報酬の額か、安定か……うーん……」


 顎に手を当て、思案すること、しばし。

 意を決した俺は、携帯端末にインストールされた傭兵ギルド公認アプリから、依頼の受注を選択。

 

 選んだのは――「採掘依頼」のほうだった。


 先の戦闘を切り抜けられたように、そこらの木っ端宙族程度なら問題なく対処できる。だが、それはあくまで木っ端相手の話であり、より巧い相手や大きな船を相手取る可能性があるなら話は別だ。

 今のリベルタは初期化された「最弱」の状態であり、スペックで言うなら〈スタユニ〉で最初に配られるオンボロ宇宙船の〈ベイグラント〉とそう変わらない。そんな状態で危険度の高い依頼へ飛び込むのは、どう頑張っても自殺行為でしかないのだ。


 その点、採掘依頼であれば報酬額こそ落ちるものの、戦闘が苦手な船でも安定して仕事をこなすことができる。

 ゲームでは喜び勇んで突撃して撃沈するのも華だが、今俺が置かれているこの状況は現実だ。ならば、下手を打ってリベルタを失うようなリスクは避けたい……というのが、俺の正直な本音だった。

 

 「早いところ、いい装備を見繕ってやらないとなぁ」


 貧弱な艤装がもたらす、選択肢の幅の狭さ。ままならない状況に苦い笑いを漏れるが、ともかく今は受けた依頼の準備だ。

 掌でぱんと両頬を打った俺は、気持ちを切り替えて、依頼へ臨む準備を進め始めた。



 

 ***



 《管制局より、17番ハンガーの出航申請を確認した。ランディングパッドを開放する》


 翌日。

 

 昨夜のうちに補給と艤装の手続きを済ませ、たっぷりと睡眠をとった俺は、心身ともに万全の状態でリベルタの操縦席に座し、宇宙空間へリベルタを飛翔させていた。


「全システム異常なし。レンタル装備も……うん、ちゃんと動くな」


 操縦席のコンソールを指で叩いて操作すると、空白まみれの追加スロットのうち一つに取り付けられた艤装が展開。採掘用レーザーと鉱石用のバキューム装置を兼ねた砲身が、鈍い音とともにスタンバイ状態へ移行する。

 外から見れば錆と煤で年季の入った代物だったが、動作は実にスムーズだ。レンタル落ち品と言えど、整備はしっかりと行き届いているのが見て取れた。

 

 「採掘ポイントはいくつかあるらしいけど……とりあえず、まずは一番近場かな」


 受注ついでにギルドから買い付けた星系内の鉱石分布図を確認する限り、稼ぎのよさそうなポイントはそこそこの範囲に点在している。その中でも分布が集中しているところを絞り込むと、最終的な候補地はルーメン星系第二惑星の均衡宙域という計算結果が出た。

 俺が逗留しているルーメンプライムコロニーは、ルーメン星系の第二惑星と第三惑星のちょうど中間点にある。人の手が入っているであろうぶん稼ぎは落ちるが、最も近いという手軽さを鑑みれば、第二惑星近傍というのは試掘作業にうってつけのスポットだと言えるだろう。


「ビーコンへのマーカーセット、よし。――恒星間跳躍航行(フィックスジャンプ)、起動!」


 ホログラム製のヘッドアップディスプレイに表示されたビーコンへ座標を合わせてから、俺はリベルタの恒星間跳躍航行装置を起動。

 光を超えて星を渡るための極彩色の空間へ、リベルタを突入させた。



 *



 5分ほどの跳躍航行を終え、通常空間へ回帰した俺とリベルタの前には、見渡す限りの小惑星(アステロイド)だった。


「さすがの物量だな……ぶつけないよう注意しないと」


 ゲーム内では、障害物と船がぶつかった場合でも、速度次第ではHPゲージが削れるだけで済んでいた。

 だが、これが現実となるとそう都合のいい現象は起こらない。装甲板に傷がつくならいいほうで、最悪の場合、へこんだ装甲が歪みで剥離したり、突き出した船の部品がぼっきりと折れてしまう可能性さえあるのだ。

 余計な修理代で、目標から不要に遠ざかる必要はない。なので、今回の俺に課せられた任務は、息を整えて慎重に操縦することだった。



 ――とはいえ、昨日の戦闘機動に比べれば、慎重にゆっくりと操縦するくらいならわけもない。

 回避目標は動かないアステロイドなので、危険な航路さえ取らなければ、移動そのものは実にスムーズだった。


「お、こいつはよさそうだ」


 レンタル艤装に備わった鉱石スキャナーを頼りに、採掘装備でアステロイドを砕いては、バキュームで採取して専用のコンテナへ詰め込んでいく。

 本来は成分に合わせて仕分けなければいけないのだが、今しがた採掘した鉱石類はどれもまだただの石くれだ。鉱石の選別や精錬には専用のステーションへ寄港する必要があるため、現状俺がやることと言えば、ひたすらにアステロイドをレーザーで掘削することだけだった。


「よし……とりあえず、試し掘りはこんなもんでいいだろう」


 採集用のコンテナは、とりあえず最小サイズのものが2つほど満タンになった。

 実際のところ、採掘で稼ぐつもりならこんなものじゃ到底足りない。だが、採掘から精錬、納品までの流れを掴むためなら、この程度あれば必要充分と言えるだろう。


「えーっと、工業ステーションの座標は……」


 ひとまず船を寄港させるため、コンソールを叩いて星系マップを呼び出す。

 

 

 ――その時。突如としてコックピット内にけたたましいアラートが鳴り響いた。

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