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その3 押し掛け嫁、二人

「これでサナエの第一夫人の地位が固まりました。私達とも触れ合いをお願いいたします。」ある日、クレアが決然と申し入れてきた。

なんでも、サナエが二人を呼んで、第一夫人の立場から二人を了承したらしい。


俺は改めてサナエと話し、三人の嫁を平等に扱うよう、ガッチリとくぎを刺されたのだった。今度は身内だけの小規模なお披露目会を開いて、俺はこの二人の押し掛け嫁を娶った。


お腹の子が安定期に入るまでは、夜の営みは控えるべきだという事になり、俺はサナエとの同衾をやめて、代わりに週に一~二度、クレアとカレンを俺の寝室に呼んで夜を過ごすことになった。


 ◇ ◇ ◇


恥じらいながらも女になっていくクレアは、とても愛おしく、俺を奮い立たせた。俺の征服欲は大いに満たされたが、もちろん乱暴に愛したわけではない。俺は女には優しい男だぜ。


対してカレンとは、お互いを激しく求め合う営みになった。

金色の毛皮をまとったコリコリとした筋肉質の体は、抱き心地が素晴らしかった。

聞けば、サナエもクレアも、この触り心地にハマっているらしい。お前たち、女同士で何をやっているの。

情に厚い獣人族は、夜の営みもとても情熱的だった。言わずもがな、この時ばかりは頭の中にあるタローの子機はOFFにした。流石にね。


そんな日々を過ごすうちに、クレアもカレンも妊娠した。

年が明けて、サナエが男の子を出産して二か月後には、カレンが男と女の双子を産んだ。共に獣人族の特徴を引き継いだ、母親譲りの虎柄の赤ん坊だった。

次いでクレアも男の子を産んでくれた。これも母譲りの可愛い角を生やしていた。


突然のベビーラッシュに治療院は騒然となり、ウメ婆さんも大忙しだったが、近所に住む村の女達が我が事のように喜んで、大勢で世話を焼いてくれたのは有難かった。


 ◇ ◇ ◇


赤ん坊と言えば、ウォーゼルとビボウの夫婦にも今年も三個の卵が産まれ、その後 無事に孵化した。これで彼らの子どもは毎年三匹ずつで、全部で九匹となったわけだ。


治療院の納屋に格納している搭載艇は、常に反応炉のプラズマ温度を僅かに下げるだけで膨大な魔素を放出し続けている。

治療のために魔法を使う俺やクレア、少々の生活魔法や魔法剣を使うカレンのためだけではない、魔素が無いと生きてはいけない飛竜にとっては、実に望ましい住環境が維持されているのだ。


成長が早い飛竜の子供は、二歳になったら治療院に併設された学校に通い出し、人族の子どもに交じって勉強している。俺は、本来は滅亡するはずだった飛竜と俺たち人族が共存する未来を、とても楽しみにしているのだ。


◇ ◇ ◇


三人の嫁がそれぞれ子供を産むと、俺の夜は落ち着きを取り戻した。


たまには誰かと過ごす夜もあったが、三人の嫁は初めての子育てに追われていた。

泣けばあやし、乳をやり、おしめを変え、洗濯に追われ、添い寝をする。それでも仲良しの三人の嫁達は、互いに協力し、互いの子らの面倒を見て支え合った。

サナエとクレアは、物足りない様子のカレンの双子に乳を分け与えるのも常だった。


この忙しい子育て時期を共に過ごすことで、三人の嫁はすっかり打ち解けて、生涯の親友となった。まあ、俺としては嫁同士の仲が良いのは嬉しい。しかし、結託して責められるのは勘弁してほしい。


 ◇ ◇ ◇


最後に生まれたクレアの子の頭が座った頃、俺はいよいよ魔族の里を訪ねる決心をした。

素晴らしい嫁を貰った婿殿としては、先方の親御殿に挨拶をせねばなるまい。

そこで、魔族の集落に送り込んで以来ずっとステルス状態で情報収集させていた探査ボットを活用することにしたのだった。


魔族の里に置いたままだった探査ボットを、タローに命じて、その昔、二人が帰って行った城門の前まで移動させると、ボットのステルスモードを解いた。

たちまちワラワラと、門番の獣人たちがボットを取り囲む。うん、職務に忠実な皆様。大変結構ですな。


「何奴?」と槍で小突かれたりしたが、この程度では傷もつかない。

「この城の姫様を(めと)りし人族の賢者が、我を(つか)わせて挨拶に参上したものである。クレア姫様のご両親、魔王様と王妃様にご挨拶を差し上げたい。」進行を任せていたタローが、いかにもそれらしく大声を響かせた。


クレアの名前を出されて、門番の一人が場内に駆け込んで行った。しばらくして、位の高そうな魔族がボットの前に現れた。ボットのカメラでこれを見ていたのは、俺とクレアとカレン。サナエは少し離れた場所にいて、成り行きを見守っている。膝に抱いた子をあやしながらニコニコと画像を見ていたクレアが、その魔族を見て、

「ここは私にお任せください。」と言った。


ボットの表面に、クレアの顔が映し出される。

「ゾフィー宰相。ご無沙汰していましたね。」ボット表面に現れたクレアが、微笑む。ゾフィーと呼ばれた魔族は、すぐさまボットの前に跪いて、「これはクレア姫、お帰りなさいませ。」と応じた。


「父上、母上はおいでですか?」

「はっ、ご案内させていただきます。」ゾフィーが先導する形になり、ボットはふよふよと浮かびながら城の奥に通されていった。

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