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第八章 感謝と気持ち

今回は思い付くまま執筆してみました。

ちょっと長めです。

つまらないと思いますがどうぞ…(>_<)

そんな事があり釣りを楽しむ場合では

無くなってしまう。

砂浜に横たわって亡くなっていた彼は

数人の人達が手を貸し遺体を運んでくれた。



沢山流れた血は残されたままだ。

沖田さんはくるりと元の居た場所へ

戻ってゆく。




『嫌な思いさせちゃったね…』

『え?』

『遺体なんて慣れてないでしょう?』

『…平気です。大丈夫ですよ』






沖田さんは”そう?”と謂いながら

あたしの手を握った。

磯の香りがするなか竿を置いたまま

あたし達は座り直す。



釣り糸は海の中に入ったまま。

あたしと沖田さんはその様子をじっと見つめる。



時々何かが見え隠れしている。

小さい魚だろうか?



『沖田さん…』

『うん?』

『沖田さんは強いですよね…』

『どうしたの?』




視線を釣り糸から沖田さんへもってゆく。

鼻の頭がじんわり熱い。




『なぁに泣きそうな顔して?僕が負ける訳ないでしょう?彼女は彼を亡くしてしまったけれど…この時代じゃそれが…

当たり前なんだよ。弱肉強食と同じ…けど…僕も嫌だなぁ…もし、仮に君がやられたら…やった奴等を刻んちゃうかも』


『あたしだったら…後追いしていそうです』


『僕は嫌だよ。そんな事してまで一緒なんて…僕は嫌だ。そうもならないためにも栄養と力をつけて君を護る』


『…あ、あの…』






沖田さん…。

あたしは立ち上がりながら彼に

言葉をかける。

すると、判っていたかのように彼は謂ってくれた。




『此処で待ってるから、チエさんの所へ行ってあげなよ』


『はい…行って来ます…』






智香はそういうと沖田を背に

走り出して行った。

彼は海の水平線を見ながら餌を掴まえる(かもめ)が視界に入った。





『弱き者は強き者によって命を落とす…

過去に誰か謂ってたなぁ』





沖田は思い出すような目を空へなげた。

何故弱い者は強い者に従う事が当たり前に

なりつつあるのか…。

強い者は弱い者を護るのはもう古い考えなのか…。




『近藤さんは女や子供…年寄りには優しいけど…んー?やっぱり突っ込む智香ちゃんが居ないと落ち着かないなぁ』






その頃智香はチエが居るだろう場所へ

走って行った。海から離れると人溜まりが見えてくる。





『あそこかな…はぁはぁ…』





人溜まりの中にチエさんの姿が見えた。

あたしは頑張って走り、彼女の元を目指す。海が近くにあるため潮の香りがする。


人溜まりは家々が建ち並んでいる奥にある。長屋だろう。

左右に民家がある。

少し開けた通りまで追いついた。



身なりの綺麗な女の人が居たので

声をかけてみる。





『すみません…チエさんという方居()られますか?』

『チエさん?彼女のお友達?』


『いえ…先程海辺で知り合ったばかりです…心配で…来てみたんです』


『前に居るわ。青い顔して…可哀相に…彼女結納を交わしたばかりだったのに…』


『チエさん…有り難う御座います』




あたしは野次馬を掻き分けチエさんへ

辿り着いた。先程謂っていた通り、彼女は青い顔をして居る。





『智香さん…』

『心配で来ちゃいました』

『ごめんなさい…せっかくの…』

『いいんです。あたし達は…』

『私…私彼がもう…居ないって思うと…』






チエさんはあたしへ抱きつき声を出しながら沢山泣いた。彼女の涙は彼に届いているだろう。



どれくらいの時間が経ったのか判らない。

けど、あたし達を囲むように居た人の群れは疎らになっていた。

そうだ…沖田さん…待っていてくれてるんだ…。





『智香ちゃん…』




顔をあげて声の方へ向けると

沖田さんが釣り具を持って着てくれていた。あたしの前に座ると目線を合わしてくれる。





『今日は此処に宿をとろうか…』

『あ…』






チエさんがあたし達の会話に気づくと

あたしの胸から顔を出した。





『ご迷惑おかけして…申し訳有りません…あの…家で良ければお泊まりになられて下さい…』


『でも…』


『一応、宿屋なので…こんな事態でバタバタしてしまうかも知れませんが…』






沖田さんの言葉を遮るとチエさんは

そう申し出てくれた。

宿代は要らないとも…確かに彼が殺されての中宿代を請求もしずらいだろう…。


その晩、あたしと沖田さんはチエさんの居る宿へ泊まる事になった。

彼女が心配だったこともあり、同じ屋根の下に居ることには安心出来る。


けれど…彼女の気持ちや心が心配だ…。

うまく謂えないけれど…。






『何か気が引けるね…本当に良いのかな…』






沖田さんは窓へ腰を下ろし先程人溜まりが

あった場所を見ながら謂う。

彼には残像が見えているかのようだ。

チエさんがお付き合いをしていた彼の名は

鈴木慎之助さん。


出逢ってからの話しを訊かせてくれた。

辛いのに一生懸命話してくれる彼女に

涙しながら訊いた。





本来食事の時間だけど

チエさん達家族と慎之助さんの家族が

この宿を借り、通夜をやっている。

余所者のあたし達は大人しく部屋に居ることにしたのだ。



手伝いは勿論、丸い棺桶も運んだ。

翌日の葬儀はささやかに行われた。

天気は昨日と変わらず晴れている…

葬儀が終わるとチエさんと慎之助さんの家族があたし達が使う部屋へと来てくれた。





『慎之助の父、(よう)と謂います。この度は大変有り難う御座いました』


『母の喜代美です…有り難う御座います…』


『沖田です。こちらは智香ちゃん。とんでもないです。御両親も想定外だったと思いますし、僕達の事はお気になさらないで下さい』


『そう謂って頂けると助かります。御自宅は?』


『此処からそう遠くないです。暫くの間江戸に居ます』






沖田さんと(よう)さんが話しをしていると喜代美さんが目を腫らしながら

あたしに白い包みを渡してきた。


重さからしてお金だ…それにこの包みの形…。





『いけませんっ!受け取れません…!』


『いいのよ。主人と話し合って決めた事だから。それに通夜と葬儀の準備や片付けを手伝ってくれたでしょう?』




沖田さんも何を話しているか気づき

話しに入ってきた。




『これは受け取れません。僕達はこの為に手伝いをしたのでは…』


『受け取ってくれ。知り合ったばかりだが…受け取ってくれ』


『『けど!』』


『お願い。そうでないと私達の気が…御願いです』


『頼むっ!あいつの遺体を見て思ったんだ。本来、人斬りは死んだ奴の体も戦いながら刻むと訊いた事がある。しかし…相手をした君は慎之助の遺体を配慮し、傷つけぬ様懲らしめてくれた…綺麗なまま葬儀が出来たのは貴男のお陰なんだ…』


『チエさんから様子をお訊きしました…

沖田さんが慎之助を庇い、敵を少しずつ遠ざけてくれていた事…』




喜代美さんはお金を両手に乗せながら

頭を下げてまた差し出してくる。

彼女の隣で(よう)さんも頭を下げる。


ーーー帰り道。沖田さんの背中を見ながら

歩く。






『…ふぅ…結局、受け取っちゃったね』


『仕様がないですよ。あそこまで頭を下げられたら…でも、チエさん後追いしないって謂ってくれてホッとしました』


『そうだね』




海がどんどん遠くなってゆく。

香りも徐々に薄れる中沖田さんは

周りを警戒しながら歩く。


まだ新選組に居た時の名残だろう。

いや、もう癖と謂って良いかもしれない。

町中に入ると人が沢山居る。


仕事中の人や買い物へ出る人。

子供と歩くお母さん。

広い路地だけどこうもなると狭く感じてしまう。豆腐売りだろうか?肩に長い棒を乗せ槽を吊し小走りしていたり、野菜を売っている主人が子連れのお母さんやお婆さんに声をかけている。



『ちょっとあんた!』





後ろで沖田さんの声がした。

振り向くと小柄の男の人の手首を掴んでいた。





『な、なんだお前っ!離せっ!』

『そんな事出来るわけないでしょう?』




沖田さんをもう一度見ると

お婆さんの肩に手を置いて”先へ進まない”様止めていた。





『あんた、このお婆さんから盗った物あるよね?』





この様子に気付いた人達が注目している。

あたしはお婆さんに近寄り、何が無いか訊いた。

するとお婆さんは財布が盗られた事に初めて気付いた。






『スリは犯罪だよ?判ってるよね?』

『っく!』

『誰か縄を持っていませんか?』





沖田さんが謂うと一番近くに居た野菜売りの主人が丁度いい縄を、持ってきてくれた。それを受け取ると慣れた手付きで

スリを働いた男の手首を縛る。





『有り難う御座います。あ、お婆さん一緒に奉行所まで来てもらっても良いですか?』


『は、はい』


『それじゃ智香ちゃん、お婆さんと着いてきて?』


『はい!』






その場を離れる時、野菜売りの主人が

”見慣れない奉行所の人だなぁ〜良い手付きしった…”と感心していた。




新選組の人達も凄い。

だってスリを見つけちゃうんだもん。

お婆さんも感心してる。あんな一瞬なのにスラれたのに気づく事と犯人を捕まえる沖田さんを誉めていた。

奉行所へつくと沖田さんは仕事をしているかのように説明を始めた。

あたしは大人しく門の外で待つことになった。中でどんな事になっているのかは

判らないけど、青い空を見ながら

ぼんやりと待つ。





風が気持ちいい。

タエさんは今頃熱心に仕事をしているんだろうなぁ。あれ?そういえは…文が届く頃だよね?


今度はどんな内容が書いてあるのかな?

あたしには解読不可能だから

沖田さんに読んで貰うけど…。

繋ぎ字って本当に難しいよ…。


土方さんからのは読めるけど


近藤さんのは全く読めません。

だって字が本当に繋がってるから…。

沖田さんの病状は日に日に良くなってるし

前と比べて体力もついてきてる…らしい。


咳が減ってきてるのは判る。

月に一度の病状知らせ。




『チエさん…早く元気を取り戻すといいなぁ…』





気がつくと沖田さんと被害に遭ったお婆さんが出てきていた。






長文?すみません(T^T)

次回は土方と樋口からの文を

交えようかと思っています。


読んで頂き有り難う御座いましたm(_ _)m

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