第五章 お願い
五章は順三郎の治療の為の話と
なります。
氷川夫妻の保護…土方からの返事は…?
智香は後になり
沖田が斬られた時の事を思い出し
少しばかり後悔してしまいます。
しかし、順三郎の身体が冷え切っていた事を
思うと…。
土方さんへ奥さんの紹介もした。
そして…
土方さんはあたし達の前で
腕を組み考えている様子。
沖田さんも土方さんの一言を
待っている。
『やはり駄目だ』
『どうして?!』
沖田さんが目を丸くしながら
土方さんへ言葉を返す。
その言葉に土方さんも続ける。
『保護するのは今日だけだ。後はまた
俺が奉行所へ行って頼んでくる。それで良いだろう?二人に”何か”遭ったら
どう責任を取るつもりだ?総司?』
『……』
『例え智香が作ったソレを付けていても
”もしも”があったら…』
『判りました。無理謂ってすみませんでした』
『沖田君、一日だけでもお許しが出たんだ。私たちはそれだけでも有り難いよ』
『…そう謂って頂けると…此方こそ』
『ところで医者は?』
『昼餉の後に来てくれます。少し前に
あたしが頼んで来ました』
『判った。それと…総司』
『はい?』
『こいつらを智香にこしらえて貰え』
『…ん?』
土方さんが膨らんだ風呂敷をあたしと沖田さんの前に置いた。
解いてみるとそこには野菜があった。
毎日料理に使っている物だった。
『出た…』
『昨日智香が無くなるとボヤいていたからな。奉行所でくれたんだ』
『にんにく、人参、白菜、ねぎ類…有り難う御座います!土方さんっ!』
『魚はお前が釣りに行くときに捕って来い』
土方さんは笑顔で沖田さんに謂う。
『で、何故この野菜なんだ?』
『僕も知りたいですね』
『例の病気に良いとされる野菜です』
あたしは応えた。チヨさんはあたしを見て
一言。
『まぁ…立派な医者になるわよ…貴女』
『は、恥ずかしいです…ほめ言葉なんて…』
『…だから毎回同じ食材を使った食べ物が出てくるんだ…』
『特殊な薬とか…謂われたって謂ってたな?これらの事何じゃないか?』
『…そうか…』
隣りに座る沖田さんがあたしを見る。
土方さんと氷川夫婦もあたしを見ている。
『えっとぉ…じろじろ見られると…』
『やっぱりお前に総司を任せて良かった。此からも宜しく頼む!』
土方さんは頭を深く下げた。
『あ、頭っ!頭上げて下さいっ!おっおっお願いですからっ…』
『ぷふっ!』
『沖田さんっ!』
『慣れなよ?一々そんな反応してたら
疲れちゃうよ?ククク…』
肩が震えてる。
何で沖田さんはあたしの反応で
笑うのかな…それこそ疲れちゃいますよ?
土方さんが元の姿勢へ直す。
そして土方さんは晴れた外へ目を送ると
雀が二羽飛んできた。
穏やかな時間が続くと
往診で来てくれた。
怪我人は?と訊かれたので奥の部屋へと
案内する。先生が傷口を診ると塞がるまで
時間はかかるだろうと謂っていた。
ただ、斬られただけで済んだ。なんて言葉では片付けられない。
前回の沖田さんの様に毒の着いた刀で
斬られることだってある。
順三郎さんの場合は毒が仕込まれているかいないかが判ったと謂う。
ただ、それを今思うとゾッとする。
もし毒が仕込まれていたら彼もあの時の
沖田さんの様に熱で魘されていたのか…
いち早く医者まで連れて行けば良かったのでは…。
後々になって後悔していた。
だって命にかかわっていたら?
体温が奪われていた順三郎さん。今は赤みが差している。
『彼の処置は誰が?』
『あ、それなら…智香ちゃん来て?』
沖田さんに呼ばれたので
彼等が居る部屋へ戻った。
『この子です』
『えと…?』
『処置が完璧だったんでね、君は医学の知識があるのかな?』
『あ…ずっと前に本で…』
嘘ではない。
よく図書館へ行っては色んな本を
詠み漁っていたから。医学だったり看護師へなるための本だったり。
歴史だったり。医学関係の本は写真が記載されてたなぁ。
モノクロだったから最後までみたけど
あれがカラーだったら…。
『それじゃ資格はないのか…』
『え?』
『ウチにどうかなって。あ…そうか…君が彼の食事を管理してるのか…。
彼にどんな食事を?』
『あ、えと…ナズナのお汁とか…白菜もたまに入れます。普段棄ててしまう部分も
使って…お新香とかに…』
『後は?』
『後は葱とお魚を合わせ味噌に漬けて焼いたり…にんにく料理とか…』
『成る程、それをずっと続けて下さい』
『え?同じメニューを?!』
『馬鹿か総司…』
『うーん。氷川さんは時々傷の様子を診せに来て下さい。なぁに消毒だけですから』
『良かったわぁ…』
『お前も無理するな…いてて…』
『そうですねぇ』
やっぱり二人を見ていると
羨ましくなる。だって…幸せそうだから
チヨさんは死期が近いみたいだけど
不安そうに全然見えない。
まして今を楽しんでるみたいに…
順三郎さんも妻の身体を気遣いながら
会話を楽しんでる様子だ。
『では、私らはこれで』
『有り難う御座いました』
『『失礼します』』
あたしと土方さんで先生達を
見送った。
柔らかい風が吹くと桃の花が一枚
風に乗って飛んできた。
そうだ!タエさんが居る茶屋に桃の花が
咲いていたんだっ!
そう遠くもないし、順三郎さんとチヨさんを連れてちょっとした花見気分を味わって貰おうっ!
『花弁か…お前、今茶屋へあの二人を連れて行こうとか考えてなかったか?』
『…………』
『やっぱり。明日、全員で行くか?』
あたしは土方さんの言葉に
笑顔をつくってみせた。
『はいっ!行きましょうっ!』
『『『ん??』』』
部屋に居る三人に智香の声だけが届いた。
沖田、順三郎、チヨは顔を傾げた。
如何でしたでしょうか?
駄文、申し訳有りません…。
次回、六章は『桃の花』です。
でゎごめん下さいm(_ _)m




