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第四十四章 雪の花

アクセス有難う御座います。

今回はそれぞれのシーンを

物語にしてみました。


楽しんで頂けたら幸いです。

そろそろ

冬になるだろう。

雲は厚みがあるように見える。

雪でもふるような、そう思わせる雲。



冷たい風が土方の頬を撫でる。

彼は部屋の障子を閉めるが隙間を開けて

七輪へ火をつける。




『時期に冬か…』



この頃の季節というものは

何処か淋しげに感じる。

静まり返った新しい屯所。


智香も沖田も外出中だ。

平助と原田、永倉は任務で見回りにへ

行っている。


近藤と山南は奉行所へ

斉藤は道場で隊士等の練習で

時々手合わせをしている。





『たまには静かな屯所も良いもんだ。

捗っている今のうちこれを

やっつけちまうか…』




どれ位がたったのだろう?

竹刀がぶつかり合う音も止んでいる。




『いやぁ、今日は一段と冷えるなぁ?

山南君も大丈夫かい?』


『近藤さんよりは大丈夫

なつもりですよ?ふふ』


『それは良い事だ!しかし…

鼻が出て敵わんな』


『今年も雪が降りますね、と…

謂ってる側から…』





山南は受け止める手をつくると

雪が彼の掌へ落ちた

そして、すぐ溶ける




『雪か…』


『さぁ、急いで帰りましょう

土方君…退屈しているかも知れませんし』


『そうさの!

早く帰って温かい茶でも飲もう!』






『あー!』



大きい声を出している人物は

藤堂平助。

桝屋の主人と何やら騒いでいた。



『平助、お前がでかい声出すから

逃げちまったじゃねぇか!』


『わりぃわりぃ…へへへ』


『しかし前桝屋の主人ゎ

一体何をしてたんだか…野良猫の世話か?』





そう訊いているのは

桝屋の新しい主人平善吉。



『あー仕事はちゃんとしていたぜ?

まぁ、適当だったのは認めるけど…』


『大人しくしてろよー?

適当はいくら何でもいかんだろう…

おーよしよし、良い仔だ』


ミィー



『可愛い奴だなぁ?善吉さん

飼うの?』


『そうだなぁ?どうせ独り身だし

こいつと一緒に暮らすのも悪かねぇや…

お、雪じゃねぇか…』





仔猫を抱く善吉と

その隣に立つ平助も雪が降っていることに

気付いた。



『どうりで寒い訳だ。さて、仕事に戻るな!

まだ回る所があるから』


『悪かったなぁ、付き合わせちまって』


『良いって、気にするなよ!

んじゃ、皆の所へ行くわ!じゃあ、

また何かあったら声かけてくれ』


『おう、気をつけてなぁ!』





平助は走り出しながら

右手を善吉へ振った。





『藤堂平助ねぇ…

騒がしい男だよ。なぁ?』


ミィー…





平助の組の隊士は

喧嘩している酔っぱらいを

静止していた。




『旦那落ち着いて!』


『これが落ち着いていられるか!』


『まぁまぁ…』



『おーい!どうしたぁ?』

『組長!やっとお戻りで!

えーと実は勘定が間違えてるとか

何とかで…』



『あーまたか。ここの親父

姑息な手を使うからなぁ…親父!

今日もまたあの手使ったんだろ?

今何時いまなんどきだって!


いい加減にしろよ!

次やったら連れてくって約束だったよな?!』




『待ってくれよぉ藤堂!

こっちだって生活かかってんだ!』


『生活のためなら犯罪犯しても

いいってーのか?!今日という今日は

勘弁もクソもねぇ!連れてくからな!』




『けっ!酔っぱらいを馬鹿にするから

天罰が下るんだ!ざまぁねぇや!』



『くすねた分渡してもらおうか!』



『畜生‥』





そして飲み処の主人は

平助の手によって連行されて行った。

店はしばらく休みます。という紙が

張り出された。




一方原田と永倉はというと

これといって大きな事件もなく

平和な巡察となっていた。



あえて言えば

永倉の草履が川に落ちてしまい

それを追いかけていた事位だった。





『冷てえなぁ…雪まで降りやがるし』


『お前の不注意だろうが?

土手で犬なんか構ってるから

そうなるんだ』


『可愛いぜ?犬猫?』


『そうさな。さて、平助の方は

どうなったかね?囲碁なんか打ってたら

処刑してやるか?はは!』



『あいつ碁なんか打てるのか?』


『…さぁ?』


『何だお前は?遊んでたりしてな?』






二人は笑いながら

平助の班を探す。



『新八…』


『あ?』


『前に智香ちゃんが居なくなった事

あったじゃねぇか?』


『ああー。お前と総司が一緒に

消えた所を見たっていう?』


『そうだ。俺正直焦ったんだよ

ほら、あの娘結構馴染んできてたからよ』


『よく気が利くし、良い娘だしな』


『総司の気持ちもよくわかるっつーか』


『まさかお前も惚れてんのか?』


『ちげぇよ、一員として認めつつあった

ってだけだ。んでよ…あの娘が

本当に未来ってとこに戻って

帰ってこないってなったら寂しくねぇか?』


『んー確かに…つーか

正直考えられねぇなぁ…居て当たり前に

なっちまってるし』


『だろう?』


『お!なんかいい匂いしないか?原田?』


『そろそろ夕餉だな』


『このまま入りたいが

入る訳にもいかないしなぁ…なぁ?』


『ん?』


『平助放っといて戻らねぇか?』


『永倉…お前はなぁ…

戻りたいなら先に戻ってていいぜ?

あいつの事だからまだ残ってるかも

知れないからよ?

それに、報告は早い方が良いだろう?』


『だな、そんじゃ先に戻るな!

土方さんに渡すこれもあるし』


『そうだったな』


『俺もそろそろ磨いて貰わねぇとなぁ』


『俺もだ…んじゃ、頼んだぜ

新八!』


『あいよっ!』





そう言葉を交わすと

二組は別れた。



暫く歩くと

原田は平助の班を見つけた。





『おーい!平助ぇ!』


『あ!原田さん!』


『よぅ、終わったか?』


『うん!』


『そいつは?酒処の親父じゃねぇか』


『またやらかしてくれたんで

お縄にして来たんだよ!ったく!

約束破りやがって!』


『面目ねぇ…』


『大目に見てやってたのによ!

心の広い俺も今日は無理!』


『なる程な。それで屯所に戻る所

だったか?』


『そーゆーこと!』





平助はさっ帰ろうぜ!と謂うと

隊を引き連れ屯所へと帰った。





『寒いですねぇ…雪ですよ雪!

沖田さん!』


『見れば判るよ。しかし今回の

荷物多くない?』


『仕方ないですよ。

土方さんから頼まれた物と

近藤さんと山南さんからのも

あるんですから』



『そうだけど…近藤さんからの

大きすぎない?』





隣を歩く智香を見る。



(荷物が歩ってるように見えるのは

僕だけなのかなぁ?)




『背負ってるんで大丈夫ですよ!

軽いですし!』


『そ、そう…?』





『かかぁ!お花が降ってるよー!』

『お花じゃなくて雪』

『ゆき?ゆきはな!』

『子供の発想にしてはいいわなぁ』




『可愛いね』


『綺麗な言葉じゃないですか

雪の花。その花は積もりに積もって

遊べるお花になるのです!』


『そうだね、あ!はじめ君だ』


『遅いので迎えに来たぞ』


『斉藤さん、有難う御座います』


『ああ。しかし総司、彼女は何故

こうしているんだ?

これでは後ろから見たら

荷物が歩ってるようにしか見えないのでは?』


『え?』


『あっははは!

謂っちゃったねはじめ君、ククク…

僕も思ってたけど口に出さなかったのに…』




斉藤はしまったという顔で

智香を見る。



『…なんだ、その、此処からは

俺が持とう』


『あっははは!』


『むぅ!うりゃぁぁっ!』



ばちんっ!



『いっ?!!何するの

智香ちゃん!痛いじゃないか!』


『笑い過ぎなんですよ沖田さんは!

そう思ってるなら最初に謂って下さいよ!

恥かきじゃないですか!』



智香は荷物を斉藤へ渡し

沖田の背中を思い切り叩いた。



『だって君何も言わないで下さいって

いったじゃないか!』


『それとこれとは別ですよ!あーもう

恥ずかしい…』



智香は顔を両手で隠し

首を横に振る。




『漫才が終わったなら帰るぞ?』




斉藤は申し訳なさそうに

二人へ謂う。

帰り道、智香はお墓に入れないなど

訳のわからない事をいっていた。




雪の花は少しずつ

地面を白く染めていた。



次回、最終章となります。

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