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第三十七章 宿

今日も沢山歩いた。

日がくれてきたので宿を探す事にした。

土方さんは出来るだけ早く見つけたい様だったし、あたしも野宿は勘弁だ。






『宿は何処かなぁ?』

『それで見つかったら楽だな』





何やら二人で探しながら会話をしてる。

あたしの事忘れてません?

忘れてますよね?

土方さん、沖田さん!


辺りを見回していると見落としたのか二人は気付いていない。

有りましたよ!宿!






『あのぉ…宿通り越してますが…』


『『え?』』





あたしが差す方を見る。

やっと気づいてくれました。

さぁ!中へ入りましょうか。







『でかした!』

『僕等見落としていたんだね』





中へ入ると宿の主が出てきてくれた。







『いらっしゃい。一泊かな?』


『はい。京へ戻る途中で立ち寄らせていただきました。部屋を二部屋頼めますか?』




『御座います。さぁ、此方です』





『良かったですね部屋があって』

『そうだね』




『何してるんだ二人共。先に行くぞ?』




『あ、はーい今行きまーす』

『早く湯に浸かりたいね』






あたし達は土方さんへ続いた。

部屋へ案内されると土方さんと沖田さんは隣の部屋へ通された。






『ふぁーッ!』





あたしは畳の上で大の字を作った。

一日歩くとやっぱり疲れる…明日も歩くけれどどんな一日なるかな…今日みたいに絡まれるのかな…。






『あー眠たくなってきた…お風呂…あーでも眠い…あー…』



『何独り言謂ってるんだ?』

『智香ちゃんもしかして眠いの?』


『はい…すっごい睡魔に…』



『根性で起きろ!明日も早いんだぞ?』






う…この一言で動かなかったら雷が落ちるんだろうな…よし!根性だ!





『お風呂行きます!』



『貴重品は此にて入れろいいな?』

『判りました』







そして其々お風呂へ入る。

あたしは女湯だ。






『はぁ…癒されるなぁ…』






けど、眠い…。

あたしは眠いのを我慢して何とか

髪の毛と身体を洗い終えお風呂を出た。



一人部屋へ戻ると少し遅れて沖田さんがやって来た。






『早いね?』

『沖田さん…』


『土方さん、仲居さんに掴まっちゃって暫く来ないだろうから少しいいかな?』


『どうぞ』

『有り難う。ねぇ智香ちゃん』


『はい?』

『ごめん…』





沖田さんはそう謂うと

あたしを抱き締めてきた。

お風呂上がりの香りがする…。




『沖田さん…』

『眠いところごめんね。けど、何だかこうしたくて…』


『え…?』

『だって君、いつか未来に戻っちゃうかも知れないでしょう?離れ離れになる前に沢山こうしていたいから…』


『あ…沖田さん…』

『智香ちゃん…君には沢山感謝しているんだよ?新選組の未来の事も、僕の病気の事も…』






話ながら少し身体を離す沖田さん。

代わりに彼の右手があたしの左頬へあてる…。



『有り難う…智香ちゃん…』

『沖田さん…』




徐々に彼の顔が近くなってきた…

あたしは自然と目を瞑った…。

沖田さんの柔らかい唇があたしの唇と重なった…。


あの時と少し違う口づけ…。

廊下の奥からは土方さんの嘆きが聞こえてくる。








『…土方さん…困ってますね?』

『本当。仕方ない助けに行こうかな?先に逃げてきたんだけど』


『逃げてきたんですか…』

『だって流石の僕もオバチャン相手は無理だよ…』



『オバチャン…土方さん!今行きますよ!』






あたしはバタバタと廊下を進んだ。






『ふふ…やっぱり智香ちゃんだ。ああじゃないと。さて、僕も参戦しますか…』






遅れて沖田さんもやってきた。

あたしは何度か土方さんのところまで辿り着こうと頑張ったけれど、土方さん御免なさい。沖田さんが謂うオバチャンのお尻で跳ね返されました。






『土方さぁん!』





あたしが跳び跳ねながら土方さんの生存を確認すると

其に応えるよう彼の右手がヒラヒラしてくれた。大丈夫。生きてる。




その時沖田さんが一人のオバチャンの肩へ手を乗せた。






『御婦人方、彼を自由にさせて頂けないでしょうか?明日朝早いもので』


『あら…そうなの?残念だわぁ…旅のお方?』


『ええ。江戸から京へ帰る途中なんです』







沖田さんがそう説明すると

土方さんは解放された。

生気を吸いとられたのか判らないけれど彼はげっそりしていた。




部屋へ戻るとあたし達は吸い込まれるように眠った。



時々目が覚めると

外は雨が降りだしてきた。

ピシャピシャと雨音が聞こえる…。

ん?


ピシャピシャ?





カラ…





身体を起こすと同時に沖田さんが障子を開けた。彼等も気付いたのだろう、あたしは二人が使う部屋へ来るよう謂われた。





ピシャ…

ピチャッ…






『刀は持っただろうな?総司?』

『勿論ですよ。しかしツイてないなぁ…長距離の後宿でこうなるなんて』


『んなもん、仕方ないだろう?』






足音は手前の部屋で止まった。

さっきまであたしが使っていた部屋だ。

何だか気持ち悪い…。





耳を済ませていると何か探すような音が聞こえてくる。





『クソ!』





悪態をついているだけど

小声のため何を謂っているのか判らない。







『狙いは智香みたいだな』

『そうですね』





『あたし?』


『強姦犯の可能性があるな…お前は此処で寝ろ良いな?』


『…は、はい…』


『…行ったみたいだね。布団はもう一組有るから気にすることないよ?けど…さっきの人の声なんか訊いたこと有るんだよなぁ~』



『……』

『本当ですか?』


『うん…少し前…だったかと…』

『はっ!総司!』

『はい?』

『この宿主だ…外部犯だと思わせるために足袋を濡らしてやって来やがったんだ』


『あ…そうだ宿主の…へぇ~ふざけた真似してくれるねぇ…』


『俺は部屋を見てくる。お前は智香と居ろ』

『はい』







そう謂うと土方さんは隣の部屋へ灯りを持ちながら行く。布が擦り合う音が小さく聞こえる。






『何か証拠をみつけたみたいだね』

『え?』


『しー』






沖田さんがあたしの唇へ人指し指を

近付ける。

土方さんが戻ってきた。

手には何か持たれている…何だろう?





『さて、寝直すとするか』


『そうですね。布団も敷いたし寝るよ』

『あ、はい…御休みなさい…』



『『おやすみ』』

読んで頂有り難う御座います。

なかなか浮かばずでしたが

やっと出来ました。


さて、夜が明けた後の話を纏めないと…。

では。m(__)m

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