第三十六章 帰路
お待たせしました。
今回のお話はちょっと智香をイジル感じに
しあげてみました。
翌朝
腫れぼったい目をした自分と
いつも通りの沖田さんと土方さんは
早い朝食をしていた。
お茶を淹れているとすぐ後ろで戸を叩かれる。
『はぁい…今開けます』
戸を開けると家主が包みを持ち
朝の挨拶をしてきた。
それにあたしも挨拶を返すと土方さんと沖田さんが後ろから顔を覗かせ外へで手来た。
『わざわざ朝早く…有り難う御座います』
と、土方さん。
『まだ寒いのに…有り難う御座います。この一年、助かりました』
と、沖田さん。
『いいっていいって。其より身体良くなって本当良かったよ。薬、必用な時はいつでも文を送りなよ』
と、家主さん。
『はい』
『総司』
『何です?今話してる最中なんですけど?』
『道中何があるか判らねぇんだ余りはしゃぐなよ?』
『カッカッ!歳三らしい誉め言葉だッ!しかし弄くりなさるなよ?』
『なぁに心配有りませんよ』
別れの挨拶と感謝の気持ちを伝え終わると、あたし達は江戸の町を後にした。
道のりは長い…。お水が無くなったら何処かの湧き水で補充しないと…。
まだ暗いなぁ…そう思っているとあの川原が見えてきた。
此処でよく沖田さんと斎藤さん、樋口さんも手合わせしたなぁ…。絡まれたりもあったっけ…。そういえばたまに釣りもしたよね。この時代の海はとても綺麗で青くて何度見ても飽きない。
一町を越すと空がいつの間にか青かった。土方さんと沖田さんは黙々と歩いている。何を考えているのかは判らないけれど、一番組隊隊長が戻れる事は間違いない。
本当にこの一年で治ったんだ…。
沖田さんの歴史を変えたんだ…。
『休憩するか…』
立ち止まった土方さんがあたし達へ謂うと“腹も減った”と付け加えた。
確かに太陽は真上?だ。
『んーっ!やっと休憩出来るね』
『なんであたしに振るんですか!』
『お前と謂ったら総司、総司と謂ったらお前だろうがよ?』
『土方さん…なんか意地悪ですよ…?』
『気にするな』
『ぶっ!あっはっはっはっはっ!』
『沖田さん!なんで笑うんですッ!』
『べつ…に…だっ…て…ぶっ!』
『良いです!先にお昼頂きます!』
『総司も笑ってねぇでとっとと食っちまえ』
『ククククク…ぶっ!』
『ふんっ!』
沖田さんは笑ながら御弁当の包みを解とく。土方さんはまだあたしへ意地悪な事を謂ってるし!なんです?あたしは何時から弄られキャラになったんです?!
あーもう!右と左で煩いなぁ!
歩いている時は体力消耗しないため歩いていたんですから休憩してる時無駄に
消耗してどうするんですかッ!
ふんッ!
不貞腐れていると旅人が一人見えた。
何処か元気の無い様子だ…。
恋人に何かキツい事を謂われたのかな?
綺麗な足がひょっこり視界に入った。
男の人かと思えば女性!
どうしたのかな…気にはなるけれど土方さんや沖田さんが微動だにしないのでそのまますれ違う。
『あの…声をかけなくても…』
『構わん。他人にも訊かれたくない事はあるだろう。こっちがどうこう謂って何とかなる事は無い…お前の世界とこっちじゃ違いが多々あるだろうよ?』
謂われてみればそうかも知れない…。
出来る事にも限りがある。声をかけて役に立つ確率は低い…。
『…一つ、個人的なんですけど良いですか?』
沖田さんが土方さんへ訊く。
一体何の話なのだろう?
『何だ?…?』
『…笑ったりしないで下さいよ?土方さん?』
『だから何だ?』
『京へ戻ったら…やりたい事があるんです…』
『式か?』
『あっはは…。気が早いなぁ土方さんは…。違いますよ。やりたい事は…任務です』
『何だ?それ?んなもん屯所に帰れば毎日あるだろう?可笑しな事を謂いやがる…。けどよ…。そのやりたい任務、無茶するんじゃねぇぞ?もし、無茶したら…』
『あーその先は良いです。想像つきますから』
『そうかよ』
土方さんは治った身体を心配しているのだろう。現に今あたしもそうなんだから。本当に食べ物で直ったのか…疑心暗鬼になってしまう。
だけど、このスマホに表示されると彼の容体が変わっていた。
その通りになるから…。
『沖田さんと土方さんて本当仲良いですよね』
『『へ?』』
『ほら、ハモった!』
あたしは仕返しに二人を茶化した。
弄られっぱなしじゃ嫌だもん。
昼を終えるとあたし達はまた歩き出した。一日で何れくらい歩くか去年来た道を戻るだけだから判るけど、初めてのあの時は本当に辛かった…。
油、重たかったなぁ…。
二人だったからあんなに要らなかったのにどうして…。駄目だ…思い出すと落ち込んでくる…。
山道に入ると山賊さんが御登場。
山に居るから勝手に謂ってるんだけどね。あの日の山賊さんだ。記憶にある。
沖田さんにこっぴどくヤられたくせに
また登場するなんて…。
『おい…。そこのチビをおいていけ』
『チビ?!』
『さぁ、痛い目に遭いたくなかったら謂うこと利きな?』
『そうだぜ?ひょろい身体で俺らに勝てると思ってんのか?』
『沖田さん、土方さん』
『おう…止めてくれるな…』
『そうだよ…誰がひょろい身体だって?あんた達、また痛い目に遭いたいんだよね?』
キレた二人は鞘へ手を伸ばし
刀を握る。金属音を立てながら静かに引き抜いた。
『…しまった!こいつら一年前のッ!』
『何ッ!』
『『遅いんだよッ!』』
キイィィィィィンッ!
手加減してくださいね。
お二方、この後はみっちり沖田さんと土方さんにしごかれた山賊さん二人。
この二人にも土方さんは鬼にしか見えなかったのか、もう辞めると契約書にサインをした。
顔は瘤だらけの痣だらけ。
土方さんも沖田さんも相手が素手て謂うことに気づき、刀をあたしに預け拳でしごいた。
二人は正座姿で頭を地面にべったりつけている。
『度々来てやるよこの山に』
土方さんはそう謂い残すと再び歩き出した。あたしと沖田さんもそれに続く。
さよなら、山賊さん達。
『あー無駄な体力使っちゃったなぁ…』
『よく謂いやがる俺よりお前の方がキレてただろうが』
『ひょろいって謂ったんですよ?!』
『判った。静かに歩け疲れるだろう』
急な坂を抜けると川から流れてくる水の音が聞こえてきた。お水、補充しとかないと。
湧き水を見つけるとあたしは三人分の水筒に水を入れた。
そして、また山道を下りる。
ずーっと無言。
あたしは何と無くあの歌を口ずさんだ。
二人はどんな顔をしてるのかな?
呆れてるかな?
有り難う御座います。
次回はまだ、執筆中でおまけに
タイトルが決まっていません。
すみません(TT)




