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第三十五章 京へ向けて…。

ご心配御掛けしてすみませんでした。

やっと出来上がりましたのでどぞッ!

毎度、すみません…。

時が経ち、二月下旬の二八日。

一年前の事を振り返ってみた…。

江戸へ来て始めてのとき、沖田さんの病状は良くもなく悪くもなく…そんな風にあたし達は思っていた。



けれど医者へ通うと何か謂われたのか

沖田さんは少し暗い表情で診療室から出て来た。



それからはいつも通りの彼。

今は後少しで京へ戻れることから物凄く機嫌が良い。此処へ着たときは少しだけ(やつ)れていたけれど斉藤さんや樋口さん、土方さんのおかけで体力も以前と比べるととても良い様だ。



あたし自身の調子も良くなっている。







『智香、明日(あす)此所を発つんだよな?』


『あ、土方さん…はい。その予定です。…あの最後まで一緒に居てくださり有り難う御座います』


『良いって事さ。近藤さんが居てやれっていう局長命令だし』


『助かります』


『しっかし…一年で完治なんて今も信じられねぇなぁ…あの病気は不治の病って訊いたんだが…お前何かしたのか?』


『え?特に何も…』


『接吻とかも無い…と?』


『ッ!!』


『ぷっ!からかっただけだそう紅くなるな…』


『土方さんのセクハラッ!』







あたしは思わず明日(あす)背負って行く荷物を両手で頭の上まで持ち上げ、土方さんへ投げつけてやったッ!

まさかの不意討ちッ!






『おぉっ!あぶねぇなぁ…』

『セクハラですッ!』



『何もめてるの二人して?』


『総司…いや、何でもないさ。…うーん。よし!総司、智香』


『『はい?』』


『今晩の飯は外で済ませよう。俺の奢りだ。あ、酒代は別だぞ』


『やったぁーっ!』

『えー……ま、でもいいか…高いつまみ頼めば』


『調子にのるな』






喜びに身を任せながらあたしはもう一度スマホを手に取り文字を見る。




“沖田総司 完治”




何度見てもそうある。

けど、不思議な物である…このスマホの通りに従っただけで良くなるなんて…魔法使いならぬ魔法スマホ。




じゃれあう二人へ視線をやると猫の鳴き声が聞こえた。テツだ。

しゃがみこむとあたしの所へやって来てくれた。明日でお別れなんだ…江戸で再会したタエちゃんとも…テツ…皆と…。



氷川さんは一人だけど、沢山の友達が居るから安心して京へ戻れる。

だから最後の挨拶へ行かなくては…。






『テツ…毎日遊びに来てくれて有り難うね』



『『……』』



『出逢いあれば別れあり…か…』


『ですね…この後茶屋へ行ってから氷川さんの所、それとぉ…後二件…』


『この近辺もだろう?』


『判ってますよ。ただ、智香ちゃんを見てると自然とそう頭になるんです』


『判らなくもないな』





テツは土方さんに抱き上げられ

沖田にも抱き上げられた。

何故か沖田さんが抱き上げると前足を両方使い、彼の目を柔らかい肉球で押さえた。





『あー…これ気持ちいい…』


『寝るなよ総司』

『寝ないでくださいね沖田さん?』


『…うん…』







何でだろう…ふと沖田さんの口元を見てしまう…一月前(ひとつきまえ)…初めて接吻をしたからだろうか…違う…彼は感情が口元に出るから…。



特に寂しく感じたとき…。





『別れが寂しいみたいだな?』

『え?土方さんも気づいていたんですか?』


『とっくだ』

『流石です』





朝の支度もやっと終わり、隣近所へ別れの挨拶へまわる…。何故かというと明日発つのが早いためだ。勿論家を貸してくれてい人は今晩泊まる事になっているとか…。


近所への挨拶が終わると土方さんの関係者宅へ…。そこが終わるとタエちゃんの居る茶屋へ一直線。







『タエちゃーんッ!』






あたしは彼女の姿を見つけるなり

大きな声で名前を呼んだ。

そして思い切り抱き付く。


彼女は驚いてあたしの肩を掴み何事か察しがついた様子…。






『お別れなんだね…』

『うん…だから最後に会いたくて…』





話をして居ると沖田さんと土方さんが

遅れて到着した。






『智香ちゃん走り出すとか子供じゃん?』


『子供なんだよ』



『沖田さん、土方さん…長いようで短かったですが…有り難う御座いました…また、江戸へ来られる用事がありましたら…近くきましたら…』






タエちゃん…涙が…。




『お出でください』






一筋、また一筋と彼女の頬に涙が流れた…。ヒナの所へも行かないと…。



別れの挨拶が終わると何処と無くポッカリ穴が開いた…。そんな気持ちなった…。

ヒナの涙、ヒナのお兄さんの温かな手…そして…氷川さんの涙…この一年であたし達は江戸に馴染んでいたんだ…。そう感じ、切ない気持ちで沢山だった…。


夜は土方さんの奢り。

未来でいう居酒屋…。座敷に座ると


土方さんと、沖田さんはお酒を注文する。あたしはお膳に肘をつけ頬杖をつき、晴れた夜空を見上げる。

京へ戻りたい反面江戸を離れる寂しさ…。




そしてもう一つ…。




少し前から

身体が引っ張られる感じがちょっとずつ

強くなっている…。




スマホの充電も一つ初めて減っていたし

正直、胸が締め付けられ誰にも謂えないで居る。土方さんと江戸での晩酌が嬉しいのか少しはしゃぐ沖田さん…。




沖田さん、土方さん…。

わがまま、少しだけ良いですか…?



二人を少しだけ見ると、あたしはまた夜空に浮かぶ月をじっと見つめた…。


久々の、作品有り難う御座います

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