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第三章 十字傷 (挿絵あり)

土方が用あって外出する。

智香が部屋へ戻り沖田といつも通りに

していた。そしていつも通り一日が始まり終わるのだろうと思っていた。


しかし勝手口で何か倒れられる音が…。




*この時代に勝手口があるかは

調べず執筆してしまった為判りません。

ご了承ください。

翌日、土方さんは江戸の奉行所へ用があると謂うので遅くなっても良いよう

オニギリを三つ持たせた。





『悪いな智香。それじゃ行ってくる。ちゃんと総司を見張っとけよ?』


『はい。お気をつけて』





土方さんに傘も持たせると

彼は急ぎ足で出た。

沖田さんは奥でお茶を飲んでいる。

今日は生憎の雨。昨日の天気が嘘みたい…。






『寒くないですか?』

『ちょっと肌寒いかな?今日みたいな日に

あっつあつの汁が飲みたかったかなぁ?』


『さらり謂いますね…』


『だって昨日お汁、中々冷めなかったじゃない?』


『一生の不覚…』


『ま、火事にならないだけ良いか』





沖田さんはやっぱり沖田さんだ。

あたしは三人分の布団を畳む。

今日もいつものように一日が終わる。

そう信じていた…。





ガタンッ




勝手口から何かが倒れる音がした。

反射的に其方(そちら)側へ振り向く。

そこには昨日知り合ったばかりの氷川さんが血だらけになって倒れ込んでいた。





『氷川さんっ!沖田さん!氷川さんがっ!』





そう叫ぶと同時に沖田さんが来てくれた。

氷川さんは背中を十字に斬られている…

何故…?どうして氷川さんが…?





『まだ近くに居るかも知れない…』

(まさか…昨日土方さんが持ってきてくれた文にあった…追っ手の奴…か…?

だとしたら氷川さんがなんで…)




『沖田さん…』

『大丈夫。僕が強いの君、知ってるよね?』

『けど…』

『何か遭った時の許可は昨日土方さんから貰ったから』






沖田さんはそういうと

掛けていた刀を手に取った。

万が一の為だろう…けど、どうして氷川さんがこんな目に?最近まで刀を使っていたのに…。





『氷川さんは?』

『体温が低いです。雨に濡れてしまったのも原因かも知れませんが…』


『ぐっ…』


『氷川さん?気が付きましたか?!』





あたしは近くに畳んで置いてあった

手拭いで濡れた頬を拭う。




『氷川さんに僕の着物を着せてあげて?僕は暫く此処を見るから』


『判りました』





あたしは急須とお茶を退ける。

お酒を取り出し、氷川さんの背中へ吹きかける。口の中が辛い…。

出来るだけ血を拭き新しい手拭いを湿らせ

包帯を巻く。





『いっ!』

『ごめんなさい!』

『いや、それは私の言葉だよ…』


『…身体が冷えています…今お茶をお持ちしますので此方で暖まっていて下さい…あ、布団が良いですね』





あたしは氷川さんへそう謂うと

新しくお茶を持ってきた。




『有り難う…手当てまでして貰ってお茶まで…』

『いいえ、良いんです』

『ふぅ…』





誰も居なかったのだろうか?

沖田さんが戻って来た。




『誰も居なかったよ』

『やぁ…沖田君…すまない…』

『気にしないで下さい。それで、誰にやられたんです?』

『黒装束の男だった…顔までは判らん…』

『黒装束…』

(違ったか…)


『槽が壊れてしまったんで、そこで買おうと来たんだが…着いた途端後ろから斬られてしまったんだ…性別が判ったのは声を発したからだよ…』


『通り魔かな?それと念の為医者に診せた方がいいね?智香ちゃんが応急手当てしてくれたけど、その場しのぎだから』


『沖田さん…それじゃ、往診を頼んできます』

『うん。お願い』






あたしは昨日沖田さんと行った診療所へ

向かった。




『どんな感じですか?』




看護師(未来で謂う)が訊いてきた。





『雨で濡れたせいかも知れませんが

身体が冷えきっていました。なので先程お茶を淹れて、布団で暖まってもらっています』


『意識の方は?』

『有ります』


『判りました。沖田さんの所に居るんですよね?』

『そうです』

『……』




どうやらメモを取っているようだ。

話を終えると彼女は奥へ入って行った。





『一体…何が起こってるの…?』




江戸に来て初めての出来事なだけ

あたしは困惑している。

不審者がいたら土方さんがすぐ戻ってくるはず…彼が奉行所へ行った時は居なかったんだろう…。





少しすると戻ってきた。

手には先程の紙が持たれている。





『先生に伝えました。診察が終わり次第伺うという事です』

『有り難う御座います』






あたしは急いで診療所を出て行った。

何だろう…胸騒ぎがする…。

二人とも…斬られたり何かしてないよね…

恐い…。





『はぁはぁ…わっ!』






人混みの中を傘もささずに走っていたせいか、躓いてしまった…。

膝をつけてから立ち上がると

また走り出す。





『はっはっは…沖田さん…はぁ…はぁ…』







雨は強くなり走る足下で雨水が跳ねる。

外に出ている人は(まば)らだ。

何も手にしていないあたしを

見る人が居る。けど…そんな事はどうでも

良かった。二人が心配でならない…。


戻った所で何も出来ないかも知れないけど…気を反らせる事は出来る…。

転んで怪我をしたくらいどうって事無いっ!



沖田さん…沖田さん…




パンッ!



『はぁ…はぁ…はぁ…』

『智香ちゃん…そんな勢いよく開けないでよ?壊れたら弁償だよ?』


『良かった…無事で…』


『ん?』




沖田さんが奥から出て来てくれた。

彼はあたしを見て目を丸くして驚いて

こう謂った。




『ずぶ濡れじゃ…傘は?』

『間に合うかと思って…』

『駄目じゃないかっ!春だからって風邪や病気をしやすいんだよ?!』




挿絵(By みてみん)




『…ごめん…なさい…』


『あ…いや…僕こそ怒鳴ったりして…』

『沖田さん…』

『うん?』

『嫌な予感が…するんです…』

『君も?』

『沖田さんも…ですか…?』

『うん…』





沖田さんはあたしの濡れた髪を

手拭いで拭いてくれる。だけど…眉間に皺を寄せて難しい顔をしている。

その表情はどこか土方さんに似ている。




『沖田さん…あたしは大丈夫です。早く氷川さんの所へ』

『判った。君は別の部屋で着替えておいで』

『はい』






智香が着替えをしている間

沖田は氷川へ何故家を選んだのか訊いていた。




『この通りは殆どが店が多いだろう?

…最初に入った店は怪我をした私を、見て奥へ逃げてしまって…二件目もそうだった…たまたま私はこの家から一人、昨日会った人を…土方さんだったかな…見かけ、ふらつく身体を我慢し…着いた時に力尽きた…まぁ、そんな所だよ…疑われるのは仕様のない事…』


『土方さんが戻ったら、同じ事を謂って貰っても構わないかな?』


『ああ…ただ…婆さんが心配だ…』

『…家は近いの?』


『遠くはない。この家を出て何件目か

最初の、質屋があるだろう?そのすぐ裏が私の家だ…しかし…何故こんな目に…』


『ねぇ、もしかして”辞めたから抹殺”しに来たのかも知れないよ?』


『…抹殺…?』


『入るときに契約書に無かった?』

『そんもの無かった!あったら私は入隊なんてしていないっ!』


『……借金、あったよね?そいつ等と組織が同じなのかも…あ、一ついい?』


『…?…』


『お婆さんもうちで保護するよ。何か遭ったら僕が責任をもって護るから』


『沖田君…あんた…あんたも…』


『しー…それ以上謂っちゃ駄目。誰かに漏らさないでおいて?ん〜…あの時って昨日だけど…あの柄の悪い男、気づいてなければいいなぁ〜。ま、頭悪そうだったし

大丈夫かな?』


『…私も”剣士だった”男だ…約束する』


『有り難う…氷川さん』






沖田は起き上がろうとした

氷川の両肩に手を置き彼の身体を布団へと

戻した。





『それじゃ…僕はお婆さんを連れてくるね。医者も来るから大人しく寝ていて下さいね?』






沖田は刀を腰へかけると

智香へ成り行きを話し、氷川の家へと

向かった。






詠んで下さり、有り難う御座います。

シンカー・ワン様

評価、有り難う御座います。

ご指摘やアドバイス、感想、評価を

バネに此からも頑張っていく次第です。


…今回の話しゎ如何でしたてましょう?

誤字脱字等有りましたらごめんなさい。です。



次回は沖田が氷川の女房を

おぶってくる所からと。考えています。

リヤカー…此方も考えてみようかな?

明日、投稿出来たらします!



宜しくお願いしますm(_ _)m

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