第二章 追っ手
今回は土方が何をしに
江戸までやってきたのか?
沖田は土方から文を渡される
そこには近藤からある”知らせ”があった。
智香はその事を知らされぬまま
風呂釜への薪を足していた。
駄文ですみません。
難しいですね…
老人は自分の事を紹介していない事に気づくと、深々と頭を下げた。
『ああ、沖田君…先程は自己紹介もしないで申し訳なかった…。私は氷川順三郎と申します』
『良いですよ。気にしないで下さい。それより、えと…氷川さんは刀を使っているんですか?…ここに刀傷があるから』
『あの一瞬で…ああ。少し前までそうだったよ。今は婆さんの隣が私の居場所だがね。助けて頂き、有り難う御座いました。では…』
そう話と氷川という老人は
家へと向かった。
あたし達も借家へと帰る。
家はそう遠くないので、少し寄り道をしながら帰る事になった。
南風が暖かい。
農道にはタンポポが沢山咲いて
太陽の光を浴びている。
親猫と子猫もタンポポの絨毯で
気持ち良く昼寝をしてくつろいでる。
『江戸も暖かいな』
『そうでしょう?京の皆はどうです?』
『元気にしてるぜ?俺が屯所を出るとき
樋口がお前に宜しくと、伝えるよう謂われたよ。何だかんだお前と樋口は似てるな?』
『そうですか?』
『ああ。それと今、樋口が空き時間を使ってお前の代理で隊士らの稽古までやってくれている』
『そっか…。戻ったらちゃんとお礼しないと。山南さんは…?』
『心配か?』
『そりゃぁ心配ですよ。智香ちゃんの話だと新選組を抜け出して切腹をする事になる。なんて訊いたら…』
『大丈夫だ。山南さんには確かに恋人はいる。しかし彼は彼女と文のやり取りを始めた。その時の”約束事”が”私はこの屯所を抜け出す事はない。互いに会う時は知られる事”だとよ』
『山南さんらしいですね』
『しかし智香は本当に動物が好きだなぁ?まだ猫を触ってる』
『いつものことですよ。彼女は日中ああやって犬や猫と触れ合ってるんです』
『そうか。あ…診察受けたんだよな?どうだった?』
『前より良いって謂ってました。何か特殊な薬でも飲んでるのかとか、訊かれましたけどね』
『飲んでるのか?』
『いえ。栄養のあるものを食べてるだけですよ?』
『それだけか?』
『そうですよ。ところで土方さん?』
土方が沖田の言葉に
目的を思い出す。
彼は懐から何か小さな物を取り出し
沖田へと渡した。
『此ですか…土方さんが文で謂っていた物』
『ああ。見たこともねぇから智香の物だろう?』
『絶対そうですね。智香ちゃーん!』
『はい?』
『此、君のだよねぇー?』
沖田さんは何か細い棒状な物を
振り回し、アピールしている。
目を凝らして見ると、京へ来て無くなった
シャーペンだった。
『あ!そうですっ!』
あたしは二人へ駆け寄り、シャーペンを
渡された。
芯が入っているか確かめてみる。
シャカシャカッ
沖田さんと土方さんは初めて見るので
やっぱり不思議そうに見ている。
芯は入っていた。良かった。
『それはなんなんだ?』
『此はシャープペンシルっていう物です。未来でシャーペンと謂われてます。これ以外で鉛筆とかデッサンに使う木炭とか…えっと後…ボールペンが。此方の時代では筆です』
『…墨は要らないのか?』
『此と鉛筆は要りません。シャーペンだと芯が必要になりますけれど』
『へぇ。消せたり出来るの?』
『消しゴムがあれば』
『『消しゴム??』』
消しゴムが気になり始めた様だ。
それについてはどう説明すれば良いのかな?間違えた個所を消すゴムの様なもの?
何か…変…だよね…。
『未来か…俺も行ってみたいな…』
『馬の代わりに鉄の塊が走ってましたよ』
『く・る・ま!』
『あ、そうそう、それ』
『なんだそれ?』
あたしは地面に車を絵に描いた。
人物画やイラストは得意だけど
こういうのは苦手…。子供が見る絵本の様な車しか…描けない…。
『こんな…感じです…』
『どれ?ほう…』
『どれどれ?…ぶっ!智香ちゃん…』
『むぅっ!良いじゃないですかぁっ!』
『下手ではないぞ』
『土方さん!有り難う御座いますっ!』
『はは。どう致しまして。おっ、そこの土手つくしがあるな』
土方さんも目が良いよね。
そこの土手っていっても…距離が…。
あたしはその場所まで行く。
確かに…つくしが顔を出している。
……美味しそう…。
『涎たらしてるのかな?』
『まさか…平助じゃあるまいし…』
流石沖田さん。
あー。つくしの天ぷら食べたいなぁ…
煮てすぐ食べると美味しいんだよね。
採ろう。
『何か採り始めましたよ?』
『総司の感が当たったんだな』
『昼餉か夕餉に出そうです。土方さん、すぐ京へ?』
『明後日発つが?』
『宿へ泊まるなら家へ来ませんか?』
『良いのか?』
『はい。大丈夫ですよ布団ならすぐ借りれますから』
『…そうか?じゃぁ、そうさせて貰うよ』
その日の夜、土方さんは江戸へ泊まることになった。
といってもあたし達が借りている家に。
夕餉の時間が近づいてきたので
あたしはいつも通り夕餉の支度に取り掛かる。
食事は相変わらず質素だけど
沖田さんも文句謂わず屯所に居た時と
同じで食べてくれる。
昼間採ってきたつくしを
天ぷらにしてみた。
未来に飛ばされた時何故かタッパーと
小麦粉、油を沢山持ってきた。
何でかな?自分用でも判らない。
って…あたし、どれだけの量を
買い溜めしていたんだろう?
あの時棚を開けて驚いた。
此処へ来る間は自分が持ってきた
油と小麦粉を恨んだなぁ…。
ご飯も炊けたので、二人の前へ差し出した。
『此は?』
土方さんがつくしの天ぷらと
かき揚げを箸で摘む。
『智香ちゃんが採ったつくしですよ。こっちは玉ねぎと人参の”かき揚げ”です』
『おお、そうだったな。あいつらも
此、喰いたがってたな』
『油は新選組の屯所にも置いてきましたよ?』
『入れる頃合いが判らないらしい。俺に訊かれても判らないしなぁ…』
『油の真ん中に菜箸を下までつけて
すぐ、ブクブク浮いてきたら入れるタイミングです…頃合いです』
『へぇー』
『覚えておこう。うん、甘くて美味いな』
『向こうでは丼にしてよく食べられてるんだよね?』
『あたしはですけどね。魚の天ぷらも好きです』
『ほう』
『そうそう!土方さん!智香ちゃんのこの入れ物』
『バックですか?』
『うん。此に沢山の野菜の種が入ってるんですよ?』
『………入れっぱなしで…はは』
(本当は忘れてたなんて謂えない…スイカの種を見つけて思い出したんだけど…)
『智香は時々忘れるからな?』
ぅぐ…良いところを突いてきますね…。
『畑、借りれたし無駄にならなくて良かったです』
『そうだね?ところで智香ちゃん、汁の鍋、噴きそうだよ?』
『え?!あぁっ!』
(相変わらず騒がしい奴だ…ま、それが無かったら智香じゃないか)
あっつあつの汁をお椀に居れる。
それだけでどれくらい煮だったか
椀から伝わる熱さで判る。
『…火傷に気をつけてお召し上がり下さいませ』
『………』
『…熱そう』
土方さん、無言の言葉も久し振りですね。
二人が食べている間、あたしはお風呂へ向かった。
『薪、足さないと』
土方はこの隙に沖田へ
もう一つの文を手渡した。
それは、近藤からの文。
隊務の文だった。
『近藤さんは此方からの仕送りとやらをしていても構わんと謂っているが
お前の性格上やりかねんだろう?』
『バレバレでした?』
『あったりめぇよ。んで、どうする?仕事をやり始めるとなると、色んな輩が居る御時世だ』
『そうですね…けど、今は智香ちゃんに
心配かけたくないし暫く大人しくしてますよ。あ!この家でやれる仕事って有ります?』
『ねぇよ』
『土方さん、少しは考えません?即答ですよ?』
『ねぇーのにあるってか?』
『もういいですよ。…ん?』
『気づいたか?』
『勿論です。京から遙々(はるばる)江戸まで追ってきたんですね?』
『ああ。もう少しよく詠んで見ろ背格好が書いてあるはずだ』
『……ふぅーん。判りました。今までなにも無かったって事は僕達の様子を見ていたんですね?そして、もしかしたら病気の事も掴んでいるかも知れない…』
『ああ。近々斉藤が此処へ来る事になっている。もし、それまで何か動きがあったらソレを使っても構わん』
土方は沖田の刀へ目を移しながら
許可を出した。
沖田は口元で笑う。
『此は?着ても良いんですか?』
『総司…服隊まで持ってきていたのか?』
『はい。此を見てると落ち着くんで。駄目でした?』
『氷川の爺さん以外に知られねぇ様にしろよ?』
『判りました。けど、何で気づけなかったかなぁ?これ』
『距離をとったんだろうよ?』
『んー…』
沖田はどこか腑に落ちないでいた。
今回も詠んで頂き有り難う御座います。
文章に気を使いながら
執筆しました。
タイトルは”追っ手”でした。
もう少し進ませてから
相手をどのような人物にするか
検討していきたいと
思っています。
出来れば緊迫した感じにしたいです。
では、二章目のお付き合いも有り難う御座いました。
次回タイトル未定です。




