第二十二章 坂本龍馬
いよいよ坂本龍馬の登場?!
智香と隆夫は自分が知る限りの事を話す!
永倉と平助は何も訊かなかった事にし
山南と別れた。平助は隆夫の助っ人で飼育小屋へ急いだ。
扉を開けると隆夫が束ねた藁で豚の体を
磨いていたところだった。
『文、なんてあったんすか?』
『物騒な事が書かれてたよ。総司と斉藤君が江戸で敵陣に狙われてるみたいでさ』
『けど、二人は強いから大丈夫なんじゃ…』
『束でかかってきたらいくらあの二人でもなぁ…それに、智香だって危ないんだぜ?変装が上手いからいいけど女ってバレたら側室にされちまうかもしれないんだ…』
磨いていた手が藁を持ちながら止まる。
そして、平助を見た。
平助は”やっと気づいたか”そんな目を彼に向けた。
また平助は隆夫と違う事を考えている。
先程山南がこの屯所へ坂本龍馬が来ると謂っていた事。
新選組は坂本を敵視している側。
いくら坂本自身争わぬと謂っても
新選組にとっては討幕派の巨頭としみている。敵視しても不思議ではない。
しかし何故?
何故今新選組へ?
山南に何を吹き込む?
しかし…山南も何を考えているのか?
敵を新選組屯所へ招くなと…。
せっかく智香が助言をくれたと謂うのに
それを仇で返すのか?
近藤と土方にバレでもしたら切腹だって
有り得なくない…。
何故?
『なぁ隆夫…』
『なんすか?』
『お前も“新選組とかの歴史“を知ってるのか?』
『知ってますよ。軍の犬とか謂われたり』
『そうゆうんじゃなくてさ』
『そうですね…新選組は坂本龍馬を討幕派の巨頭を敵視していますよね?それに町の人によく思われていない』
『ああ…って何なんだよっ!』
『えっとぉ…北辰一刀流の達人だけどこの話は道場剣術の話。未来では剣道なんて謂いますけど、坂本は数回真剣勝負をしてその時は刀ではなく拳銃を使ったんです』
『はぁ?飛び道具かよ?』
『はい。本当に剣の達人なら使うはずでしょう?彼は剣豪何かじゃない。道場のみの剣豪です。事実拳銃を使い慣れなかった事で自ら銃で怪我を。しかし使い慣れないが刀より銃が有利…ですね』
『ずりぃなぁ…』
『折角道場で達人なのに泥を塗るなんて勿体無い話です』
『確かに道場で有名人で居ても悪くないよなぁ…折角の腕が勿体無い…勿体ねぇぇ!』
隆夫は止めていた手を動かす。
平助も隆夫の後ろで同じ作業を始めた。
『もし、此処の人が坂本龍馬とかかわりがあったりなると切腹ですね…間違いなく。敵視してる人間と繋がりがあるなんて知れたら』
『こ…怖いな…』
『そりゃそうですよ?新選組の情報を流されている可能性だってあるんですよ?切腹は仕方無い事です…盗み聞きみたいになって嫌何だけど…』
『へ?』
『水汲みにいって戻るとき訊いちゃいました。山南さんを早く止めて下さい』
『お…おう。けど…』
『今日はいいです。早く山南の所へ』
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江戸…。
この時あたしは新選組で何が起きているのかさっぱり判らないでいた。
いや、正しくは知らないでいた。
しかしこの日山南さんから
一通の文が届いた…。
縁側で三人揃って文を開ける斉藤さん。
中身を三人で読んで目を丸くした。
この日付…。まさに今日だ。
坂本龍馬が新選組へ来る予定…土方さんと
局長の近藤さんへは知らせていないらしい。
しかし山南さんは悩んでいた。
文には向こうから是非会って話がしたい
と、何度も断り続けたけど何と謂うのだろう…。押しに弱いのか?いや、坂本龍馬さんからの一方的なラブコールだ。
『山南総長…もっと早くに教えてくれれば…』
『なっちゃったんだもん仕様がないよ』
『…お二人に坂本さんについてお話していませんでしたよね?』
席を外そうとした二人にあたしは
話かけた。沖田さんと斉藤さんは立ち上がった姿勢のまま、あたしを見下ろしていたけど暫くすると座り直してくれた。
坂本龍馬
生年 天保六年十一月十五日(1836年一月三日)
生地 土佐藩 高知。
所属 海援隊。
坂本龍馬さんは文久二年三月に沢村惣之丞と共に脱藩。
理由は定かではないけど坂本龍馬が吉田東洋暗殺を企てる彼等の方針に反対だったからではないかと噂される指摘があった。
脱藩した直後吉田東洋暗殺事件が起きる。当初は脱藩した坂本龍馬が
実行犯と疑われていた。
そして文久三年、脱藩の罪は許される。勝さんが進める神戸海軍操連所の設立に尽くすが
操連所よりも先に開設された神戸海軍塾の塾頭を勤める事となる。
近江屋事件も有名だ。この話は数年先になるけれど、坂本さんと中岡慎太郎さんが”京都”河原町近江屋”井口新助邸”において暗殺された事件…。この時、江戸幕府京都見廻組によるものという説が有力だった…。
勿論ここに至るまで池田屋事件がある。
確かその後西郷隆盛さんが出てくる。
『智香、話してくれて礼を謂う』
『いえ…。因みに坂本さんとは全然関係ないのですが、池田屋事件の後に沖田さんの病気が発覚なんです』
『病気?』
『はい』
『へぇ…』
(だからこの娘は今のうちの治療を決めたんだ…)
『新選組が心配です…』
『ああ』
『そうだね。何も出来ないこのモヤモヤ感って嫌だよね…』
あたし達三人は縁側に座りながら
太陽を見た…。
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『さぁ、新選組へ出発じゃの…』
坂本は新選組の屯所へと
一歩一歩近づいていた。
屯所では、山南、藤堂、永倉、隆夫の四人が難しい表情で仕事をこなしていた。
読んで頂き有り難う御座います。
次回から本格的に坂本さんが登場です。
龍馬の未来も変わるのか?それとも歴通りに
進んでしまうのか?
次回
山南と坂本
の予定でいます。




