第十九章 敵の数
あたしの目の前に居る男の名は
奥田平八。沖田さんの命を狙う一人。
この人が謂うにはやはりあの
穴が空いた壁から覗いていた人物だった。しかし、あの日戦った廣瀬という奴等とは面識も無いという。
彼は単独で行動し
うちの回りを見張っていたらしい。
ある時は豆腐売りだったり、くず屋だったり…。
『ずっと…あたし達を…?』
『毎日は流石に難しいがな…あの騒ぎ移行沖田は外の見廻りや家の警護が厳しくなってな。…奴は以外と鋭い…此方も警戒しなければ斬られていただろう』
キイィィィィンッ!
『ぐはっ!』
『ち…やはり斉藤に敵わなかったか…』
視線を斉藤さん達へ向けると
敵の一人がよろめいていた。
立っていられなくなったのか、膝から崩れた。
しかし、斉藤さんはまだ刀を鞘へ収めようとしない。奥田を見ると腰にある刀へ手を伸ばしていた。
斉藤さんとやり合うんだ…。
太陽が真上にきた。此れからもっと
暑くなる…汗が頬を伝う。
斉藤さんの体力が気になる。
少し息が上がっているみたいだし
この暑さだ…。
『斉藤。お前を倒したらこいつを連れて帰る。俺が負けたら沖田から手を引こう』
『勝つしかない。いや、俺は負けぬ。そいつを連れて戻る!新選組から手を引いてもらうっ!』
斉藤さんは駆け出し奥田へ…。
互角と謂うものだろう、お互い一歩も譲らない。刀がぶつかる度激しく金属音が鳴り響く。
キイィィィィンッ!
キイィィィィンッ!
ヒュンッ!
奥田の刀の先が斉藤の頬を掠めた。
数センチの傷が彼の頬に出来てしまう
血が少しだけど流れる…。
『くっ!』
『斉藤さんっ!』
『来るなっ!』
『っ!』
『お前はそこに居ろっ!俺は必ず勝つ…足手まといになるだけだ』
『…はい…』
斉藤さんは刀を握り直すと
今までの目付きよりさらに険しくなった。それに気づいた奥田も態勢を整え直し斉藤さんへ刀を向け二人は睨み合う。
蝉が鳴く声は二人を観戦し
騒いでいるような…。
再び彼等の刀がぶつかり合う。
斉藤さんが
いあいの姿勢をとった時
緑色した銀杏の葉が二枚ハラリと舞った。
技を仕掛けると斉藤さんの刀で
きられた葉が奥田の視界を隠すように
遮った。斉藤さんはそれを見逃さず……。
『うぐ…!』
あっという間の出来事だった。
一瞬時が止まった様な…。
『もう、終いにしよう』
『ふ…ふはは…俺の負けが決まったとでも謂いたいか?…傷が癒えたらまた狙いに来よう…。ひとつ教えてやろう』
『なんだ?』
『お前らの敵は…この江戸だで沢山いる…。終わると思うな』
奥田はそう謂うとよろめきながらも
この場を後にした。
斉藤さんへ駆け寄るとやはり体力が無かったのか倒れながらあたしへ体を
預けた。
『お水、飲みましょう…』
『すまない…』
『いえ…。いつも有り難う御座います…』
斉藤さんを、抱えながら日陰へ
移動させ水筒を渡した…。
読んで頂き有り難う御座います(о´∀`о)
まだ季節は夏ですが
少しずつ進めたいと思ってます。




