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第十六章 ひとつき

お待たせしました。

今回のお話はホンワカに仕上げてみました。

タエは初二人きり…!



斉藤さんが江戸へ着てからひと月が

経とうとしていた。

江戸の町はすっかり春で暖かい。

二人は相変わらずあの河原で”手合わせ”を

している。あたしはその様子を、ひなと二人で座りながら観ている。



ひなが時々やりたがるので斉藤さんが刀をひなへかすと笑顔で沖田さんと刀を交える。




『今日のひなは良い顔でやっているな』

『そうですか?いつもと変わらない様に見えますけど…?』


『智香は刀を使わないからな。だが竹刀を持つお前は良かった。持つ姿勢もなっていたし、表情も良かった』


『斉藤さん…』






あたしは顔を赤くするとそれを隠すかのように足元の雑草やクローバーを見る。

初めて斉藤さんから褒められた(竹刀の使い方)事に嬉しくもある。





『刀と竹刀は使い方が違うが代用すれば使えるようになるだろう。ただ”面”は無しでな?』

『判ってます!けれど刀って結構重たいですよね…あたしには無理です。それを使える斉藤さんや沖田さんにひなが凄いです』



『俺は裁縫が出来る智香が凄いと思うが?』


『あれは趣味でやっていたのでそんな凄くも無いですよ』


『女性的で良いと思うが?』

『え…えと…有り難う御座います…』






斉藤さんは柔らかく微笑むと沖田さん達の方へ目をやった。

あたしも流されるように彼等を見る。

空は相変わらず青いし空気も未来と違って美味しい。




この時代の人達が未来へ行ったら暮らせないだろう…。沖田さんは殆どあたしの部屋に居てたし…外へ出たら変な顔してたもん。




やっぱり、大気汚染が原因だろう。

ひなと友達になってから驚いた事が一つあった。この時代の女性は月経の時は出したいときに出すとか…。


未来では考えられない。

常に持っていないといけないし…

過去と未来の違いはやっぱり『空気』だろう。この時代には車はないし自然を汚す物は無いわけだ。



未来では工場や車が多々あるし、汚水だって垂れ流しで川は汚い。

便利になるにつれて空気が汚れ、月経にも影響が出たのだろう…。




そのためあたしは一人毎月苦労している。






『斉藤さん?なんか寒くなってきてません?』

『そうだな…総司!引き上げるぞ!』


『ふぅ~判った。ひんやりしてきし降るだろうしね…』


『もう少しやりたかったなぁ~また宜しくお願いしますね!』


『いつでも相手するよ』






それぞれ家へ帰ると雨が降り始めた。

もう少しで五月…梅雨時期も近い。

斉藤さんは新選組からの文を沖田さんと読んでいる。



あたしはというと隆夫からの文を読む。

チビは相変わらず元気だと書かれていた。

隆夫の怪我も良くなり散歩が出来る位に治ってきているとか。


飼育されている動物達も病気せず育っているようだ。手伝いの平助君は生まれた子豚に好かれているのか髪の毛をよく舐められるらしい…。


食べられるよりマシだよ平助君!





『ふぅん。平助舐められてるんだ?』

『へ?』

『そうらしいな』





沖田さんと斉藤さんが後ろから覗き込む様にあたしの両肩から顔を覗かせていた。

あたしと目が合った斉藤さんが読んでいた文の最後に”平助の事は隆夫からの文に書いてある”とあったとかなんとか。




『そのうち子豚に食べられちゃうんじゃない?』


『平助なら有りかも知れないな』






否定してあげましょうよ?

斉藤さん…。




『一君最近謂うようになったね?』





沖田さんが笑いながら斉藤さんへ訊く。彼はそれを否定する事無く沖田さんへ一言。






『お前等が物事をはっきり謂うからでは?』


『え?!あたし含まれているのですかツ!?』


『智香も総司によく謂っているぞ?』

『あー…』

『自覚無しってとこかな?』

『あー始まった!』





そんなお喋りをしていると久し振りにタエさんがやってきた。

相変わらず綺麗だ。傘を戸へ掛け、赤い着物に身を包みスラリとした華奢な身体。


あたしは彼女へ近寄ると手に何か持っている事に気がつく。両手に風呂敷で包まれた物だった。





『今日は休みなの。もう昼餉食べちゃったかしら?』

『うんん。此から支度だったの』


『良かった。実は一緒に食べようと思ってこしらえてきたの』


『それじゃ…その包みは…』


『うん。一緒に食べましょう?』





タエさんは胸辺りまでお弁当をやると

ニコリとしながらあたし達へ差し出してくれた。


外は雨だから此処まで持ってくるのに

大変だっただろうな…タエさん有り難う御座います。




彼女を中へ通すとあたしは人数分の茶を出す。沖田さんと斉藤さんはタエさんへ礼を謂っている。

タエさんが風呂敷を解くと重箱の蓋を開ける。いい匂いだ…いつも自分で作った料理なので感激!タエさんは斉藤さんの反応を気にしながら箸を持つ。



あたし達も箸を持ち”頂きます”。

お腹を空かせていたあたしは煮芋を…。






『美味しい!柔らかくて甘くて!』

『ふふ。僕も煮芋頂くね…。うん。美味しい』


『何だか恥ずかしいですね…』




タエさん頬が紅くなってる。

斉藤さんも煮芋かららしい。





『うん…美味い』


『あ…あ、有り難う御座います…』

『大丈夫?顔紅いよ?』

『沖田様…』


『”様”なんて付けなくていいよ?』


『うむ。俺もそう思うな…遠い存在では無いだろう?』


『で、では…沖田さん…斉藤さん…』

『うんうん。それで良いんだよ』

『うむ』


『……………』

『『『…』』』


『何ですか?』

『何って…智香ちゃん…』

『良い食べっぷりだな…と…』

『智香ちゃん口の横についてるよ?』


『っ!!!』





恥ずかしいっ!

やってしまったっ!


三人は大笑いしてくれてるし…

トホホ…情け無い…というか恥ずかしい…。

なので…苦笑いをする事に…。





外の雨はまだ降って居るので

食事が終わってからは雨音で何だか眠くなる…。沖田さんはテツと横になっていたと思えば目を閉じて寝てしまっていた。風邪を拗らせたらイケないので布団を掛ける…。



斉藤さんは奥の部屋で何か書いている。

なのであたしとタエさんは女子トーク開始。






『ね、タエ…さん?』

『タエでいいよ?』

『それじゃなぁ…タエちゃん』

『うん?』

『斉藤さんの事好きでしょ?』

『っ?!』






おお…一気に顔が紅くなった。

素直だなぁ~?恥ずかしいのか緊張なのか判らないけどタエちゃんは両手で顔を覆ってしまった。





『やっぱり?』

『う…ぅん…』






可愛い…俯きながら頷いて…。

タエちゃん良かったね?沖田さんが起きて此処に居たらからかわれてたよ?






『どうして判ったの…?』


『久し振りに斉藤さんに会った時、嬉しそうだったし目がキラキラしてたから』


『へっ?!』


『あたしも沖田さんもすぐ気づいたよ?』

『う、嘘っ!バレバレだったの?!』

『うん』

『そ…そう…』


『斉藤さん、まだ暫く江戸に居るから』

『暫く?』

『詳しい事は話せないんだ…ただ、務めが終わったら京へ戻るの…』

『そ…そうなの…智香ちゃんは?』

『まだ京へは戻らないよ。いつか…戻っちゃうけど…それに…』






あたしの本当の居場所はこの時代じゃないから…なんて…やっぱり謂えない…。タエちゃんは首をかしげてあたしを見るだけ…。


そんなタエちゃんを見て笑って誤魔化す。暫く話していると斉藤さんが居間へやってきた。






『お茶淹れてきますね』

『悪いな。所でなんの話を?』

『え?』




何となくタエちゃんを見る。

彼女は頬を紅く染めて俯いてしまっていた。そりゃなるよね?


好きな人を前にそんな事訊かれたら。

斉藤さんへお茶を出すと、あたしは沖田さんの破れてしまった着物を縫うため

奥の部屋へ向かった。


タエちゃん、緊張だろうけど斉藤さんとの時間楽しんで下さいね!


沖田さんはまだ寝ているので静かに

裁縫を始める。テツは沖田さんの脇腹辺りで伸びている…お腹丸出しが可愛い

裁縫用具がある場所は彼が寝ている近くなので時々沖田さんの髪の毛がくすぐったい。



すぐ隣だから仕方ないんだけど…くすぐったい。



タエちゃんは斉藤さんと楽しく会話をしているみたい。

緊張、解れた証拠かな?




『ん……あれ?智香ちゃん…』

『昼ようございます』

『…何それ?』

『昼間なので昼の挨拶作ってみました』

『変でしょ?』




寝返りをうちながら沖田さんは

此方を見る。テツはまだあの格好でぐっすりだ…沖田さんもその姿を見ると一言。




『人間みたいに寝るんだ…』

『面白いですよね?』





沖田さんは口元を右手で覆いがら笑いを

堪えてる用だ。

早く破れた着物仕上げないと!





如何でしたでしょうか?

誤字脱字等スミマセン。



次回はやはり未定ですが

斉藤さん中心にしようと思っています。

有り難う御座います!

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