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第十四章 ひな子と刀

誤字脱字とつまらなかったら

ごめんなさいm(_ _)m

朝の事件が一段落し、六人での散歩は

楽しかった。樋口さんが泊まる宿の事もあったので探しも兼ねた。


家に泊まることを提案したけれど

樋口さんはそれを拒んだから。





『本当にいいの?』

『自腹にしたのだから問題なかろう?』

『でもさー、一君も家に泊まってるのに…』


『構うな。お前は俺と剣を交えてくれればそれでいい』

『じゃ、明日さっきの河原で』

『昼餉の後で』






珍しく二人が楽しく話をしている。

あたしと斉藤さんは荷物を片付けながら

様子を見ている。




『明日、あの河原でやると謂うことは

智香も行くのか?』

『あたしは掃除があるので終わってからにしよかと。どうしてです?』


『この時代へ来てもう一人友達が増えたろう?もし行くのであれば気晴らしにどうかと思ってな…総司の事は俺に任せてくれ』


『斉藤さん…有り難う御座います。では、お言葉に甘えて』


『ああ。しかし…臭いが付いていなくて良かった…』

『ああ〜クサヤですね?本当凄い臭いでしたもんね…初めて目の前焼いていたので驚きました』


『食べた事は?』

『有りません。臭いからして無理です』

美味(びみ)と訊くがな』

『けど…臭いに負けそうですよね』

『そうだな…まさかクサヤを…』






斉藤さんは思い出したのか手を口へ持ってゆく。テツでさえ逃げたくらいだもん…。

クサヤ、恐るべし!





そして翌日、沖田さんは約束の場所へ向かった。斉藤さんは泊めて貰っている事から、手伝ってくれる。あたしは洗濯物を干し終えると箒を持つと斉藤さんが取る。





『俺がやる。お前は出掛ける準備をしておけ』


『けど…』


『気にすることはないだろう?今日くらいは任せてくれ。終わったら戸締まりをすませ、一緒に出ればいい』


『…判りました』





斉藤さんの言葉に甘え、あたしは出掛ける準備をする。準備と謂ってもちょっとした化粧なんだけどね。



少しすると斉藤さんが終わった事を

知らせに来てくれた。

戸締まりを終わらせると斉藤さんは沖田さんと樋口さんが居る河原へ

方向が一緒なので話しをしながら道を歩く。




『今日の夕餉は何にしましょう…』

『俺は出されたものなら何でも食べるからな…総司に訊いてみては?』


『恐らく天ぷらとか謂いそうですね。じゃ…天ぷらにしようかなぁ〜?』


『それは俺も好物だ。つくしの天ぷらも出るのか?』


『え?!何で判るんです?!』


『総司が謂っていた』


『あ〜…』


『あいつはお前の事をよく判ってるな。そういえば副長が智香を褒めていた。労咳に良い野菜を常に使い食べさせていると』


『そんな事謂っていたんですか?』


『ああ。近藤さんは泣いていたな』


『泣くことないのに…はは…けど、それが無かったら近藤さんじゃないですよね?』


『そうだな…』





この時、初めて斉藤さんが本気で笑った顔を見た。今までは樋口さん同様難しい顔をしていたから…。この斉藤さんの笑顔は絶対忘れたくない。






河原が見えて来ると剣と剣がぶつかり合う音が聞こえてきた。

斉藤さんは”随分激しくやり合ってる”と謂っていた。あたしには判らないが斉藤さんには判るらしい。


ひな子の家まで着たところでとりあえず別れる。戸を叩くと、ひなが開けてくれた。






『智香ぁ!着てくれたの?!』

『うん。斉藤さんがたまには良いだろうって』

『そうなんだ。どうぞ入って?』




中に入れて貰うと、お兄さんの姿が無かった。




『今私一人なんだ。お兄ちゃんは今日仕事だから』

『大変なんだね』

『そんな事ないよ?両親は居ないけど楽しくやってるし』





ひな子はお茶を淹れながらそう謂った。

あたしもこの時代では両親も親戚も居ない。彼女とは友達になったばかりという事もあり、生い立ちを訊くことは失礼なのでやめる。




『私さ、大人になったらお兄ちゃんみたいな男性(ひと)と一緒になりたいなぁって思うの』


『タケルさんの様な?優しいお兄ちゃんだもんね。羨ましいなぁ』


『ふふ。でもね』




お茶をおぼんに乗せてあたしが座る場所まで持ってきてくれた。

上に上がらずあたし達は足をつけながらの姿勢だ。戸は開けたままなので時々柔らかい風が入る。




『お兄ちゃんに謂ったら”やめてくれ”だって』


『どうして?』


『さぁ?恥ずかしいんじゃないかな?』

『ふふ』

『ね!お茶飲んだら河原に行かない?』

『別にいいけど…』

『あの三人も着てるんでしょ?さっきから笑い声と音が聞こえるし』




笑い声…それ絶対沖田さんだ。

そうだ。もう斉藤さんと合流してるかな?




『智香は沖田さんと将来一緒になるんでしょう?』


『ぶっ!…な、何よ急に…』

『だって二人結ばれてるんでしょ?付き合ってるんでしょ?』


『…判らない…』

『え?』




そう。両想いだけど、付き合っているのか判らない。沖田さんとデートをした事は何度かあるけど…付き合うっていうことが最近判らないでいる。


それに…あたしはこの時代の人間じゃない…。あたし達はどうなるかなんて誰も知らない。





『…判らなくても、智香は沖田さんが好きなんだよね?』




ひな、突っ込みますね…?

顔を赤くしながら白状する。



『やっぱり!判らなくても両想いなら良いじゃない?私思うんだ。男性(ひと)を好きになる事に変わりはないし、その人の代わりだって居ないじゃん?


智香見て思ったんだけど、沖田さんとの距離を少しとってる様な…。

どんな訳があるか知らないけど目の前に居る彼なんだから寄り添えるならとことん尽くしてみない?』



『ひな…』




彼女の言葉はあたしの胸を熱くした。

確かに沖田さんと距離をとっている自分も居た。いつ未来へ帰されるのか判らない不安で…あたしは自分を追い詰めていたかも知れない。ひなの言葉はまるで魔法の様だ…。




『ね?あっ!子供作るとかっ!』

『ぶっ!』





前言撤回っ!

魔法じゃないっ!

絶対魔法じゃないっ!





『ひな…』

『ごめんごめん』





そういいつつ笑ってるよね?

それはあたしの気のせい?




『さ!飲み終わったし行きますか!』




ひな子元気だなぁ〜?

あたしは戸締まりの手伝いをやろうとしたら止められてしまった。




『戸締まりっていっても開いてるの此処だけだもん』

『そっか。それじゃあたし外で待ってるね?』

『はーい。終わり』

『早っ!』



河原がすぐそこにあるため三人が見える。

ひな子は斉藤さんが得意とする

居合い斬りを間近で見たためか固まっている。


勿論あたしも初めて見た。

近藤さんに教えて貰った時も見てみたいって思ったけど、あの時は幕末へ着て慣れないでいたせいか恐いって思ってたんだ。




『凄いです!斉藤さんっ!』


『…智香』


『あ、二人で来たんだね?寒くない?』

『はい。ひな子…まだ固まってる…』


『沖田、此を頼む』





樋口さんは沖田さんへ大切な刀を持たせるとひな子の方へ歩み寄った。

彼が近づいても瞬き一つない。



『ひな子と謂ったな?こんな所で立っていると俺達の手合わせに巻き込まれるぞ?』


『はっ!あ、えと樋口さんでしたよね…ごめんなさい…あんな技見たことが無かったので…』


『一君の技に見とれたって事か?そりゃそうだよ?彼の居合いは達人級だもん』





沖田さんは何故かあたしの目を両手で隠しながら説明していた。




『達人級っていえば樋口さんの剣の腕も凄いよ?技は普通だけど力があるし、隙がないんだよね』


『沖田さん、目』


『それに相手の隙を作るっていうか、どんな小さな隙も見逃さない胴体視力も。これは僕も一君もだけど、彼は一番勝ってるかな?』



『沖田さん、何も見えません』


『……総司…』


『そうそう、僕達武士は刀があってだけど素手でもやるときはやるよ』


『沖田さん目ッ!』

『総司…離してやれ…』

『沖田の一番の玩具だな』

『沖田さんと智香面白い…』


『沖田さ…うっ!』

『ごめんごめん…眩しいよね…?』

『眩しいですよ…』




目がくらんでいるあたしは沖田さんの腕を叩いていると、ひな子が何かを思い出した。




『そうだ…昨日智香達と別れてからなんだけど…顔の右半分火傷を負った人がこの辺りで何かしていたのよね』



『『『っ?!』』』


『火傷…あっ!』




沖田さんが以前謂っていた…あの壁の穴から覗いていた目…確か火傷の痕がどうの…。三人を見ると険しい顔つきになっていた。





『沖田、斉藤…』

『やはり昨日の連中はそいつがけしかけた輩か…?』

『弱かったしね』




風が木の葉を揺らす。

葉は、はらりと散る…風や揺れる葉の音が

まるで何かを知らせるような…。

ひな子はその様子から何か悟ったようだ…。




『貴方達…狙われてるの?昨日の事もそうだけど…どうして?』


『…ごめん。ひな子ちゃんにも詳しい事は教えられないんだ。僕達の鬼さんも教える事は許さないから…』


『俺は沖田の代理だが、関わっている以上こいつ等と同じ…あまり深入りすることは無いようにしておけ』


『俺達三人は俺達で何とかする。今までもそうして来た。智香は巻き込まれたり無いよう心掛けろ』




『…はい』

『今までも…判りました。けど私は此からも智香と仲良くさせて頂きます』


『うん。それは構わないよだけど…頻繁に会って勘違いで狙われるかも知れないから、その辺りは十二分気を付けること。良いね?』


『はい。あの…刀を借りて良いですか?』

『いいけど…はい。重たいよ?』


『有り難う御座います。斉藤さん、お相手お願いします』


『俺が?』

『はい。私もやれること証明したいんです!』






斉藤はひな子の目を見る。

ひな子の目は真っ直ぐ斉藤を捉えている。




『良いだろう…』

『手加減は無用です』





刀を向かい合わせた二人は一気に

緊張感ある雰囲気へと変わった。

ひな子は斉藤さんを目掛け刀を向けた。





『はあぁぁぁっ!』

『ッ!』




ヒュンッ!

キイィィィィィィンッ!





『彼女、出来るね』

『その様だな。あいつは何者なんだ?』




最後の言葉はあたしへ向けられた。

彼女の事は何者なのかあたしは知らない。

なので、首を横に振ることしか出来なかった。






『はぁっ!』





キイィィィィィィンッ!




ひな子は刀を操り何度も斉藤さんへ

攻撃を仕掛けた。彼女の身のこなしは

見事な物だった。沖田さんも樋口さんも魅入っているくらい…。






ヒュッ!

キイィィィィィィンッ!




『いつから刀を?』




ヒュッ!




『五つの頃からです』




ヒュンッ!

キイィィィィィィンッ!

キイィィィィィィンッ!




『私は自分の事も護れます』

『その様だが…上には上が居ることを忘れるな』





キイィンッ!

ヒュ…ッ!






沖田さんの刀はひな子の手から離れ

宙を軽く舞うと小石の上で音を立てながら横になった。


それを沖田さんが拾う。





『だけど…一君の攻撃を止めたことは凄いよ…それは褒めないとね』




あたしと樋口さんは隣合わせになるように並ぶ。周りはやっぱり見物人が居た。

沖田さんが拍手をすると見物人も両手を叩き合わせた。





『ひな子凄いよ!』

『へへ…そ、そうかな…あはは』


『痛みは無かったか?』

『はい。お手合わせ有り難う御座いました』





斉藤さんへ頭を下げたひな子は

あたしの手を取るとその場を後にした。




『夕餉までには戻りますっ!』



『沖田さんあまり無茶しないで下さいね!』







今回も有り難う御座います。

次回はまだ決まっておりません(T^T)


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