第十三章 新しい出会い
前回の続きです。
十三章では久し振りにあの人が登場します。
そして、智香は新しい友達が…。
誤字が有りましたら
毎度ながらすみませんm(_ _)m
沖田が廣瀬を威嚇し廣瀬は剣を沖田へ
振り下ろす。
キイィィィィィィンッ!
ぶつかる音は朝餉中の人々を外へ
呼び寄せる。
勿論、彼等の近くではなく家の外で見る者が集まってくる。
まるで何かを楽しむかのように…。
沖田はそれが未だに気に入らない。
どちらかが倒れるか遣られるか賭をしている様に見えているからと、彼は思っている。
(また野次馬か…いい加減暇つぶしで見入るのやめてほしいな…)
『ふんっ!』
キイィィィィィィンッ!
『ねぇ、一つ良いかな?』
『なんだ…?』
『我慢ならない。一君に止められているけど…本気だして良いよね?あんた、真っ二つになるかも知れないけど…』
『何…?』
『総司っ!峰打ちで決着をつける約束だろうっ!』
斉藤は集められた浪士達を
蹴散らせた後沖田のへ言葉を発した。しかし斉藤は思い出す。彼の一言を…。
『一君…』
『お前はそんな奴では無いはずだ!少なくともお前は…総司は人情ある奴だろう!周りに惑わされるなっ!お前は一番組組長だろうっ!』
斉藤の思いが通じたのか
沖田は斉藤を見る。
刀を持つ手の震えが徐々に収まってゆく。
斉藤は沖田を険しい目つきで見る。
血を浴びた斉藤一は沖田を信じる。
沖田を見上げるように…。
『お前が守れぬ様なら俺が始末する』
『ふぅ…有り難う一君。もう平気』
『…それは良かった』
一度廣瀬は沖田へ恐怖心を抱いたが
落ち着きを取り戻した沖田を確認すると
距離を一気に縮め斬りかかった。
刀同士か幾度とぶつかり合う…時々刃と刃が悲鳴をあげるかのように、ギリギリと鳴る。
廣瀬は沖田を睨み付ける。
向かい合う沖田は悪戯な微笑みを廣瀬へ投げる。
『あんた、僕にビビってない?』
『何故俺がお前如きに!』
『やられるのが怖い?』
キイィィィィィン…
ヒュンッ!
ヒュンッ!
廣瀬が振り下ろした刀は沖田の髪をかすめ
ハラリと舞った。
沖田はその様子を冷たい目で見ていた。
それを斉藤は後ろから見守る…
沖田の剣の持ち方を確認も怠らない。
剣は峰打ちの持ち方になっている。
斉藤は智香が逃げ込んだ家を確認すると
家の陰から智香がひょっこり顔をだして二人を心配しているのか、此方を見ている。
しかし暫くすると中へ戻って行った。
『総司!』
斉藤は何かに気付くと倒れている浪士達を跨ぎながらも走り出し沖田の背後に着いた。
『気付きやがったか斉藤…』
廣瀬が悪態をつく。
沖田はすぐ後ろに居る斉藤に礼を謂う。
自分でも気付いていたがこの状況で振り返る行為を行ったら背から斬られていた。
『お前が俺に何か合図のようなものを出していたからな…目を向けたら奴が居た』
『一君なら気付いてくれるって思ったからさ。後ろ、頼むよ…』
『任せておけ。………総司…先程の言葉は撤回する。場合よっては”斬っても構わん”…だそうだ』
この時、沖田と斉藤に土方から
”思う存分やって来いっ!”そう謂われた気がした。
『お前は?…背後からの攻撃とは卑怯なのではないか?』
『俺は枝川正紀。そこに居る亮に頼まれたんだよ。こいつらは寄せ集めに過ぎないからよ』
『ほう』
『一君』
『…』
斉藤は沖田の言葉を駆け出す合図だと認識する。二人は自分の前で構える敵へ走り出した。そしてこの時、野次馬の中に彼の姿があった。
『あんなザコ…何をてこずっている…』
彼は相変わらずの無表情で冷たい目は戦う四人を捉えていた。
『はっ!』
ヒュンッ!
キイィィィィィィンッ!
『くっ!』
沖田と斉藤は相手を攻めまくる。
斉藤は華麗に刀を使う。
目の前の枝川正紀を狙う鷹のような目つき…。
沖田は軽い怪我をしながらも廣瀬亮を圧していた。素早い沖田にたじろぐ廣瀬
目の前をスレスレに沖田の剣が通り過ぎる。
互いの刀が交わる時、手と手首に激痛がはしる。沖田と斉藤の実力を身を持って知る
廣瀬と枝川。
キイィィィィィィンッ!
沖田が放った一撃。
廣瀬の刀は宙へ舞った。回転しながら廣瀬の後ろで地面へ突き刺さる。
刀が廣瀬から離れた瞬間、沖田は鋭く尖った先を廣瀬へ向けていた。
『…素手でやる?』
『…くっ!畜生っ!』
沖田は廣瀬をうつ伏せにされると
両手を後ろにやり縄で縛った。
『あんた達の計画、未遂で終わらせる。升屋も山崎君達に見張っていて貰うよ』
『やれるものならやってみろっ!』
沖田は斉藤を見る。
此方ももうじき終わるだろう。
枝川は斉藤の居合い斬りで倒れた。
『さ、こいつ等は奉行所に任せようか?何処かの誰かが連れてきたみたいだし』
『誰か…?』
沖田は奉行所の人間と此方に向かって来る
男を見ながら斉藤に声をかけた。
『樋口…何故?』
『いや、僕に訊かれても困るんだけど…』
『では、こいつ等を頼む』
『いつも有り難う御座います。連れて行くぞ!』
沖田と斉藤も奉行所の者に礼を謂われた。
彼は何故此処に樋口が居るのか
何故江戸へ来たのか疑問に思っていた。
『…?俺が江戸に居ることがそんなに気になるか?』
『なるでしょう?何も訊いてないもん』
『俺も訊いていない…』
樋口は溜め息をつくと二人へ説明を始めた。現在、京では犯罪が減ったらしく
巡察や巡回に激しい乱闘などに遭う確率が減った為か短時間で終わると、樋口は説明した。早い話、数日だけなら樋口は沖田の様子を見に行く許可が出た。という事だ。
『要するに暇って事か』
『お前達が屯所を出た後、暫くし京で起こる犯罪が減っていった』
『それって僕が厄介者みたいじゃん…』
苦笑いをする沖田を斉藤は横目で見る。
樋口は口元で笑う。
『元気そうで何よりだ。土方もこの姿を見れば安心だろうに…何故か俺を選んだ…どう謂うことだ?許可というより推薦だ』
『土方さんも忙しい人だからね?はぁ…今日は朝からろくな事ないよ…クサヤの臭いで、朝餉は外で食べる事になるし、廣瀬亮って奴に絡まれるし』
斉藤の隣で沖田は両手で呆れ様を
表現しながら樋口へ愚痴をこぼした。
『クサヤ?』
『気にすること無い…』
『そうか?…ところで智香の姿が見えないが?』
『あ…』
『………』
『そうだ…智香ちゃん…』
その時、智香が避難していた家から
男一人、女一人を連れて出て来ていた。
『はぁ!はぁ!沖田さーん!斉藤さーん!…はぁ!…はぁ…あれ?』
あたしは外へ様子を見に行くと
絡んできた人達が連行されてゆくのが見え
たので二人と一緒に河原までやってきた。
と、思えば見覚えがある人物が沖田さんと
斉藤さんと二人で話して居る。
沖田さんがあたしに気付き、手を振ってくれる。
『ねぇ、智香?一人増えてない?』
『あの人は…やっぱり!樋口さんだ!』
『『樋口さん?』』
三人の元へ辿り着くと樋口さんが柔らかい表情で迎えてくれた。
『お久し振りです。樋口さん』
『ああ。相変わらずの様だな?ん?』
樋口さんも二人に気づいた。
匿ってくれた二人を紹介する。
『先程お世話になった、お兄さんのタケルさんとひな子さんです』
『もう!呼び捨てって謂ったじゃない』
ひなは笑顔を作り腕組みながら
呼び捨てに拘る。
『初めまして。タケルです。えと…此方の方は沖田さんですよね?』
『うん。よく知ってるね?智香ちゃんから訊いたの?』
『はは。よく家の前を通って河原に来てる所を何度かお見かけしていましたので』
『そっか。こっちは斉藤君で、こっちが樋口さん』
『お初にお目にかかれて光栄です』
『お兄ちゃん?もしかして憧れてる?』
『まぁな。先程の戦い、格好良かったです。樋口さんも刀を?』
タケルさんは樋口さんの腰にある刀に目をやった。
『ああ。残念だが俺は今し方着いたばかりでな』
『そうでしたか。お疲れでしょうに…』
タケルさんは礼儀正しく樋口さんへ頭を下げる。屯所に居た頃の沖田さんを思い出す。あたし達六人はその足のまま江戸を散歩した。
斉藤さんの勘だけどまた沖田さんを狙いに
来るのではないと謂っていた。
今回は失敗に終わった訳だから…。
あたしは彼等の後ろ姿を見ながら、ひなと喋る。また友達が一人増えた…。
だけど…まだこの先が不安だ…。
如何でしたでしょうか?
まだ沖田を狙う輩は出て来ます。
先の計画とはいえ、それを未然に阻止出来るだろうか?
まだ決まっていませんが後々に…。
今回も有り難う御座いますm(_ _)m




